見出し画像

帝王切開に立ち会った

2023年1月に、大阪から京都に引っ越した。

第一子の出産・育児に際して、夫婦どちらの実家にも近いところに住んだ方がいいだろうという理由で、お互いの地元京都に戻ってきた。

なにせ妊娠中なので、地元を懐かしんで色々遊びに行く、みたいなこともろくにできないうちに、気づいたら出産予定日になってしまった。(近所の散歩は飽きるほどした。)

予定日は6月19日。
付き合ったのが3月19日で入籍したのが9月19日なので、ちょうど間やなあとか思ってたけど、第一子は予定日より遅れることが多いらしく、例に漏れず1週間くらい過ぎてもイマイチ産まれる気配が無かった。

結果、6月27日から入院して誘発処置をすることに。

誘発処置は段階を踏んで進めていくらしく、初日に産まれることはなさそうとのことで、とりあえず27日は仕事に行く。
会社には、28日以降休みます、産まれたら次の日くらいからは出社できたら出社します。みたいなふわっとした休みの取り方をした。個人裁量の大きい仕事とはいえ、月末にこれを許してもらえてるのはありがたい。

27日は結局産まれる気配はなく、非常にファンシーな病院のパジャマ姿の嫁の写真が送られてきたりして、普通に就寝。

28日の早朝5時過ぎに嫁から連絡が来て、心拍が低いことがちょこちょこあるから、もしかしたら帝王切開になるかも、とのこと。朝の内診でいろいろわかるらしい。

一旦、二度寝。

7時半ごろに嫁から着信。
今から帝王切開やから、とりあえず病院きて!とのこと。なにそのスピード感?

歩道橋からみた病院。
これを撮っている時はなんの現実感もなかった。

言われたとおり、とりあえず病院に到着。
着くなりナイロンのカッパみたいなものを着せられ、ネットを頭に被せられ、何かしらの誓約書にサインをさせられる。翻弄される寝起きの男。

「もうあとは旦那さん待ちやで!」と助産師さんに言われ、病院到着後10分ほどで分娩室へ。
言葉のとおり、すでにお医者さんや看護師さんたちも準備万端。分娩室とは書いてあるものの、帝王切開ということもあり、ドラマで見る手術室のイメージの方がだいぶ近かった。嫁も顔だけ見えた状態で台に寝かされている。

帝王切開の立会ってほんまに大丈夫なんか?俺はほんまにここにいていいのか?という考えがぐるぐる回りつつ、あまりのスピード感にイマイチ現実感のないまま自分も隣に座らされる。

元気?気分どう?と嫁に問いかけたところ、「目めっちゃ腫れてな、めばちこみたいになってん」が第一声。このタイミングでまずそれ?と笑ってしまった。麻酔を打ったら腫れたらしい。

一言二言話したところで、どうやら施術が始まるらしい雰囲気に。

角度的には嫁の顔しか見えない位置に座っていたので、嫁の手を握って顔を見る。
部分麻酔の為、意識はあるが下半身の感覚はない状態の嫁は、まだめばちこの話をしている。

始まって5分もしないうちに、もう出るよ〜というお医者さんの声。
正直、帝王切開についてほとんど知識がなく、普通分娩の立会をするイメージしか持っていなかったので、こんなに早く出てくるのかとかなり驚いた。

そこからさらに衝撃を受けたのは、子供をお腹から引っ張り出す作業。
かなり力技で、文字通り引っ張り出す感じなのだが、嫁の体もかなり引っ張られて動いてて正直ビビった。むちゃくちゃ激しい。

そして、ついに引っ張り上げられて子供が出てきた。朝の8時38分。
血を撒き散らしながら出てきたので、自分もかなり血をかぶった。しっかりとした泣き声をあげながら、慌ただしく外へ連れ出されていく。旦那さんは一旦外へ、と自分も連れ出される。

そこからは四肢の確認や心音の確認をしたり、体を拭いたり、体重を測ったり、服を着させたり。(3380gもあった。)
とりあえずなんの問題もなさそう。自分もへその緒を切らせてもらった。

子供は綺麗になったが、その間自分は血まみれのままだった。助産師さんにごめんごめん!と半笑いで拭いてもらった。

分娩室の前で待ってた嫁のお母さんともご対面
小せえ

綺麗になったので、分娩室に戻って嫁ともご対面。この時嫁のお腹はまだ施術中だったので、普通に開いたままの状態で見えた。(愛する人間のことは何でも知りたいし何でも見てみたいけど、まさか腹の中まで見れるとは思ってなかった。貴重な経験。)

初対面。お腹開いてるからまだ抱っこはできず。

その後は一通り施術も終わり、面会時間も限られてるからとりあえず今日は家に帰ることに。
嫁も自分の病室に帰って行った。

この時もまだめばちこの話をしてた。なんやこいつ。



帰宅して、撮った写真を見返したり、朝飯を食べたりしていると、11時ごろに嫁から着信。

「呼吸が上手くできてへんみたいで、今から救急車で大きい病院に運ぶらしい。」

幸せ全開の脳みそが、嫁の震える声で一気に冷やされる。まさに血の気が引いたというやつ。
とりあえずお医者さんの説明を聞く為に、再び病院へ。

病院に着いて説明を聞くと、本来出し切るべき水が肺の中に残ってしまってて、呼吸障害を起こしている、とのこと。帝王切開では稀にあることで、ほとんどの場合は数日で良くなると説明を受ける。

その説明を受けている最中にちょうど救急車が到着し、産まれたばかりの息子が運ばれていく。酸素マスクをして連れて行かれる様は、見ててかなり心にくるものがあった。

自分も車で搬送先の病院に向かい、NICU(新生児集中治療室)に入る。

結論、大きな問題はなさそうで、濃いめの酸素濃度で過ごして様子を見ていくとのこと。病名は「新生児一過性多呼吸」で、文字通りほとんどの場合は一過性のものらしい。通常よりちょっと退院は遅れるらしいけど、それくらいなら全然よかった。

いろんな管が繋がっている。かわいそう。

保育器の中に手を入れて触らせてもらった。さっき産まれたばかりの我が子の体温を感じながら、管まみれの痛々しい姿を見てたら泣けてきた。
恥ずかしながら、愛おしいなあ、この子を大事にしよう、と心から思った。


出産前に思ってた出産立会とは何から何まで違ったけど、とても貴重な経験をできたと思う。

出産すごい。母すごい。人間すごい。
嫁ありがとう。息子ありがとう。病院の方々ありがとう。
みんなありがとう。最高!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?