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鹿児島市PTAだより「マスクについて」

新型コロナウイルス感染症と子どもたち

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科微生物学分野教授          (小児科医) 西 順一郎 教授  

現在子どもたちは学校で常時マスク着用を指導されています。マスクは本来咳など風邪症状のある人が周囲の人に飛沫を広げないために使用するものです。しかし、COVID-19流行地域では症状がなくてもマスク着用を要請されています。流行していない地域では、そろそろ常時着用の必要性を再検討してもよいのではないかと思います。                   マスクは感染予防のためにも着用しますが、細かい飛沫はマスクのすきまから入ってきますので、マスクで完全に感染を防ぐことはできません。また、マスクは近くに人がいない場合は着ける必要はありません。登下校中に一人で歩いているときは、着用の必要はないと思います。          園児・学童のインフルエンザ発症に対する予防行動の効果を調べた研究がありますが、マスクを着用したほうがインフルエンザを1.4倍~1.5倍発症しやすかったという結果が報告されています(関奈緒 日本小児科学会雑誌2016)。マスク表面にはウイルスが付着しており、マスク自体が感染源になることもあり注意が必要です。                   マスクを常時着用し、お互いの表情を見ないで社会生活を続けるのは、20万年の人類の歴史で初めてのことです。成長期にある子どもたちの心の発達にどのような影響があるのか心配です。症状のある人が着けるという本来の姿に早く戻って欲しいものです。

これは2021年 3月26日発行の、鹿児島市PTAだよりに掲載されている記事ですが、9月に議員の先生を通して西教授ご本人に、この記事について問い合わせていただいたところ、「今も考えは変わっていない。」と仰られていたそう。

このマスク社会の中で、このようなお立場の方が、PTA新聞にこれだけのことを載せたことの意味を考えると、

大人は「たかがマスク」と言わず、重く受止めなければならないのではないかと思う。


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