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すべてがガジェット化するアニメ『ゴジラシンギュラポイント』 #2021年おすすめアニメ

2021年は楽しいアニメが数多く放送された。2022年も期待しようと思う。
今年のアニメでおすすめなのは、4月から6月にかけて放送された『ゴジラS.P〈シンギュラポイント〉』。文句なしに楽しい作品だった。

ここで話の内容とか、ストーリーの考察とかをしようというわけではない。自分よりもアニメ考察が得意な人はたくさんいて、そういった人が語った記事をご覧になったほうが良いと思うからだ。
そういうわけで、以下の記述にネタバレはほとんどないので安心して読んでほしい。

このアニメの何がおすすめかというと、登場する何もかもが「ガジェット」になっているという点だ。

ガジェットというと、何を思い浮かべるか人によってそれぞれだとは思うが、自分はたとえばラズベリーパイPCとかデスクの裏に貼り付けて使うオーガナイザーとか、そんなものが「ガジェット」というイメージだ。
生活を便利にしてくれて、しかも面白いものウィットに富んだもの。話のネタになるもの。そんなものがガジェットだろうと思う。

「ゴジラシンギュラポイント」には、数多くの面白いネタや道具が登場する。すべてガジェット感が強い
犬型人工知能。
ポンコツ戦闘ロボット。
スズキジムニー(可愛いよね)。
いつも片方かかってない黒縁メガネ。
意味の分からないサンスクリット語の歌。
やっすい仕様の地下神殿。
ホンダのジャイロ。
シボレーのインパラ。

そして面白いのが、「登場する怪獣たちがこういったガジェットと並列な価値として出てくる」という点である。怪獣というよりグッズだ。空を飛ぶ怪獣はおもちゃの飛行グッズのようであり、ドラゴン怪獣は歩行ロボのようであった。
作中では「倒すべき相手」となっているモノたちが可愛いのである。
「人類を襲う怪獣を倒す話」という骨格は同じでも、他の怪獣モノとは一味違う。
怪獣がポンコツロボットやスズキジムニーと同じガジェットのように見えてくる感覚。それは快感でしかない。
本当は怖いもの、恐ろしいものなはずの怪獣が、出てきた途端にヘンテコなおもちゃに変貌するというのが、ゴジラシンギュラポイントのストロングポイントである。

制作にかかわった人たちがどこまで意識したのかは分からない。ストーリー自体はハイクオリティで理解の難度は高く、考察する価値は充分すぎるくらいあると思う。
SF作品としての質は高いし、謎解き要素も熱い戦闘も盛り込まれていて、小説作品だったとしても充分に満足が得られる内容である。
ただ、哲学とかメッセージよりはエンタメ重視で作られているのは確かだろう。結果的に「あんまり怖くない怪獣たち」になったように思う。

とにかく画面が可愛らしく、全シーンが楽しい。「絵が動いて音がつく」ことの楽しさに満ちた作品であるのは間違いない。ポップな感覚にあふれている。
今までのゴジラシリーズと何も関係ないというのも良い。特撮のファンって面倒な人が多いでしょ? そういう人には不評だったようで、その点もおすすめできる。

OPもEDも最高の楽曲・映像である。おすすめはED。これを観て「面白そう」と思った人は絶対に楽しめる。
アニメファンとして、今年は楽しい1年だったなと改めて思う。

#2021年のおすすめアニメ

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