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アクセシビリティって本当に”特別対応”じゃないの?

キャッチーなタイトルをつけてみましたが...

アクセシビリティを語る上でよく出てくる言葉「アクセシビリティは障害者のための特別対応ではない」、これを否定する気はまったくありません。

ただ、Webアクセシビリティの恩恵を多く受ける視覚障害者として、感じたことを書いてみようと思います。
※ 個人の気持ちなので、会社やチームのコンセプトとはまったく異なる内容です。

やっぱり”特別”なんじゃないかなぁ

冒頭にも書いた”特別対応ではない”について、疑問を持つ出来事がありました。

先日デザイナーさんと製品の画面のデザインについて離していたときに「kotanoriさんはブラウザのサイズと拡大率どれくらいで使ってるの?」と聞かれました。
そこで画面サイズとモニタの解像度を取得して表示してくれるサイトを見つけて確認したところ...

ディスプレイの画面解像度
横:3200 × 縦 : 1333

ウィンドウサイズ(スクロールバーなどを除く)
横:745 × 縦 : 368

え?え?これってほとんど iPhone8 と同じじゃん!
※ブラウザの拡大率が200%なのでこういう結果になってると思います

ちなみにモニタはDELLのU3818DWという、横が90センチもある大きなものを使っています。
ブラウザは画面全体の1/3程度の大きさで表示されています(物理的にはiPadより大きい)。
それでも私が得られている情報は、5インチ程度のスマートフォン並みなんだと認識した瞬間、「これって”特別”じゃないの???」と衝撃を受けました。

アクセシビリティって”医療保険”みたい

その後ぼんやりと「特別なのか?」「特別じゃないと言い切れるのか?」「どこまでいくと特別になっちゃうんだ?」などと考えていました。
いわゆる「アクセシビリティ対応」について自分なりにポイントを整理してみたところ、思いついたのはこんな感じ。

・早めにやっておいたほうがあとあとお得
・あとでやるのは大変(できないこともある)
・やらなくても普段困る人が大多数というわけではない
・やっておくと普段必要としていない人にもメリットがある
・やらないと何かあったときには大変なことになる

うーん。
医療保険とか、○○保険の▼▼特約みたいなものに似てるなぁ。

・早めに入っておいたほうが掛け金は安い
・あとで入ると条件が厳しくなる(制限で入れないこともある)
・入ってなくても普段から困ってる人が大多数というわけではない
・高額医療補償とか自転車特約とかペット特約とかがある
・入ってないと怪我や病気をしたときは大変なことになる

だからなんだってわけでもないんですが

保険に置き換えて考えてみると、保険に入らない人の理由は「今そんな余裕ないし」「普段から健康には気遣ってるから大丈夫」「それより別のものにお金使いたい」など、色々ありそうです。
そんな人へのアピールって、保険会社の人はどうやってるんだろう。

まぁ少なくとも自分の見え方を認識した今「アクセシビリティは特別対応じゃない」と言い切る自信がなくなってきたので、とりあえず来年からは「特別対応ではありません」「これやるとこんないいことが!」「ユーザー数が○%増えますよ!」「アクセシビリティ対応したら彼氏/彼女ができました!」みたいなセールストークよりは、もうちょっと別の方向からアピールしていきたいなと思っています。

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