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こんな夢を見た(20190128)

なんか夢を見た。

宇宙に人類が進出している時代なのだろう、
宇宙空間にコロニーみたいなものがフワフワ浮いていて、
そこで人々が暮らしているのだ。

しかし人が群れれば倫理が必要になる。
他にももっと必要な事が様々ある。

統率が必要である事は言うに及ばず、
するとなれば民衆を率いる統率者が必要になるのは世の常だ。
そこに権力が介在するのは当然の事で、
大きすぎる権力は人の心に純情ならざる欲を芽吹かせる。

サングラスをかけた男が居た。
時刻は夜だ。
夜にサングラスなんて躓きたいのだろうか。
恐らくガンダムで見たシャア、
もしくはクワトロさんがイメージになって夢に現れたのだろう。

彼は一コロニーの統率者である。
部下から渡された紙を見ると女の写真がある。
しかし年若く、彼女の顔もまた写りが鮮明ではない。
だがその顔に見覚えがあるのかグラサンの顔が固まる。

「生きていたのか?」
「そのようで」

そうだ思い出した、
このグラサンの男は後進の勢力で、
このコロニーには前代の統率者が居たが謀略でその一家を皆殺しにし、
コロニー統率権を巧みに掠め取った悪い男だ。

写真の彼女はと言うと謀略のどさくさに間一髪身柄を逃がされ、
同じコロニーの片隅で目立たないように細々と暮らす日々。

だがグラサンの顔が固い。
部下に命令を下した。
この娘を縛り上げてここに連れてこい。

娘が捕まるのはあっと言う間だった。
縄で縛りあげられ抵抗も出来ないままグラサンの男に担ぎ上げられ、
そのままコロニー外の宇宙空間に放り投げられるのだった。

その様を見ていた私はもうこれはどうしようもないと思った。
宇宙空間だ。冷たく、息も出来ず、血液は沸騰する。
これからこのコロニーはグラサンが甘い汁を散々吸うのだろう。

されども緊張すると人間の筋肉は変に力が偏る。
余程グラサンの投げた方向が悪かったのか、
少女の身体はコロニーの一部に吸い込まれるように流れ、
近くの人間達に救われて生身で宇宙空間を遊泳するという万死の状況から一命をとりとめる。
彼女の救助にあたった人間の中に旧体制派の人間がいたことで、
事の全容を知った旧体制派は怒りに燃える。

もう既に反乱の意志も無く我々は穏便に暮らしたいだけだ。
それなのにお嬢様をこんな目に合わせるなぞ、
グラサンはただの臆病者の卑怯者に過ぎない。
こんな奴にコロニーの統治を任せていていい筈がない。
立ち上がりましょう!お嬢様!

グラサンはと言うと、
最後の懸念人物である少女を宇宙の藻屑に出来たと安堵し、
盤石になったコロニー体勢を思い浮かべると旅行に行く準備を始めた。
別のコロニーに遊びに行くのだ。

グラサンが旅行でコロニーを発つ当日、
多くの人間が港に押しかけてグラサンに開いた手の伸ばす。
グラサンは差し伸べられる手を一つ一つ取り握手を交わすがシャトルの時間が迫る。

「ありがとう、ありがとう。」

そう言って短い時間で握手を何度も交わすグラサン。
いよいよ上番デッキがコロニー本体と離れだし、
それでもグラサンと握手をしたい人たちが手を伸ばす。
グラサンも最後まで群衆と握手をしよう自ら手を伸ばす。
そして最後にこの人までだな、と伸ばした相手の手が、
開かれた状態から銃を模した形になってグラサンの眉間に指を指し、
その指の持ち主はあの宇宙空間に放り投げた筈の先代の令嬢だった。

港はグラサンを送り出す群衆の声でうるさい位である。
しかしグラサンにはその中で少女の射殺してくる程の眼から静かな声が聞こえていた。

帰ってきたらお前を殺す。
なにがあってもお前を殺す。

群衆の声など気休めにもならない。
自分の眉間から狙いを外さない彼女の人差し指から目を離せないまま、
グラサンはシャトルへと流れていく上番の上で冷や汗を垂らすのだった。

という所で幕が下り、
どうやら私は映画を見ているらしいと言う事に気が付いた。
映画館を出てみると知り合いも隣に居たらしく、

「凄く面白かったね、
 これ続きいつやるんだろう」

とはしゃいで夜の新宿の本屋に向かう途中で目が覚めました。

恐らくあの少女が反旗を翻すに違いない。
グラサンがコロニーの外から急いで帰ってくるだろうその間に、
旧体制派をまとめ上げて中央機関を可及的迅速に制圧、
みたいな筋書きだとは思うんですけど、

ああ、
夢だったのが惜しい。

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