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松籟庵便り

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盈進義塾興武館ホームページで連載している、館長小澤博の風まかせ筆まかせ読み切り剣道コラムのアーカイブスです。
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#持田盛二範士十段

はじめに:松籟庵(しょうらいあん)

 最近、私の若い頃を知る人には信じられないほど早起きになり、小野鵞堂先生の『三体千字文』を手本に手習いをしていた。その中にこんな文章があった。 「索居閑處 沈黙寂寥 求古尋論 散慮逍遥」(p.127) 訳すと以下の通りになる。 「自分からタイミングよく勇退した後、閑静なところに移り住み、毎日を物静かに暮らして世の中のことにあえて口に出さず、穏やかに過ごしている。古書を繙いて、昔の人の残したよい事をあれこれ論じたりして、煩わしい世事から心を解き放し、山野をさまよい歩きなが

その21:剣道観=人生観

 私達は10代の半ばか遅くとも終わり頃には、自分の才能を見出し、それを磨きながら人生を送ろうとする。しかし、人の一生は何が起きるか分からない。一つの才能を見出して、それを基に一生を送ることができれば幸せな人生だ。  しかし、順風満帆な人生などあり得ない。どこかで挫折することもあるし、病気や怪我をすることだってある。窮地に追い込まれて身動きが取れないこともあるかもしれない。そういう時、どう対処したらいいのだろうか。これはその人の人生観が大きく左右すると思う。私はすべて剣道理論

その15:基本は同じ。でもなぜ剣風は皆違う?

 剣道の基礎・基本は教えられるものである。剣風は自分で作るものであって、教えられるものではない。では、どうやって作るのだろうか。因みに、全日本剣道連盟の調査(令和2年1月9日)によると、日本の剣道人口は、1,942,563名だそうだ。剣風は一人ひとり違うから190万通り以上の剣風があると言ってよいだろう。           *  剣道で最初に習うのは、座礼・立礼・蹲踞の仕方、そして中段の構え等である。それらは剣道の伝統的文化と言ってよい。次は、最も大切な基礎・基本の正面