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【13才下の男との恋2】クリスマスに生牡蠣を

クリスマスに会うのかぁ。

約束してから毎日思い出しては、うふふと笑ったり、急な仕事とか会議とか入んないといいなぁと心配したりして過ごしていた。

ただごはんに行くだけだぞ、と何回も自分に言い聞かせても、どうしたってわくわくが抑えられないんだから困ったもの。

前日には、「行けなくなってしまいました」って連絡が来ませんように!どうか!と空にお祈りしたり、仕事の合間にまつげパーマ行ったり(まつ毛パーマ中は目が開けられずケイタイチェックもできず困った!)、少し高いパックの泥みたいなものを顔にぬったくって、るんるんとお風呂に入ってみたり、一転、あれれ2人で何話すんだろ、間は持つのかなと不安になって考え込んでり、した。

当日のお昼くらいに聞いたら『もちろん行けますよ!』と返ってきてほっとして、ランチがてら近所のマルイの中にあるジルスチュアートに行きほんのり色のつくラメラメのグロスを買い(ずっとマスクだし、飲み物に口をつければ一発で落ちちゃうから、つけてもつけなくても一緒なんだけど)グロスだけが入った小さいサイズの紙袋をちょいと持って、クリスマスなのに気にせず1人でラーメン屋に入り、家に帰るとジルスチュアートのグロス袋をながめながら仕事をこなし、家を出る予定の17時45分を待ったのでした。

17時30分になると待ってましたとばかりに着替えて、マフラーを巻くか鏡の前で一瞬悩んでやめ、アイシャドウを追加でちょっとつけて、アイラインを上からなぞり、ジルスチュアートのグロスをぬってマスクをして17時35分には家を出てしまった。

歩いて10分で着く距離なのに、25分も前に出てしまったので、ずいぶんぐるりと遠回りして、ちょうどにお店の前につくと、むこうからバスさんもやってきた。

「あー久しぶりですね。」
「お元気ですか?」
「この店、入口で手を洗わないとなんですよ」
「うわ、水冷たい」

今日、クリスマスだぞーー!!!!!と大いに意識しているのに、平気なふりで会話している自分がおかしくって、くくくと笑いそうになるのをがまんした。

カウンター席に並んで座って、飲み物や食べ物を選んでいく。
なんだか目が合わせられない。
テーブル席じゃなくてよかったと思うくらい緊張していたが、緊張をよそに会話はぽんぽんと続いていく。聞きたいこともいっぱいあって、聞いてほしいこともいっぱいあった。


話しながらみかんの果実が入ったお酒を飲んでいたら、前歯に果実がはさかって上くちびるで前歯をかくすような変なしゃべり方になってしまった。

「え?どうしました?」
「いや前歯にみかんはさかって」

手で取ろうとしたら、バスさんはさりげなく目を逸らした。この人こういうところがあるのか、素敵だなと思った。

22時になり、店員さんから「閉店です」といわれるまで、ほんとにあっという間に過ぎていった。

バスさんの仕事終わりに合わせたので、18時開始にしており、気づけば4時間も時間を意識することなく話し続けていた。

もうちょっと一緒にいたいなぁと思ったものの、仕事で疲れてそうなので、もう一軒行きませんかではなく「浅草寺近いんで、おみくじ引いて来年の運気を占って帰りましょ」と誘い、ちょっとだけ一緒にいられる時間を引き伸ばすことに成功した。

「ぼくはあんまりお寺とかこないんですよね」と言ったバスさんの手を合わせてる時間がちょっとだけ長くって、かわいくってくすりと笑えた。

浅草寺のおみくじは、凶が多いと言われてるのに、2人とも大吉。

「ことりさんの【願望】のところ、[叶うが全ての面において控えめな気持ちが必要でしょう]って書いてありますね。ぼくのは[叶う]だけです。ことりさんがぐいぐいなの神様にバレてますね」

と笑う。

今日仲良くなったのに、この距離の詰め方かわいいなぁとまた笑った。

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