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中国電力レッドレグリオンズ|森山兄弟、三男の日本代表入りを喜ぶ

 ラグビー日本代表のメンバーに「森山」の名前が記されていた。帝京大学の森山飛翔(ツバサ)だ。

「家族全員が喜んでいたし、特におかんが喜んでいた」。そう話すのは、30歳の森山皓太(コウタ)と22歳の森山迅都(ハヤト)。2人は、代表入りした飛翔の兄で、どちらも中国電力レッドレグリオンズ(中国RR)に所属している。

 京都の森山家は6人きょうだいで、男3人はラグビーの道に進んだ。長男の皓太は藤森中学校でラグビーを始め、東山高校時代にフランカーに転向したことで、ますます競技にのめり込んだ。摂南大学卒業後に中国RRに入り、今季はリーグワンのディビジョン3で10試合に出場。2度目の「ゴールデンショルダー」に輝いた強烈なタックルと熱すぎる闘志で存在感を放っている。

 次男の迅都は、兄が歩んだ道を参考にしつつ、友達の影響もあって藤森中学校で競技を本格的に始めた。京都工学院高校を経て、兄と同じ摂南大学に進学。卒業後は「兄とプレーしたい」という思いで今年4月に中国RRに入った。三男の飛翔は、小学生でラグビーを始めて、藤森中学校、京都成章高校、帝京大学と強豪校を歩み、大学2年生で日本代表に選ばれた。

 長男の皓太いわく、3兄弟は「会えばいつもラグビーの話ばかり」。日本代表は3人の夢でもあり、「誰が早く入るかっていつも話していた」という。そんな3兄弟で初めて日本代表に選ばれたのは、末っ子の飛翔だった。

 皓太は、「いつかは選ばれると思っていたけど、まさかこんなにも早く選ばれるとは思っていなかった。うらやましさしかなかった。もう嫉妬ですね。僕も日本代表を目指していたし、僕の方が競技人生長いのに、そっちが選ばれたかって感じでしたね」と笑う。

 次男の迅都は飛翔と歳が近いため、より仲が良いという。弟については「うまい、強い、 面白い」の評価だ。

「ラグビーをしているときは論理的ですね。 相手がこうするから、こういうプレーやトライが生まれる、だから俺はこのプレーをする、みたいな。プレーを客観的にイメージできて、自分がどういう動きをしたらそのイメージに直結するかっていうのを理解していると思うし、だから再現率も高いのかなと思う」

 さらに、迅都は「飛翔はマジで変なやつだけど、めちゃくちゃおもしろい。僕らの家はおもしろさで序列が決まるんですけど、飛翔が一番面白いですね」と三男のキャラクターを明かす。

「飛翔のイジリは嫌味を感じさせないので、それでみんなを笑わせている。親の話を聞いても、飛翔は中学も高校も保護者面談の時に先生から『飛翔の周りには絶対に人がいる』とか、『飛翔がいるだけでクラスが明るい』とか言われていて、周りからの信頼度があるんだなと思う。あと、今回の日本代表の記事でも、他の大学生が『チャンスを逃したくない』みたいなこと言っているのに、飛翔だけ『人生計画が狂った』って(笑)。そこでお前それ言う?って思ったし、そういうワードセンスの面白さはありますね」

 皓太は弟たちと少し歳が離れているが、一緒に切磋琢磨する2人を「尊敬している」という。三男の実力ついては、「3番(プロップ)なのにスタンドみたいに視野が広いし、ハンドリングは本当に素晴らしい物を持っている」と絶賛。ただ、負けん気が強い長男は、末っ子の代表入りにますます闘志を燃やしている。

「やっぱり悔しいので、負けてられないっていう気持ちが芽生えている。僕は今年31歳になるけど、まだまだ現役の間は日本代表を諦めていないので頑張ります」

 飛翔は6月22日に行われたリポビタンDチャレンジカップ2024のイングランド代表戦で登録メンバーに入らず、ファーストキャップ獲得は叶わなかった。ただ、6月23〜28日に福岡合宿を行ったJAPAN XVのメンバーに選ばれ、6月29日のマオリ・オールブラックス戦はリザーブで登録メンバーに選ばれた。この試合はキャップ対象ではないものの、森山兄弟の末っ子の勇姿に期待だ。

(写真は森山兄弟2人の提案で真ん中に弟が入るのをイメージして)

取材・文・写真=湊昂大
2024.06.18 @中国電力坂グラウンド

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