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初恋

田舎の坊ちゃんだった私
全校生徒で100人強
クラス替えのない1クラス
毎日一緒にいる友達たち

異性とかのレベルを超え
仲良かった小学生時代
下手したらクラス全員
幼馴染みって感覚で
恐らく皆さまより初恋をするのが
遅かったのではないかと思います。

私が初恋をしたのは小学5年生の頃。
近所だし幼馴染みのさとみちゃん
それまで異性として思ってなかったのに
突然なぜか
意識し始めたんです。

でも
なぜだか、さとみちゃんのことを
好きだとバレるのが恥ずかしくて
どうしても仲良しの男の子とかに
教えないといけないときには
麻美ちゃんを好きなことにしてたなぁ。
麻美ちゃんは麻美ちゃんで
凄く可愛らしい子で
クラスで一番人気。
麻美ちゃんと言っておけば
みんな信じてくれたから。

そんなさとみちゃんのことを
想いながらも
何もせず中2になりました。

しいてしていたことといえば
犬の散歩コースに
さとみちゃんの家の前
を必ず入れること。

たまにすれ違った時に
挨拶程度だけど
それが幸せでした。

でもさとみちゃんは
犬が嫌い。犬が怖い。

すれ違うと言っても
道の端と端

これを小5から4年続けていました。

中2になってやっと

席替えのくじ引きで
さとみちゃんと横並びに‼︎

そこからは毎日
本当に楽しかった。
席替えして間もなく
ほんと数日した頃に
さとみちゃんが授業中に
机の下でゴソゴソしてる。
私に手紙をくれるらしい。

中身をみてみると
決してラブレターとは言えない
何気ない会話。
それでも
なんか嬉しい私は
一生懸命返事を書きました。
何の内容もない話だけど

何往復かしました。
その時の手紙はしばらく大切に
とってたなぁ。

授業なんて頭に入りません。
ジロジロは見れないけど
目線は黒板だけど
気持ちは完全に隣のさとみちゃん。

手紙をもらった次の休憩時間には
トイレの大便のところに隠れて
じっくり読んでガッツポーズ。

休憩時間にあった出来事としては
私の机の何かを覗く、さとみちゃん。
さとみちゃんは無意識なのか
意識的なのか分かりませんが
さとみちゃんの左手は
机でも椅子でもなく
私も右ももの上なのです。

ドキドキがとまりませんでした。

そして

ついにその時が来ました。

いつものごとく授業中に来た
さとみちゃんの手紙に書かれていたのは

愛のメッセージではなかったものの

『たいちゃんの好きな人教えて』

実は私はかなりのシャイボーイだったので
幼馴染みの女の子でも
みんな苗字に『さん』付けです(笑)
さとみちゃんなんて
実際は呼んだことありません(笑)

でもさとみちゃんをはじめ
幼馴染みの人達は私のことを
たいちゃんと呼びます。

私は悩みました。
好きな人を答えても良いけど

あなたなんです。

何をどうしようとも
ついに何気ない手紙から
ラブレターに発展してしまう。

本当にもてなくて自分に自信がなかった
小中学生時代。
女の子とは
フォークダンス以外で
手を繋いだこともない私。
(年齢層がバレる、笑)

悩みましたが
良いことを思い付きました。

『ゴクウの頭をなでたら教えてあげる』
と手紙に書きました。

ゴクウとはその時の愛犬。
散歩の時すれ違い
さとみちゃんは怖いから
道の反対側の端を歩く
そのゴクウちゃん。

私としては良い返事でした。
それは
まず散歩ですれ違うのは
次いつか分からない
たまにのことだから
心の準備が出来る

そして
さとみちゃんがゴクウの頭を撫でるには
かなりの時間がかかる

だって4年たっても
道の端と端

そして
最大のメリットは
田舎の散歩道
もし仮に
さとみちゃんがゴクウちゃんの頭を撫で
私が告白をしたとしても
誰の目もないも言うこと。

体育館裏とは訳が違い
噂などになる心配のない
誰にも見られない二人きりの環境を
作ることができるのです。

良い返事を思い付き
次の授業中にお手紙にして返す。

あとは少し
時間をかけて気持ちの整理と
何て言おうか考える

するとまさかの事態に‼︎
その日の散歩で
さとみちゃんと遭遇し
さとみちゃんが
ゴクウちゃんの頭を撫でたのです‼︎
たいちゃんパニック‼︎

何の準備も出来てない。
でも好きな人の名前を答えないといけない環境の中で私は…

『俺の大好きなのは…
さ、さ、さ…

ゴクウちゃん』

言えなかった。
それ以来
さとみちゃんから授業中に
手紙が来ることも
休憩時間に机を覗きこむような
ボディタッチも一切ありませんでした。

私の初恋の物語でした。

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