見出し画像

マニ36(スハ32改)蒸気トラップ配置例


 蒸気トラップは客車の蒸気暖房管末端に有る機器です。
 在来型一般客車等の客室が存在する場合、圧力加減器を中央に配置して客室全体へ蒸気暖房管を引き回しています。
 ■暖房主管→圧力加減器→客室蒸気暖房管→圧力加減器→外部へ排出
 一方、車掌室、特別室の個室など小さく区分けされている部屋には暖房主管から分岐した暖房管が小部屋を経由して蒸気トラップへと流れます。
 ■暖房主管→小部屋暖房管→蒸気トラップ→外部へ排出
 小部屋の多い32600形(スハ32 二重屋根)の優等車は各部屋に蒸気トラップが配置されるため、側面は蒸気トラップだらけと言う車輌も有ります。
 北海道仕様の車輌、北海道へ航送される荷物車や優等車には便所、洗面所にも暖房管を引き回して防寒対策を施しています。
 鋼体化改造のオハ60形の一族は種車の蒸気トラップを流用した為、圧力加減器を使用していない車輌も存在します。
蒸気トラップを使用している車輌の場合、車体中央に4個の蒸気トラップが密集して配置されています。

 改造によって誕生した荷物車も例外では無く、蒸気暖房管が設置されていますので、車掌室には蒸気トラップが付きます。
 荷物車の運用は広範囲に及ぶ為、南に配置されている車輌でも北海道への航送運用があったりしますので、便所の防寒対策として暖房管を引きまして末端に蒸気トラップが設置されている車輌が存在します。
 また、荷物車に限らず電気暖房装備車(いわゆる2000番台)にも蒸気暖房管は設置されていますので全ての車輌が対象です。

 さて、本題の蒸気トラップの配置ですが、実はこれが大変やっかいです。
と言うのも新製時と違い改造は各工場の裁量で行いますから、基本的な方針は国鉄本社から指示が有りますが、細かい仕様については工場任せです。
 工場のやり易い方法や親方の方針で行うので改造工場・改造時期によって変わったりするのです。
 工場で図面を作成するのですが、改造図面が世に出ることは滅多に有りませんので、今となっては写真から判断するしか有りません。
 それでも一応のルールが有りますので、それを参考にすると良いと思います。
 それは荷物車の車掌室や便所は丁度台車の付近に有り、台車の回転の邪魔になる所は避けて設置(車軸の軸バネより台車中央まで、もしくはおもっきりデッキ下まで配管を延ば)します。
 なぜかマニ36 2122のように1800mm荷物扉下(弁被[水揚げ弁装置箱])の隣に蒸気トラップが有るレアな車輌も存在します。
 弁被[水揚げ弁装置箱]の保温の為に暖房管が引き回されている事も有るので、その終端なのかもしれません。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?