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Day9 最近泣いたこと

最近泣いたこと、なにかあったはずだけど思いだせない…。もう少し若い時は、恋愛しながら可愛い乙女のように泣くこともあったけれど、最近はそんな風に泣いたりはしない。

その代わり、人に頼る時にすごく泣いてしまう。たぶん、優しさが沁みて嬉し泣きというよりは、人に頼るのが嫌すぎて泣いてしまうことの方が多い。

人と人のかかわり合いって、等価交換でできていると思う。誰かに頼る時は、その関係性が等しくなくて、誰かに返せないものがある時だ。すごく辛くなる。自分が情けないし、なにか相手のために返せることがないか必死で探す。

自分でもどうしてここまで不器用になってしまったのか謎だけど、「苦労したんだろうね」と人に言われると、そうなのかもしれないと思ったりもする。

泣くのって、すごく気持ちいいことだと思う。怒りは、自分の中身がかあっと熱くなって、ぶくぶく膨らんでも外に出てくることはない。抱えていることが苦しい。けれど、泣くと、人間は涙が出る。

涙はすごく心を浄化してくれる。思い切り泣くことができたあとは、その問題をどうでもよく思ったりする。自分の価値観が、一瞬にして変わっていく。

子どもの頃から、泣き終わる時ってなんだかおかしくて笑ってしまう。大量にでる鼻水をかんで、なにがそんなに悲しかったんだっけってキョトンとする。

そのとき、一緒に泣いてくれる人や、鼻をかむティッシュを渡してくれる人がいたら、幸せだな。

泣くこと、それはとても自然であり、がんじがらめになった自分の緊張や呪い、価値観をほどく摂理だ。神聖なものと言ってもいい。

俳優さんは涙を出す練習をしすぎて、心が壊れてしまいがちだという話を聞いたことがある。

自分の涙を演技で操れるように練習する。それは、心のすごく神聖な部分を冒涜していることにならないだろうか。誰かのための涙ではなく、自分のためだけの涙であるべきなのに、それを売り物にしてしまって、つらくないだろうか。

倫理的に、「涙を操作すること」の是非が問われる時代が、いつか来たとしてもおかしくないような気がする。



エチカ


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