姉の天照大御神弟スサオノミコト契り

書物である「古事記」や「日本書紀」に沢山の神が登場します。 特に有名なのは,神の中で最初に夫婦になったと言われる「イザナギ(伊邪那岐命)」と「イザナミ(伊邪那美命)」です。この夫婦の神たちは,日本の島々や多くの神々を生みました。

イザナミは、火の神であるヒノガクツチノカミ(火之迦具土神)を生んだ時に火傷を負って亡くなってしまいます。それを悲しんだイザナギは,妻を追って黄泉の国へ向かうのです。そこで妻の変わり果てた姿を見たことによって夫婦の絆は絶えてしまいました。 失意のなか自分の国に戻ったイザナギは,穢れを祓うために禊ぎをし,そこで三貴神が生まれます。この神はアマテラスオオミカミ(天照大御神"太陽の神")ツクヨミノミコト(月読尊"夜の神")スサノオノミコト(素戔男尊"海原の神")です。

アマテラスは,神々の中でも最も位の高い神様で,天皇家の祖神とされています。特に有名なのは「天岩戸(あまのいわと)隠れ」の物語です。乱暴者の弟・スサノオの素行の悪さに怒ったアマテラスが天岩戸にお隠れになり,太陽の神がいなくなったことで世界は暗闇となりました。

神々はどうにかアマテラスに出てきていただこうと話し合い,天岩戸の前で大宴会をしてみせました。外から聞こえる楽しそうな笑い声や音楽に心惹かれて,アマテラスがそっと岩戸を開けた瞬間,力持ちの神が岩戸を一気に押し開け,アマテラスは再び外の世界にお出ましになったという物語です。アマテラスの弟・スサノオについて「ヤマタノオロチ退治」物語が有名です。素行の悪さから,ついに神々の世界である高天原から追放され出雲(島根県)に降り立ったスサノオは,人々が8つの頭と8本の尾を持つ大蛇・ヤマタノオロチに苦しめられていることを知ります。そこでスサノオはヤマタノオロチを退治して,犠牲になろうとしていた奇稲田姫(クシナダヒメ)を助けて,後に結婚しました。ヤマタノオロチの尾の一つから草薙剣を得てアマテラスに献上。草薙剣は三種の神器の一つとなっています。

スサノオとアマテラスの契約によって生まれたのは,宗像三女神です。歴代の天皇を助けて,国家安泰のために働くように神勅(しんちょく)を受けた三姉妹の女神は,玄界灘にある沖ノ島・大島・本土の田島地区(共に宗像市)に降り立たれました。宗像三女神が祀られている3ヶ所のお宮を総称して「宗像大社」という。航海の神,交通安全の神としても信仰を集めています。

アマテラスの孫にあたるニニギノミコト(瓊瓊杵尊)は,「天孫降臨(てんそんこうりん)」の物語で有名な神です。人間界を統治するよう命を受けて,三種の神器を受け取ったニニギノミコトは高天原(天界)から地上に降り立たれました。その際にはサルタヒコノカミ(猿田彦神)が先導を務め,南九州の高千穂の峰に君臨されたと伝わっています。

ニニギの妻となるのは,このコノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)です。ニニギはその美しさに心を奪われ,結婚を申し出ますがコノハナサクヤヒメの父であるオオヤマツミノカミ(大山津見神)は,姉のイワナガヒメ(磐長姫)も一緒に嫁がせます。イワナガヒメは容姿が美しくないために,イワナガヒメだけを送り返してしまいました。オオヤマツミはこれに激怒し,イワナガヒメを嫁がせたのは,ニニギが岩のように永遠のものとなるように誓約を立てたからであり,イワナガヒメを返してしまった。

海幸彦(ウミサチヒコ)と,山幸彦(ヤマサチヒコ)の兄弟神の物語も有名です。海の猟が得意な海幸彦(兄),山の猟が得意な山幸彦(弟)は,ある日猟具を交換しました。山幸彦は魚釣りに出掛けた際に,兄に借りた釣り針を海の中で失くしてしまい,海幸彦に責め立てられました。そこで山幸彦は海の宮殿に向い海神から歓迎されて,娘のトヨタマヒメ(豊玉姫)と結婚をしました。そして地上に戻った山幸彦は,海神から授かった2つの珠つかって攻撃的な海幸彦を鎮め,忠誠心を誓わせたという物語です。

多くの神たちが物語を紡ぎ,それぞれは子孫を増やし,日本は「八百万の神々の国」といわれるようになりました。ときに人間的な魅力もみせる神たちの物語に注目してみるのもおすすめです。


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