見出し画像

こっちゃん ヒーローになる

こっちゃんは名前を「琴絵」という。

これから「琴絵」という名前を出すまでのあれやこれやを書いていけたらと思っている。

こっちゃんはその日、地元のデパートに来ていた。

今日はその話をしていきたいと思う。


* * * * * * * *

こっちゃんはそのデパートが好きだった。
なぜなら、そのデパートの地下で食べられるメロンシャーベットが大好きだったからだ。

こっちゃんのおばあちゃんは、こっちゃんをデパートに連れて来ると、必ず、地下のアイスクリーム売り場へ立ち寄った。
こっちゃんのおばあちゃんはバニラアイス、そして、こっちゃんには好きなものを選んでいいと言ってくれたが、こっちゃんは毎回メロンシャーベットを選んだ。

ただその日は、連れて来てくれたのが、こっちゃんのおばあちゃんではなくお母さんだったので、こっちゃんは大好きなメロンシャーベットは食べられなかったのだが…


その代わり、ではないだろうが、
こっちゃんは生まれて初めて、デパートの屋上というところに連れて行ってもらった。

そこには、前後左右に動く飛行機があったり、背中に乗れるパンダがいたり、こっちゃんはそれはそれは興奮した。
心躍る音楽が鳴り響いて、こっちゃんにとっては光り輝くまばゆい世界であった。


その乗り物たちにとっても魅かれていたこっちゃんだったが、その屋上の一角に人だかりができているのに気がついた。
こっちゃんと同じくらいの年頃の子たちが、お父さん、お母さんと一緒に、その一角にある広場に集まっている。

こっちゃんとこっちゃんのお母さんもそこに行ってみた。

そして、その広場の前に出ているベンチに他の家族と一緒に座っていると・・・


一体、どこに隠れていたのだろうか?


悪の手下ショッカー
(わからない人は調べてね♡)がわらわらわらと現れたではないか!


こどもたちは悲鳴を上げた。

そして、その悲鳴をBGMにして、悪の親分が高笑いをしながら広場の真ん中に登場したのである。


こっちゃんには、その人たちが誰なのかは分からなかったが、とにかく悪い人なんだということだけは分かった。
みんな怖がって、しまいには泣き出してしまう子までもが出てきた。


どうしよう…
助けて…



そんな時、
みんなの前に現れたのは・・・



じゃじゃじゃじゃーん!

こっちゃんである!!!


こっちゃんのお母さんはびっくらこいた。
まさか、こっちゃんが出ていくとは!

今さっきまで、隣に座ってぎゃーぎゃー言っていた子が、目を見開いて、両手をぶんぶん振り回して、悪に立ち向かっているではないか!
その後ろには、登場するタイミングを逃した仮面ライダーがスタンバっているではないか!


それを見ていた子たちは沸きに沸いた。
歓声と応援する声とが響き渡った。

そのうちに、ほとんどの子供たちが出てきて、みんなで一緒になって悪に立ち向かい、最終的にはショーの趣旨が変わってしまったのだということを、こっちゃんは大人になってから聞いたのだそうだ。。。


あれ?
こっちゃん、悪を恐れず立ち向かっていなかった?
後先考えず、心のまま動けていない?


そんなこんななこっちゃん話ですが、もう少しお付き合いいただけましたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?