見出し画像

中小企業診断士受験生ものがたり 第8話 「迷走」

R5年1月。
私はR4年度二次試験の不合格をXに報告すると、多くの方から「コツコツさんが落ちるなんて信じられません」「お疲れ様」「次は大丈夫です!応援しています!」という励ましのメッセージを沢山いただいた。このメッセージは本当にありがたかった。

ただ、ここで驚いたのが、X上で実力者と思っていた方が何名も落ちていたのだ。合格発表前に、もし自分が落ちたら相談にのってもらおうと思っていた方々が落ちており、二次試験の難しさを改めて認識した。「あんな優秀な方も落ちるなんて…。合格するためにはもっと高みを目指さないといけない」と思うと同時に「彼らが落ちるならいったい何を勉強すれば良いんだ。」と深く落胆した。

勉強方法迷子。
所謂「迷走状態」に私は突入していった。


気落ちしたものの勉強しないと合格はできないので、不合格から数日後に手探りながら勉強を再開した。特に意識して取り組んだのが3つの勉強である。


1つ目が「自分がやっていない勉強を否定せずに取り組んでみる」ことである。

二次試験は公式の模範解答も示されないため、試験対策において所謂「流派」が数多く存在する。与件文が大切・知識が大切・設問文が大切などの試験対策上の流派はもちろん、美文字トレーニングなど試験対策には一見関係のないものも勉強法として紹介されている。多種多様な勉強方法は今まで調べて知っていたが、やりもせず頭から否定してきたものがいくつかあった。幸い時間もあったので、今までやってこなかった勉強にまずはチャレンジしてみることにした。具体的には、中学受験の国語の問題演習・新聞の社説の要約・写経(過去問の与件文などを写す)などに取り組んだ。これらの勉強を通じ、自分の読解力の無さ・文章作成能力の低さなどに気付かされ、最終的には二次試験を戦う上での基礎強化に一定の効果があった。


2つ目は「勉強会の発足」である。

不合格から数日後に、R4年の二次試験で残念であった数名に声をかけ勉強会を発足した。勉強会では、主に過去問を解きお互いの答案を共有し、各自の解答に至るプロセスなどをオンラインでディスカッションをした。今までこのような勉強会にはほとんど参加していなかったので、他人の考えを知ることで非常に勉強になった。


そして3つ目は「R4年の敗因分析」である。

不合格だった原因は「本試験当日の自分の答案全てにある」と考え、自分の再現答案と合格者の再現答案を比較し、自分の足りない要素を分析した。この作業は本当に辛かったが、幸いXには再現答案や高得点の答案が沢山あったので分析する材料には困らなかった。また勉強会メンバーとも採点方法の仮説を立てたりして自分の敗因を分析していき、本当に自分が強化すべき弱みを見つけようと努力した。

このような形で勉強は続けてきたが、3〜4ヶ月経っても自分の実力が伸びているとは全く感じられなかった。それでも腐らずに勉強を継続できたのは、私を支えてくれた数多くのXのフォロワーさんたちであった。私が勉強方法に関する悩みや質問をXに投稿をすると多くの方から回答をいただいた。また私と同じような境遇の受験生たちが勉強している様子をXの投稿から垣間見えることで自分も頑張らねばとモチベーションを保つことができた。

「合格したい。ただ出口が分からない。」

私は、合格するイメージを全く持てず、ひたすら道なき道を手探りながら進んでいっていた。

(第9話へ続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?