#48 俺劇場
偉そうに若い警察官2名を横に立たせ、
「オレはちょっと飯食って来ただけなんだぜ。
明日の銀行にはここから一緒に行ってくれってこいつが言うから…」
「銀行っていうのは何ですか?」
「俺が借りてるお金を明日こいつに返すのに、みずほ銀行に行くからー」
「お金を借りてるんですか?奥さんから?」
「だから、それを明日全部返すから、待ち合わせじゃ嫌だっていうからー」
「お金の話ですか?ねぇ?奥さん?」
お金の話もあるよ、そりゃー、大事だよ。
でもいまの問題はそこじゃないんですよ。分かるでしょ。
「そうじゃなくて、そもそも離婚したいとこの人が言い出して…」
「俺ねー、鍵持ってるんですよ。ねぇ!お巡りさん!」
「はい」
「その持ってる鍵で開けて入ってきただけでしょ!自分の家に!」
「私の家でしょーが」
「お前黙ってろよ!わざわざ呼び出されたこの人たちに俺が説明してんだからよ!」
「まぁ、旦那さん落ち着いて。」
「お前が説明しねーから俺がしてんだろ!」
「説明してるんだから邪魔しないでよ。
お金はまた別の話で、この人が…」
「てめーは黙ってろよ!」
「奥さんが110晩したんですよね。じゃぁ奥さんが説明してくれないと」
「そーだよ!てめーか呼んだんだろ!」
「だから説明しようとしてるじゃん。ちょっと黙ってて」
・・・
延々とこのやり取りが続きます。
進まないので、外に出て話をさせて欲しいと言っても、出て行きたい私を遮る警察官。それを楽しそうに見ている彼。
時には警察官に向かって
「キミ、俺のこと知ってるよね?俺が中にいたときに会ってるよね?」
と、恥ずかしい過去を嬉しそうに話しかけます。
そのうち、一人でエキサイトし始め、
「てめーが朝までここにいてくれって言ったんだろ!違うのかよっ!
おいっ!てめーが言ったんだろ!」
それはもういいよってことを吠え始めます。
「俺はよー、外に女待たせてんだよ!」
はっ?
「明日一緒に銀行まで行ってあげなよって女が言うからよー、わざわざ戻って来てやったんだよ!」
文字にすると迫力が伝わりませんが、
この辺はもう首を絞められるんじゃないか、の勢いです。
私に向かって拳を上げてはみるものの、
【やったら現行犯】が頭にあるので、
本当に殴りはしないのです。
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