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富山からはるばる長崎の公園に行った話|HIROPPA

どうも、ことちゃんです。先日、初めての九州上陸が叶いまして…!長崎県東彼杵郡波佐見町を訪れました。

訪問の経緯

3月末を区切りに新たな活動に舵を切る私。春までに足を運んだことのない地域である九州に行ってみよう!ということでSNSで「九州のおすすめを教えて~!アート、クラフト、コミュニティ、地域活性、建築が好きです」と尋ねたところ、ある尊敬する方から「文化、クラフト、モダンアート素晴らしいバランスで集積してて、感性刺激されまくりだよ」と波佐見町をおすすめしていただきました。

波佐見町ってどんなまち?

赤い点線の部分が波佐見町

波佐見町(はさみちょう)は、長崎県のほぼ中央、東彼杵郡北部の内陸部に位置し、長崎県内で海に面していない唯一の自治体である。江戸時代前期からの陶磁器生産地で、波佐見焼が知られる。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

佐賀県の県境、山に囲まれた盆地。総人口は約14,000人ほど。人口の2~3割の人びとが焼き物に関連するお仕事に就いているのだとか。コンパクトなまちに多くの商業施設や工場、医療機関などが立地しているため、利便性が高く、雇用環境も充実しているそうです。

地域の代表的な産業である“波佐見焼”は400年以上の歴史があり、現在も日用食器の約16%のシェアを誇っています。型屋・生地屋・陶土屋・窯元・上絵屋・問屋といった分業制で生産されています。

起源は豊臣秀吉による朝鮮出兵。焼き物の技術を得るために朝鮮から職人たちを連れて帰ってきたところから始まったそうです。

今回は、そんな波佐見焼に関連する地域のシンボル的スポット“HIROPPA”をピックアップして綴ります。

マルヒロがひらく広場“HIROPPA”

波佐見焼といえば陶磁器メーカーの“マルヒロ”を思い浮かべる方もいるのでは。

産地問屋として3代続くマルヒロ。厳しくなっていた経営の再建のため、現社長の馬場匡平氏は中川政七商店にコンサルティングを依頼。2010年に当時の波佐見焼の主流とは真逆の分厚いデザインの新たに自社ブランド“HASAMI”を発表し、ヒット商品となりました。会社の再建とともに、波佐見焼の知名度向上に大きく貢献しました。

直営店を立ち上げるタイミングで、改めて「将来的に町にどのように貢献できるのだろうか?」と考え、浮かんだのが公園だったそうです。町には子どもたちの遊び場が少なく、また焼き物に触れる場所が少ない。子どもたちが幼い頃から気軽に立ち寄れる公園を通して焼き物を知ってもらいたいし、ゆくゆくは担い手につながるかもしれないという背景がありました。

そして2021年10月には私設公園HIROPPAをオープン。(設計:DDAA元木大輔氏)

目的を持った“なにか”をつくるのではなく、自由度のある公園をつくるというマルヒロのアイデアがすごくいいなと思いました。(元木氏)

公共R不動産インタビュー

様々な果物が育つ緑豊かな公園「HIROPPA」は、遊具がない代わりに地形をデザインした私設公園です。マルヒロらしい楽しい仕掛けやアートが詰め込まれ、コーヒーブレイクや買い物までできてしまう場所。「焼き物の町で育つ地元の子供たちが、焼き物屋さんがつくった公園で笑って遊びながら波佐見焼に興味を持ってくれるような場所をつくりたい」という思いから誕生しました。

HIROPPA WEBサイトより

約4,000平米の敷地に直営店と公園を整備。川沿い且つ里山を背後に、木々や遊具に囲まれた空間になっています。若者たち、ワンちゃんのお散歩、お子さん連れで遊びに来る人たち。訪れる人々が笑顔でのびのびと過ごしていました。

印象的に感じたのは、ちりばめられたエネルギッシュなアートやデザイン。思わず写真を撮りたくなる空間です。おしゃれなところで遊べるなんて、なんだか自慢したくなりますよね。

2022年12月に公開制作されたグラフィティアート(ボリス・テレゲンfromオランダアムステルダム)
セメント製の座れるオブジェ。HIROPPAと書かれている(同じくボリス・テレゲン作)
砂場の砂はマルヒロの廃品を細かく砕き、研磨して粒状にした砂を敷き詰めている
公園内にはなだらかな起伏も
ドリンクを片手に休憩できる場所も
利用ガイドもグラフィックを用いて楽し気に表記
トイレのサイン。広々としたトイレにはおむつ交換代もありました

シンプルなしつらえの直営店では、自社製品だけでなく公園で遊べるグッズも販売しています。

併設のカフェもとってもおしゃれです。

飲み物を注文をする際に「どちらからいらっしゃったんですか?」とスタッフさんがコミュニケーションのきっかけをくださり、公園を見に来た旨など少しお話してからテーブルにつくと、「こちらに公園のことが詳しく記載されているのでよかったら」と飲み物と一緒にカタログを持ってきてくださいました。

このカタログもまたすばらしいクリエイティブで読むのが楽しく、商品のストーリーも知ることができる

そして帰り際には周辺地域のおすすめスポットも教えてくださいました。空間だけでなく体験としても気持ちよく過ごすことができました。私自身の今後の活動にもヒントとなる空間・体験をさせていただきました。感謝!

駐車場側からの入り口
対面の里山

ちなみにHIROPPAのあとは“西の原”という、これまた波佐見焼のシンボルスポットを訪れました。

波佐見町を訪れる際はこちらも併せてお楽しみください。


最後までお読みいただきありがとうございました。