見出し画像

OC818の使い方メモ(4/12改訂)

AustrianAudio社製の素晴らしいコンデンサマイク、OC818を所有してます(2本・ピアノ用)。

このマイクは以下のような特徴を備えているのですが↓

製品ページ(mi7)からスクショしたもの↑

特筆すべきは、

①指向性を録音した後から変えられる。

②別売の専用ドングル「OCR8」をOC818に挿せば、Bluetoothによる遠隔操作でOC818の指向性を操作できる。

という二点につきます。

「いつでもステレオペア」も大変有難い仕様ですが、機能として上記①②はかつてないもので、特に①については革命的と言えると思います。

反面、その革命的な機能を使いこなすための説明やガイドはどうもあまり十分なものでないと個人的に感じたので(購入後半年で漸く①の使い方を理解しました)、気づいた事、わかった事をここにメモしておこうと思います。

まず、

・上記の①と②は直接的に関係のないそれぞれ独立した機能である。例えば②のOCR8が①を可能にする、とかそういう事ではない。

です。

自分のマイク構造についての知識不足が主な原因ですが、オフィシャルサイト関連の情報だけでは意外とその事が伝わりにくいのではないかと思いました。

次に、その①と②の機能紹介に登場する「Polar Designer」と「Polar Pilot」についてですが、

・Polar DesignerはDAW用のプラグイン(①の操作用)で
・Polar Pilotはスマートフォン用アプリ(②の操作用)

です。

繰り返しになる部分もありますが、つまり「OCR8」はスマホ(スマホアプリ)で操作するものであり、DAW上から操作はできないです。従って、DAW用のプラグインである"Polar Designer"とも関係する事は一切ないという事です。

この事を明確にした上で、まず先に②のOCR8のスマホとのペアリングについてのメモをしておきます。

・OCR8とスマホアプリを初めて接続する際は、OCR8のシリアルナンバーを入れる事が求められますが、それは「OCR8本体側面に印字されている6桁の数字」です。以下の画像を参考にして下さい↓

・OC818の指向性切替スイッチは右端の「・」にする。
・アプリ内のINFO(左画像)にシリアル番号はどこを見るかの記載もあればと思う。
・左の画像(Austrian Audioアプリ内のPolar Pilot画面)の左上の文字列はシリアルナンバーではない。
・ファンタム電源を通すとOCR8のランプが点滅しだします。

わかってしまえばそう複雑なものではないですが、オフィシャルの設定動画があってもよいように思います。ちなみに僕はPolarPilotがスマホアプリだという事に気付くまで結構時間がかかりました(Polar Designerの機能の一環だとずっと思っていた)。製品ページにちゃんと書いてはいるんですけど、こういうのってわかってないと意外と気づけないんですよね(^_^;)

というわけで②のOCR8とPolar Pilotアプリについてでした。

次に①ですが、これは僕が「マルチパターン(マルチ指向性、可変指向性)マイク」の仕組みを理解していなかったため、基本的な使い方ができるようになるまで半年もかかってしまいました。

順に、「指向性を録音した後から変えられる」とはどういう事かと言うと、

このサイトで説明されているような、マルチパターンマイクというものの仕組みである、"前後二枚のダイヤフラム(振動板)が拾う音の組み合わせ方" 
を、録音前ではなく後にする、つまり、

「1本のマイクに出力機構を二つ設ける」ことで、二枚のダイヤフラムが拾う音を「個別に出力・録音」してしまい、「本来録音の前に設定する指向性の組み合わせの作業を、録音後にできるようにした」

という事になります。

こう書くと割とややこしいですが、上のリンク先の図解を見ると感覚的に入ってきやすいと思います。

とは言うもののその "マルチパターンマイクの仕組みがわかっていれば①の仕組みも理解しやすい" という事は①の使い方が自力でわかってから気づいた事ですが(^^;)

というわけで、この事がわかれば、「帯域ごとに指向性を変えられる」というちょっと「??」な機能も、「なんか、できそう」くらいには思えるようになるかと思います。

それでも、いくつか落とし穴はあったので、写真と共にセッティングの手順を書きますと、

イ. OC818に付属の出力アダプタを接続し、本体とアダプタ両方にマイク(XLR)ケーブルを繋ぎます。

イ.

ロ.DAWに「ステレオ入力」のオーディオトラックを作成します(Polar Designerはステレオチャンネルにしか挿せないのでモノラルx2は✖︎(ただしbusを設ければ多分OK))。

ハ.Aのケーブルをロ.のステレオトラックに設定されているチャンネル(オーディオインターフェイスの1-2chや3-4chなど)に接続します。

そしてここが大きな落とし穴で、これがわからないばかりに随分と時間を浪費してしまったのですが、

指向性を中央に合わせる

ニ.指向性切替スイッチを中央に合わせる。

これをしないと背面側(アダプタ側)の音が出力されないのであるが、この超重要な情報がどうしても発見できずに何ヶ月も試行錯誤してしまった。

ホ.ファンタム電源を入れ(表側のチャンネルだけでOK)、左右両方に入力がある事を確認する(プリアンプ等の設定も揃えること)。下図の囲み①を参照。

ヘ.録音してみる。

ト.ステレオトラックにプラグイン「Polar Designer」を挿す(アサインする)。下図の囲み②を参照。

チ.Polar Designer(下図右下)操作画面で帯域ごとに指向性をいじってみる。

ピアノ録音のためにOC818を2本使用しているので、ステレオトラックを二つ、計4チャンネルを使用している。

・囲み①で、OC818一本でステレオ録音ができている事が確認できる。
・囲み②では、そのステレオトラック(x2)に「PolarDesigner」プラグインがそれぞれ挿してある事がわかる。
・囲み③(PolarDesignerウィンドウ左下)では指向性の設定をもう片方のチャンネルと同期(sync)する設定してある事がわかる。
・PolarDesignerのウィンドウ内のグラフで、帯域ごとに指向性を変えている事が確認できる。

「Polar Designer」の使い方はまだまだあるのだが、「指向性を後から設定する」の仕組みと設定手順はとりあえずこんなところです。独学に近いですが。

イ〜チまで8手順もあることを思うと、ろくに設定動画がない中で理解するまで何ヶ月もかかってしまった事も無理からぬように思えます(特に(ニ)、次いで(ロ)は解説なしではちょっとハードル高すぎるように感じるのは僕だけでしょうか。。)。

と、少し愚痴ってしまいましたが、これで「OC818のデュアル出力とPolarDesignerプラグインを用いた、事後可変マルチバンド指向性設定」はできるかと思います(まるで二郎コールだ)。

録音サンプルを追って上げる所存です

上の写真のような位置セッティングで録音をしました。それぞれのマイクの背面側で反射音(アンビエント)が録れているので、ニアとファー4本のマイクをセットしたようなニュアンスが作れます。実際4ch使っているわけですが、ポジション自体は二つなので、マイク4本立てたものの定位が合わせられない、、のような事がないです。

指向性やアンビエントの混ぜ具合を後から調整できるので、宅録&僕のような生兵法者にはうってつけに感じますね。理解するのに随分と時間を使ってしまいましたが、機能性や値段なりの価値を疑う事はないです。

この記事が誰かの助けになれば幸いです。

また何か気づいた際には追記いたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?