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お母さん、僕、もう行くからね。

夢の中で、愛らしい小さな男の子と私が、
舞い踊るように登っていくような姿を見ていた。
遠目に見える男の子は
長男の小さい時のようでもあり
自分はと言えば、こんな素敵な白い服を持っていたか?と思う姿で
ブラウスのレースの模様まで見れるような
明晰夢だった。

明け方、目が覚めて
『何の意味だろう?』と心の中で問うと
『お母さん、僕、もう行くからね』と帰ってきた。
夢で手をつないで歩いていたのは、
今生では、
肉体をもっては生まれてこなかった
息子らしい。
どうやらあちらの世界では無事に大きくなり
次のステージに切り替わることを報せてきたようだ。


『ボクは、うまれてきて、うれしい。うれしい。』

ありていに言えばよくあることなのだが、
二回目の妊娠は42歳で、安定期に入る前の流産。
よくあることだ。
もう今から、12年も前のことだ。

一つ普通と違ったのは、
流産する前に、メッセージがやってきたことだった。
元の職場の同僚で、代替療法に興味のある友人が
我が家に遊びに来ていた時に
突然チャネリングのような形で
彼女の口からたどたどしく伝えられた
メッセージ。
『ボクは、うまれてきて、うれしい。うれしい。
おかあさん、あいしている。あいしている。
早く、生まれてきたい』


伝えてくれた彼女も、
聞いた私も、体を震わせてうれし泣きの涙があふれた。

私一人が聞いたのでは、
誰も信じないと、息子を呼びつけて横に座らせて
一緒に聞いた。
当時、3歳だった息子が同席した時も、
慌てて夫を起こしてきたときも
同じようなメッセージが伝えられた。

家族そろって、まだ見ぬおなかの中の存在と思われる
子供から、『愛している。嬉しい。嬉しい』と伝えられた。

そして、その後、一週間後に
流産した。


『僕はお母さんの中にいる』

奈落の底に落ちるとはこのことで、
私は訳が分からず、精神的に壊れた。
『あのメッセージは何?嘘だったの?』

私の人生の魂の闇はこの時だった。

見えない世界のことを否定してしまえば
あの時に、受け取ったメッセージも意味がなくなる。

そして、一時期でもこの世界に存在して
自分の体の中にいた存在が否定されてしまう。

でも、子供は育たなかった。
生まれてこなかった。
自分の年齢を責め、
理由を探し
意味を求めてさすらった。

ドクターショッピングならぬ
占い師やヒーラーに会いに行き
答えを探した。

『自分を責めないでほしい』
『最初から、一時期地球を体験しに来た子供なのだ』と。

その後も寂しい時に
つらい時に、
心の中で尋ねると、きまって
『僕はお母さんの中にいます』と帰ってきた。

ちょうどバリ島にいるときに
亡くなったご主人が肉体を離れて、魂が帰る先を選ぶときに
前世で親子の縁のあった、今生の妻のもとに帰ってきて
一体となったという話を聞いたこともあって
この子もそうなのかと思っていた。

『私が、この子を引っ張っているのかな?』とも気になって
『生まれ変わるチャンスがあるのなら、行っていいんだよ。
もう大丈夫だよ』と折に触れて伝えてきたつもりだが
返事は決まって同じだった。

『僕は、お母さんの中にいます』と。


同じ名前の赤ちゃんを抱っこする機会があって

ここ最近、ご縁があって、同じ名前の赤ちゃんを抱っこして
抱きしめる機会があった。
名前は人に入っていないけれど、
私一人が心の中で、呼んでいた名前だ。

ご縁があって抱っこをさせてもらった赤ちゃん。
その赤ちゃんの名前を呼ぶたびに
不思議な気持ちを感じながら
おむつを替え、
あやし
『かわいいね』と声をかける。

お腹がすいてなく子供の顔。
母を待つ顔。
ことばは通じないけど、私の心の内の声を
きっと聞いている。

思えばこの12年。
子供の体の重みを感じて、抱っこをしたかった。
おむつを替えて、あやしたかった。
ぷくぷくのほっぺをもう一度触りたかった。
あどけなく私に笑う顔を見たかった。
そう思って過ごしてきたんだな。

ご縁があって抱っこできた
同じ名前の違う魂のおかげで
肉体を持った私は、思い残していた気持ちを
味わうことができたんだな。


サイクルの終わりと卒業


女の肉体を持ち
肉体の中に魂を宿して
失うという経験は、
こんなにも重くて、
苦くて、情けなく、ボロボロになるものなのだと。

そしてそのことを
狂うほどに、実感して味わい尽くすこと。
それを私の魂は望み、体験したのだと。

その体験なくしては、
何度生まれ変わっても理の先立つ私の魂にとって
心底の成長はなかったのだと。

地を這う経験を通した
魂の学びが、12年たってやっと一つおわったのだと。
一つのサイクルがおわったのだなと。

今朝、『僕は、もう行くから。お母さんはもう大丈夫』と言われて
そのサイクルの終わりが来て、
保護者のように付き添ってくれていた魂が
もう大丈夫だと、次のステップにかえっていったのだと。

占い師が何と言おうと
チャネラーが何と言おうと
答えは、自分が納得して受け入れ、腑に落としたものしかないのだ。

別の言い方をすれば、
外に答えを求め、
人に答えを求めているうちは、
腑に落ちていない。

長男が生まれてきたことで
喜びを知り、子供を愛することを知った。
次男が宿り、
肉体的には生まれてこなかったことで
人の母としての喪失を知り
ことばでは共有できない痛みとともに、
私たちは、肉体を超えた存在で
宇宙から注ぐ広大な愛と旅をする魂なのだと学びえた。
12年たって、その学びがやっと完成したようだ。

今生、親子として短い間私の肉体の中に宿ることを選んでくれて
ありがとう。
そして、この大変動の時代に
保護者のように共にいてくれた君に
心の底からありがとう。

今度こそ、大いなる光の源へ
行きたいところへ行くんだよ。
本当にありがとう。






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