【ミュージシャン用語】ギグ(gig)とは

概ねWikipedia↑にある感じなのだけど、概要の説明が却ってわかりにくい(というかスラングなので正確な定義はそもそもないのだが)ように感じたので、主にジャズ・ミュージシャン界隈での使われ方で書いておくと、

・単発、日雇いの(演奏する)現場のこと。

本来は、特に職種は問わず、単発(日雇い)または短い期間の仕事を示す言葉である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

という本来の意味合いに、「演奏の仕事」というニュアンスが含まれて日米他で定着している(ミュージシャンだけか?)

最近はUber eatsなどの雇用形態やその問題を「ギグ・ワーカー」と称して論じられるようになったので、一般的にも耳馴染みがしてきたように感じる。要するに日雇いの事で、もう少し言えば「継続性が約束されていない、その都度の依頼や契約、又は報酬の仕事」といったところだろうか。

・ライブとの違い
ギグはイベント会場やホテル、レストランなどの運営者(殆どの場合仲介エージェントが入る)から依頼される「仕事」であり、予め定められた/合意したギャラ(ギャランティ、報酬、保証)をもらう事を前提としている。

従って、興行/自主興行であるライブショウとは根本的に性格が異なるので、上記Wikipediaの概要にあるような甲斐バンドさんやBOØWYさんのような事例は「単発である(転じて一夜限り的なニュアンスを含んでいるものと理解)」という意味以外は本来の「gig」的な意味や使い方には当てはまらないように思う。

・ジャズ・ミュージシャンがよく使う理由

めちゃくちゃ大雑把に言ってしまうと、

ジャズは「同じ曲を各演奏者個々人がどう演奏し、どう変わるか」を楽しむ、という性格が強く、

その為、「スタンダード」と呼ばれる、メロディとコード進行を暗記している事が期待される曲群か、又はそれに近い単純な譜面を見て、各人が自由に演奏・展開する、という演奏形態と習慣があり、

共演する人間や編成が変わっても、初めてましてでも、リハーサルをする時間がなくても、技量に応じて成立する性質を持つため、

ジャズミュージシャンは毎日 違うメンバーと違う現場(主にジャズクラブ)で演奏する、という生活が成り立つ(もちろんある程度馴染みのメンバーというものはできてくる)

という、正にgigな生態系である故に、他の音楽ジャンルに比べこの言葉を多様している次第である。

最後の「ジャズ・ミュージシャンがよく使う理由」以外は言葉の原意的にも概ね正しいのではと思います。

ご参考になれば。


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