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ベースカットシザーのサイズの選び方

はじめに、

これからカット練習に入られる方で、シザー購入に際してベーシックカットシザーのサイズ選びにについて迷われてはいないでしょうか?

ベースカットシザーの買い方で悩まれるのは、シザーの長さ(サイズ)とハンドルの種類をどのような組み合わせにするかどうかです。今回はサイズについてお話いたします。

そもそもベーシックカットシザーのサイズの選び方に、どのような基準があるのでしょうか?

ベーシックカットのサイズを決める大半の理由は、勤めているお店の技術(カット技法に)によります。そのお店がどのような特徴を持ったお店で、どのようなスタイルをお客様に提案し、どのような技術を提供するかで使用されるシザーのサイズに各々の理由でサイズの違いが出てきます。

一番初めに技術を習った時に使っていたシザーにその後も影響される場合もあります。どのようなお店に所属しているかによって、使用するシザー決まってきます。逆を言いますと、あるスタイリストのシザーを見ればどのようなお店に所属しどのような技術をしてどのようなスタイルを作るかが分かるとも言えます。

シザーの長さとは、

シザーの長さはインチでの展開で、刃先から静刃側のハンドルの後ろ側までです。単純に刃の長さではありません。

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美容鋏は薬指を指穴に入れて持つため、上の写真のように小指と薬指の指間から刃先までの長さをシザーの長さを表すサイズにした方が納得いただけるのではないでしょうか。
様々なメーカーで比較して、シザーのサイズ表記が同じでも、ネジが打たれている箇所が前か後ろかによって全然感覚が変わります。どういうことかと言いますと。シザーのサイズは全長といい、全長は刃長+柄長だからです。

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刃長とシザーメーカーによって異なりますので、刃が長いわりにハンドル(柄長)が短い、ハンドル(柄長)の長さのわりに刃が短いという現象が起こります。サイズ表記を同じなのにシザーメーカーを変へてみたら、何か違和感を感じるのはこのようなことがあると思います。

ベースカットシザーの長さを選ぶ基準

サイズの大きいシザーを好む人と小さいシザー好む人がいます。
理由は様々ですが、大半の方が標準サイズとされている6インチのベーシックカットシザーを選ばれます。そのため6インチより短いショートシザー長いロングシザーと言われす。

ベースカットはヘアカットの中で大部分を占め、切り方も様々で、それに伴ってシザーの持ち方や使い方、長さに関する考え方も様々です。

ブラントカットやチョップカット、フリーハンドでのカットや刈り上げなどあり、一丁のシザーで全てをこなす方や、刈り上げはロングシザーでという方もいらっしゃいます。

作りたいスタイルによって、ショートシザーが良かったり、ロングシザーが良かったりと、目的に応じて長さについての考え方が様々変わります。


ブラントカットをする際のシザーの長さについて

カットをする際の姿勢として、お客様の頭を地球と見立てるとスタイリストはその周りをまわる衛星のようなものです。

実際カットをする際は、お客様と一定の距離でスライスを引き出し、スライスから出た毛先を切り進めます。

引き出したスライスに、適切にカット出来るかが重要です。

右利きの方でお話ししますと、ご自身にとってスライスを引き出している左手にすんなり納まりやすいシザーの長さを選ばれると良いでしょう。


カットをする際にスライスを取る手は、カットする人のシザーを持つ手の反対側の人差し指と中指を使います。二本の指が合わせって接する場所、そしてその長さがカットする人が取れるスライスの最大の幅となるでしょう。
この幅より刃(ブレイド)が長いと
大抵の人が6インチ(15,2㎝)が丁度いい長さになります。

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上の写真は、左手の人差し指と中指の指間に6インチのシザーをのせてみました。6インチであれば長すぎず短すぎず。

実際、指の根元付近では髪の毛は掴めないのですが、一つの目安として見ていただければ幸いです。

6インチのシザーですと手の中でもしっかり納まり、尚且つ正面から見てもしっかり自分の体の中心でカットを進めていけるでしょう。

正面からの写真を見ていただいても、右腕と左腕がしっかりと平行を保つことが出来ます。

ブラント6インチ詳細

ブラント6インチ 正面


5インチですと、刃が短い分どうしても刃を奥の方に切り進めていかなければいけません。

正面からの写真を見ていただいても、シザーを持つ手は少し奥に入りますが右腕と左腕がしっかり平行に保つことが出来ます。

ヴィダルサスーンの様なスタイルですと、スライスを薄く取り、しっかりと真直ぐにカットラインを切り進めて作るスタイルにはショートシザーが向いているのではないでしょうか。

ブラント5インチ詳細

ブラント5インチ 正面


7インチのシザーですと、スライスを指より刃が長いので少ない開閉で切り終わることが出来るでしょう。刃が長いと少し刃幅と厚みも増して、パワーがありますので少し厚めのスライスも断ち切ってくれるでしょう。

正面から見ますと、切り方にもよりますが、左手のスライスを切り進めようとしますと右肘が上がりやすくなり、左手が動いてしまう傾向があります。

正確で緻密なショートスタイルは、ショートシザーの方が向いていると思います。

ブラント7インチ 詳細

ブラント7インチ 正面


ロングシザーをお使いになって注意していただきたいのは、写真のように指の付け根付近の手の皮をシザーで摘み切ってしまうという事故がありますので、くれぐれもご注意ください。

ブラント7インチ ケガ注意




耳周りのカット

耳の周辺をスッキリとカットしたい時に、シザーの長さによってどのような点に注意しないといけないか。

5インチ、6インチ、7インチのシザーで、それぞれを比較してみますと。

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特に耳の周りをスッキリとさせたい場所、きれいに曲線を切り出していかなければいけません。
ジザー曲線をきれいにカットするには、刃先を上手く効かせて切り進めなければいけません。
シザーがどんなに長くても、使うのは刃先1cm程度。
それでいて、耳の後ろにも上手く刃先を入れていかなければいけません。

6インチのシザーですと、長くもなく短くもなく丁度良いサイズ感です。

6インチ耳周り前と後ろ


5インチのシザーですと、切りたい箇所に近く密接に刃先を効かせることが出来ます。

5インチ耳周り前と後ろ


7インチのシザーですとが、シザーを持つ手と刃先先端の距離が遠く、細かい作業になると扱いにくくなる。

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前髪を切り揃えた後のチェックカットの際、ショートシザーの方が、細かい箇所まで刃先が届き、スピーディーなカットで仕上がりのクオリティも上がります。

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耳周り同様前髪を綺麗に切りそろえたい時も、長いシザーですと少し扱いにくくなります。

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刈り上げ

刈り上げをする際、シザーの長さはどの様な影響を及ぼすかと言いますと。

刈り上げというと理容のイメージが強く、理容師さんが持つロングシザーの方が良いのかと思われている方も多いと思います。

下の写真は6インチのシザーですが、刈り上げをする際も短いということもなくお使いいただけると思います。

6インチ刈り上げ 改


さすがに5インチのシザーですと、刈り上げは少しやりずらくなります。どのような状況になるかと言いますと、ハンドルを持つ手がお客様の顔近くまで迫り、当たってしまいそうです。

刃が短いため、刃をなんとか目一杯使おうとすると余計にハンドルを持つ出がお客様の顔に当たりやすくなります。

5インチ刈り上げ 改


7インチのシザーですと、ハンドルを持つ手とお客様の顔の間にしっかりと距離が出来、刃の長さを有効的に使うことが出来ます。

故に、ゆったりした姿勢でスピーディーに刈り上げをすることが出来ます。

”やっぱり刈り上げはロングシザーでないと”ということで、メンズスタイル・刈り上げ用で一丁購入される方もいらっしゃいます。

7インチ刈り上げ 改


ロングシザー・ショートシザーのそれぞれ特徴

これまでロングシザー、ショートシザー特徴を述べてまいりました。それぞれに長所と短所がございます。

ロングシザーの特徴は
長所
・少し厚めのスライスもスイスイ切れる
・ワンレングスなどフリーハンドで真直ぐ切りたい時に使いやすい
・刈り上げがしやすい

短所
 ・顔周り、耳周りが切り難い(細かいところでの操作性は欠ける)

ショートシザーの特徴
長所
・手際良く使えるのでスライスを薄くした緻密で計算されはカットが出来る
・顔周り、耳周りが切り易い

短所
・ロングシザーで有利だった、ワンレングスや刈り上げがしずらくなる。

まとめ

シザーのサイズについては様々な考え方があり、すでにスタイリストとして活躍されている方々には突っ込みどころがあるかもしれません。ご容赦ください。

これまで申し述べたことは、サイズを長くしたり短くしたりするとどのような問題が生じるかをまとめたものです。

上で述べた問題も長い間の修練で克服し難なくお使いいただいている方々がいることも現実です。

ですので、これからカットの練習に入るにあたり、シザーのサイズについてどのような見方をすればよいか、そのための一つの目安・参考にしていただければ有難いです。

皆様のベストチョイスに近づけるよう、日々精進してまいります。




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