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"スケボー、やらん?"

スケボーってムズい


デッキと身ひとつあればどこでだって始められるというのに、
ボードに足を置くのってなかなかムズイ


だって、乗ったところで、

地面を恐る恐る蹴り出して、
ヨロヨロと前に進むしかできないし、
いい大人が尻から盛大に大コケするし、
ちょっとジャンプなんてしてみようものなら、
足の裏についてこないデッキの上で2cmくらい宙に浮くくらいだし、
教えてくれる人はなかなかいないし、

だからといってパークなんかいっちゃったら、
POPEYEに出てくるようなシティボーイがいっぱいいるし、
シティボーイはかっこいいから、
そんなボーイの前をヨロヨロと進むのは恥ずかしいし

そこで「お姉さん、教えようか?」なんて声をかけてくれちゃうようなイカしたステキボーイに逢えるとも限らない

逢いたいけど。

そんな出会いを求めて一か八かでパークなんかにいっちゃったら
十中八九大恥かいて次の日には寝込んでしまう可能性が高い
シティガールへの道はなかなかに険しい


だからといって、昔からの友達に

「スケボー始めない?」

とか急に言い出したら、
熱を測られ布団をかけられ四六時中看病されてしまいそうだ
だって私、こう見えて運動のセンスというものがこれっぽっちもない
(自転車に乗ったことがないというレアキャラぶりだ)
(ローラースケートにハマってた幼少期、自転車の練習というセミ義務教育を受けるのを忘れてしまった)

好きな靴はスニーカーより革靴だし

好きな洋服はSupremeやstussyのパーカーより
オーシバルやセントジェームスのバスクシャツだ

アメリカンよりフレンチが好き

だから、わたしのこれまでの人生の生き方を知ってる友達を誘うのは
なんだか小っ恥ずかしくて、勇気が必要だ

自分が作り上げてきたキャラクターなるものがここで足枷になってしまった
キャラ変というのは現実世界では難しい

スケボー、やりたいのにな。




「ねえねえ、スケボーやらん?」


この言葉を言えるひとを見つけたのは
BTSが好きというたったひとつの共通点だけで繋がるはずだったTwitterだった


どうやら、
どうやら私たちはウマが合うらしいね



「シェアハウスをしよう」


住人: Aさん
年上のえっちなお姉さん
息をするようにエロいこと言ってる
こちらが真面目な話してるのに1人でずっとエロいこと言ってる驚き


わたしに「強さと賢さ」という言葉をくれた人。
私は彼女に出会って初めて見えない世界で息がしやすくなった

初めてお話したときのことを覚えていますか?

あの日、私はやっと過去の自分と対峙することができました。
大袈裟かもしれないけれど、家族にも昔からの友達にも学校の先生にも言えなかった、私という人間の哀しさをやっと吐露することができました。
脳と身体が分離していた2人の私がやっと手を繋いでお互いを手繰り寄せることができました。

私と彼女の纏う雰囲気は全然似ていないのに、
どうしてか、愛し方とか言葉の温度感とか激情とか汚いところとか醜いところとか。
そういうところが少し似ている。


彼女はミュージカルの舞台みたいな人だと思う

自分の踏み込んできた経験から
自分の閉じこもっている部屋から
自分の自由さと不自由さをから
他人の人生に寄り添うことで外の世界に飛び出せる人だと思う

彼女は情熱的で一直線で薔薇のように1人で存在感を出せる人に見えるけど

実は繊細で、人生に物語性があって、沢山の経験と沢山の愛の集合体の中で生きてる

優しい桜みたいな人だ





住人:Mさん
年上の音楽を纏うお姉さん
私が初めて出会った酸素じゃなくて音楽で呼吸する人
太陽じゃなくて音楽で、光合成する人

天才だと思った。
なのに、嫉妬して羨ましく思う気持ちを追い越してしまうほどの優しい人だ。
私の醜い部分にある劣等感を、ぶつけてしまうには、あまりにも歯の立たない、柔らかく弾力のある人だ。

彼女は、不足を不足と捉えない
自分ひとりで地に足をつけて橋を渡れる人だ。
たとえ不足があっても目を瞑って橋を渡ってくれる人だ。

なのに、橋の上で私が震えていたら、渡り切った橋をもう一度引き返して、手を繋ぎに戻ってきてくれる。

私は彼女以上に、
一定の優しさと、広さと、自由さを持っていて、
なのに見え透いた贔屓のない一線の筋の通った人間を他に知らない。

水平線みたいな人。

どんなに海が波荒れても、
どうしてか水平線は波打ったりしないから。

その水平線が波を打つのは音楽が聴こえた時だ。

可愛い人だ。音楽が鳴りだすと、もう無意識に、愉快に、刹那げに身体が揺れちゃうような人だ。

ジャスがよく似合う。
2人のデュオから、4人のコンボ、さらにはビッグバンドまで、彼女はきっと馴染んでしまう。

彼女の即興は驚くほどに心地いい。


まあ私、ジャズは勉強中ですけども。(焦)(汗)

貴方の本質を揺らせるのは、
音楽でつながる誰かだけなんだろう。
私は貴方の本質を揺らしたくて色んな音楽を聴いているけど、まだまだ水平線近くまでは行けないらしい


でも私、彼女に教えてあげたいよ。

良い音楽が流れるカフェでは良い文章が書けるんだ。




住人:Cさん
同い年の、のらりくらりの可愛いやつ
私をお姉ちゃんみたいと言うけれど、どっちもどっちじゃない?

彼女は不思議な人だ。
尻尾は見せてくるのに掴みどころがない。
ふわふわと浮遊していて「捕まえてくれ」というのに、
いざ捕まえようとすると「何の話?」って顔をする

私と彼女は纏う雰囲気が似ているらしい。
さらには敏感になる部分もにているらしい。

私が彼女の部屋の扉をノックしたい日は、
私がただ誰かに好きと言われたくて、ただ誰かと一緒に寝たい日だし、
彼女が私の部屋の扉をノックするのは、
当然「好き」と言いたくなった日だ。
唐突に部屋を3回ノックして「こてつ子〜好きよ〜」って言って出て行く
私も好きよ、と返す間もなく去って行く

好きを欲しているのに、受け取り下手な彼女
自分のことは自分でしか満たせないのに、自分のことさえよく分からないという彼女
好きをうまく受け取れないから、好きと言われると申し訳なくなる彼女
遠ざかる彼女

矛盾だらけの面倒臭くて可愛いひと。

貴方はコンテンポラリーな人だね。
コンテンポラリ〜に踊る人だ。

ポーンポーンって跳ねて、ひらひら舞う

予測不能な角度から、近づいてくる

わたしにはその掴めなさを追いかけたいわけじゃなく、
ただわたしの周りをふわふわしていて欲しいなとは思う。

そのふわふわした浮遊物は、私を独りにはしないと思うから!





4人でコタツを囲む日もある。

コタツでは色んな話をした。
4人それぞれの「好き」の話もした。
容姿が気に食わなくて泣いた話もした。
ジミンさんの話もしたしユンギさんの話もした。
家族の話もしたし、
怒ったりもした。
過去の話もしたし、未来の話もする。

愛し方も違えば、容量も違う。


共感だけで繋がらない私たちは多分うまく行く。





特に好きな会話が以下である。



我ながら最高のお題である。



天才か?





急な報告に困惑。
笑っていいのか分からないところがお題の的を得ている




......そうか(そうですか)



このやりとりだけで、
その後1週間はウケるwって言ってた
しつこいハゲおやじにも、しつこい商談相手にも
話の通じない上司にも、高卒の私を見下す大卒後輩にも

「おしっこ掛け合いバトル」なら負けない件

だけで、全てが丸くおさまった。


4歳からの友達との会話と同じ匂いを感じた
(その友達は、私がお父さんのピンショット写真を送った時、「いい奴そうじゃん」といいやがった。人の父親にだ。なんて最高なんだ)

なお、前立腺肥大署は全くウケなかった
ちょっと信じられない、大丈夫そ?




私たちの仲良しエピソードでマウントをとっているところなのだが、気を悪くさせたら申し訳ない。



「爪伸びてて偉い、生きてる」
とか言う。

アホだ。

「私たちの家」
とか言って
馬鹿広い古民家風の部屋の間取り図を送ってくる。

アホすぎる。

「可愛い?」
と送りつけた自撮りには、

「口が良い、食べよう」
などと言ってくる。


まじで好きで笑うしかなかった。
いや恋人ともこんな話したことないぞ?




『こてつはどこまでも自分の心を麻酔なしで掘り進んでいく人』
『こてつを見ているとこんなにも人のことを愛せる人がいるんだって安心するんだ』
『こてつの好きを紐解いてみたい』
『"解らない"けど"知りたい"と思う』


私たちはここを
「自己肯定感上部屋(じここうていかんあげべや)」
と呼んでいる


自分大切度というものは持続性があまりないから、大した効力は発揮してくれない

だけど、

自分を間違いなく大切にしてくれる人がいるという事実は、
涙が出るほど安心する



Aさんは覚えているだろうか
「妥協で結婚してはダメ。いや、してもいいけどヤバそうだと思ったらすぐ離婚して。私はすごく無駄な時間を過ごした気がする」
そう言ったんだ。

彼女からのSOSはこの時が初めてだった


私は貴方に自分を重ねて

「この世には、自分の閉じこもる窮屈な世界と、外の広くてキラキラした世界、ふたつが存在するんだ。ある日そのことに気づいてしまった私は、自分の世界の異常さに気づいてしまった。だけど外の世界とのコントラストがあまりにも強すぎて、私は逆光で目が見えなくなった。でも自分の世界が暗いから外がキラキラして見えるだけで、外に出てしまえば何もかも"大丈夫"だから、早く外においでよ」

そう言ったんだ。


だけど貴方は今、私に家族3人の年賀状を送ってくれる。愛の塊みたいな息子くんの写真を送ってくれる。旦那さんにこんなことを言われたんだ、と少しだけ浮き足立った声でエロいことを教えてくれる。大切な人だと思ったと言う。

お別れを選んで、外の世界と表現した場所には来なかった。

私以外のMさんとCさんが、
私とは違う手を差し伸ばしたからだと思う。

そうだ、私たちは考え方も、育ってきた環境も、住んでる場所も、価値観も、

全然違うんだ。

私は3人をみて、この世には2つの世界なんて存在しないことを知った。
この世はたったひとつで皆同じ世界を生きていて、
走り出した先も、
閉じこもったこの場所も、

全く同じ世界で、私の世界だ。
愛おしい人のいるたったひとつの世界だ。


だって、
晴れの日の、
伏し目がちな瞳の内側からみた湿ったまつげのキラキラは、
どうしたって自分だけしか知らないんだよ。








早く、夜の公園で缶ビールを片手に集まってひとつのデッキに順番に乗りたい

めちゃくちゃすっ転げて、
2cmしか浮かんでないデッキにゲラゲラ笑って
「めちゃくちゃ上手いやんかwwww」
って言いたい


ちなみにAさんは、この問いに平気で
「いやよ、3人で行ってきなさいよ」
とか言うと思う


『ちぇ、分かったよ、いってきます』
と言って夜の公園に繰り出す

『気をつけるのよ〜』


気まぐれに
「.......今日はわたしもやってみようかしら」
とか言ってくれるのを私はちょっとだけ心待ちにしている

3人が好きだ

だけど、その好き、を、絶対的にはしたくない。
いつも同じ部屋の中にはいたくないし、
礼節も守りたいし、依存もしたくない。
勝手に出かけたいし、勝手に好きなお菓子を買いたい。

だけど、帰ってくる場所は同じがいいし、
今から帰るから風呂沸かしといて〜くらいは甘えたい。

たまには「今夜はみんなでピザ食べない?」
ってちゃんと守るべき約束をしたい。

わたしの「大切」は3人だけじゃない。
沢山沢山大切な人ができた。
ありがたいことに、こうしてnoteを書きたい人が
まだまだ沢山いる。

パーソナルスペースの狭いわたしのその中は、
できる限り沢山の大切な人で溢れたら良いな。

いつもありがとうございます。皆さんへ。


ちなみにもうひとついうと、
フレンチな洋服でお洒落なデッキを持つ女の子は
最高に可愛くてかっこいいよくてイカしてると思うんだけど、
皆はどう思う?




※A、M、C という名前に特に意味はない



稲澤 こてつ子

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