見出し画像

【ジョジョnote】第4部考察 その⑤ JOJOVELLERを読んで

目次
ジョジョnote

前回
第4部考察 その④ バイツァ・ダスト考察

9. 追記


9-1. JOJOVELLERを読んで

第4部考察を書いてからしばらくたち、第5部の考察も少しずつ進めている。

第4部については、「マンガの中に描かれていること」に重点を置いて書いた。

一方で、第5部については、ただマンガの内容を考えるだけじゃなく、
・どうしてこうゆう着想に至ったのだろう?
・どうしてこうゆう展開にしたのだろう?

というところまで考えたいなぁ…と思い、色々資料をあたってみることにした。

その中で、2013年に出版されたJOJOVELLERを手に入れた。
(内容については、こちらの方のブログに詳しく紹介されている)

このJOJOVELLER…まじですごい!!
まず、画集部分に荒木先生の解説が含まれている。
扉絵一枚でも、画としてのロジックやアイデアがふんだんに盛り込まれているし、
こうゆう作品をモチーフにした、こういったデザインをイメージした、などのことが解説されている。
この画集部分だけでも、「マンガ家」としての荒木先生の偉大さが伝わってくる。

しかし、それ以上にすごいのが…HISTORYという小冊子だ。

ここには、初代担当の椛島(かばしま)さんとのインタビューに始まり、歴代担当への詳細なインタビューが掲載されている。
まさしく、どういった形でジョジョという物語が生み出されてきたのかという歴史が克明に描写されているのだ。
加えて、荒木飛呂彦というマンガ家の人物像が垣間見えるのだが…

正直、ネットに転がっている荒木先生のイメージは、
・感覚的な漫画家
・細かいことは考えていない
的な、天才肌の芸術家、という程度のものだ(と僕は思っていた)。


だけど、このHISTORYから見えてくる荒木先生像は全く違う。
・驚異的なスケジュール管理能力

(締切は必ず守る・多忙なのに普通の生活リズムを全く崩さない)
・幅広いジャンルから膨大な量の情報をインプット
(毎週映画館に行っていたらしい)
・編集部内で特に評価されていたことが、「ストーリーテリング能力」
(話をどうやっておもしろくしていくか、という構成力・アイデア)
などなど…

なるほど、
超絶仕事有能マンが、最も才能を活かせる仕事としてマンガを書いてるんだ!

そうすると…
ジョジョの考察とか(おそらく僕の)14の言葉の考察などに対して、「荒木先生はそんなに考えてない」「好きな言葉並べてるだけ」などのコメントを見かけたりするのだが、

んなわけねぇだろ!
と言いたくなる。(僕の考察自体が正しいかどうかは別問題として)

考えていないのは、読者である我々のほうではないのか?



そこで、今回はJOJOVELLERから見えてきた「第4部の紆余曲折」について、少しまとめておきたい。

ただ、こうゆうファンブックの内容をネット上にあげてしまうのはかなり大問題だと思うので、詳細はぼかしつつ、鍵となる部分だけ提示するにとどめたい。


9-2. 第4部の初期設定など

第1部から第3部は、宿敵DIOとの世代を超えた戦いを描く、という大きな軸が存在した。
(ちなみに、第1部は悪役としてのディオを描くことに主眼が置かれていたらしい)

一方で、第4部については、「一つの街を舞台にする」「第3部から生まれたスタンドについてたくさんアイデアがある」というところから話が展開していく。

だが、第4部を貫く軸、というものは明確にはなかったようだ。
実際、第4部の初期設定には、世紀末に関連した〇〇、というような構想もあったようだが、完結した第4部には全く見られない。

また、編集部からも「第4部には『強い敵』が出てこない」という意見も出ていたようだ。

荒木先生としては、ジャンプにありがちな「強さのインフレ」はジョジョらしくない、と考えていたようだ。

だが、このエピソードは「ジョジョという物語がどこに向かうのかわからない」というのを最も身近な編集部の人も感じていた、という証拠といえるだろう。


ちなみに、康一のスタンドを成長させる、というのは初期からあったようだ。


9-3. 第4部の転機・生みの苦しみ


第4部の転機となるのは、杉本鈴美のエピソードのようだ。

杉本鈴美を殺害した殺人鬼をラスボスにしたい!

ここから吉良の犯人像、どのように追い詰めていくか、などなど第4部の物語を大きく駆動する軸が形成されたようだ。


ダイジェストでまとめるとこんなかんじなんですが…

とりあえず、僕が書いていた「第4部には、吉良が現れるまでストーリーの軸が見えない」という仮説は、あながち間違いではないことが伝わったのではないかと思う。

また、第4部には至るところに難産となるポイントがあったようで、編集者目線でも荒木先生がしんどそうに見える時期があったらしい。
(バイツァ・ダスト戦なんか、難産感がある)
一時は、「ジョジョは第4部で終わりか…」という状況もあったらしい。

ただ、第4部がクライマックスに向かうにつれて、第5部にいこうか、という流れになっていったらしい。


9-4. おわりに


JOJOVELLERの内容を詳細には書きたくないので、第4部考察 追記もこれくらいで閉じたい。

最後に一言書くとしたら…

JOJOVELLER読んで!(結構高いけど)


タイトル画像は、JOJOVELLERのコンセプトにちなんで、旅(Traveller)をイメージしてみました。

Next

第5部考察 前書き

サポートの目安はアサヒ・ザ・リッチ1本文です。