【新古今集・28】幽閉の後白河
まばらなる柴の庵に旅寝して
時雨に濡るる小夜衣かな
(新古今集・冬歌・579・後白河院)
隙間だらけの
粗末な小屋で
旅の一夜を過ごして
時雨に濡れる
私の夜具よ
小夜衣は要するに着る毛布です。ぬくぬくしてる後白河院。
しかし詞書には「鳥羽殿にて、旅宿時雨といふことを」とあります。後白河院は京で清盛と対立して鳥羽殿=鳥羽離宮に幽閉されました。その時の歌とすればぬくぬくしている場合ではありませんね。
離宮を柴の庵に見立てています。ならば時雨は涙の見立てでしょう。題詠ではありますが体験詠として詠みたくなる一首です。
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