学校で没収された時の法律と対策 【理不尽予防学】#1
「知識で理不尽を防ごう」というコンセプトの理不尽予防学の#1です。
今回は学校でものを没収された時の法的な対策、防止策です。
中学生〜大学生に向けてわかりやすいように書いていきます。簡単に説明するところがあるので、法律の厳密性が欠けている可能性もあります。
しょうがくせいのかたは、ほごしゃのかたといっしょにみてください。
※筆者は法律のプロではありません。内容は法律、弁護士の方のサイトを引用し書いていますが、事実を保証することはできません。引用部分は灰色背景にし、引用したサイトは各章の最後にリンクを貼ってあります。
防止策
最初に、この調査から導かれる結論を書きます。
没収への防止策は、
1没収に同意しない
2所有権の侵害を主張する
3校則には強制力がないことを説明する
4没収に応じないことによる成績の低下は不当であると主張する
この4つだと考えられます。
ここから詳しく説明していきます。
定義
今回の没収の定義は、「教育基本法で定めてある学校の職員が、生徒のものに同意なく触れる、預かる、受け取る行為」とします。
教育基本法では、
学校は、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校
と書いてあります。
簡単にいうと、「学校で先生にものを触られた、預かられた、取られた」ことを没収と決めます。
その上で対処法、防止法を調べて書いていきます。
引用
所有権
皆さんが学校に持っていくものには大抵、所有権があると思います。親からあげると言われてもらったものには、所有権があります。
贈与は、民法549条で、「自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方が受諾をすること」で成立するとされています。
所有権があるというのは、簡単にいうと「自由に使用したり、人に貸したり、捨てたりできる」ということで、民法において定められています。
「所有権」があるというのは、目的となった物に対して、「自分の意思に従って、自由に、排他的に、使用、収益、処分する権利」があるとされる。
また2020年現在の日本には「所有権絶対の原則」があり、国家権力や他人によって介入や制限を許さないという意味があります。
所有権がその物に対する完全な支配権であることを,「所有権の絶対性」と言います。所有権の絶対性には,国家権力や他人といった他者による介入や制限を許さないという意味があります。
もし所有権を侵害された場合、簡単にいうと「自分のものを自由に使用したり、貸したり、捨てたりできなくなった」ときは、不法行為制度による損害賠償請求が可能です。また相手は「損害を賠償する責任」を負います。
所有権侵害があれば不法行為です。
不法行為が成立すると,民法709条により加害者は被害者に「損害を賠償する責任」を負います。不法行為の要件をすべて満たすと,その効果として損害賠償請求権が発生する
こちらのサイトにはさらに詳しく丁寧に書いてありますので、ご覧ください。
引用
https://www.y-harada.com/ヨッシーの法律相談/お年玉-贈与-と法律/
https://hougakudoujou.jimdofree.com/民法/民法初伝/民法初伝一日目/
https://hougakudoujou.jimdofree.com/民法/民法初伝/民法初伝三日目/
法的な観点から
では、現状の没収は法的には許されるのでしょうか?
法律では、学校による懲戒は「教育上必要な配慮」が要求された上で「教育上必要があると認められるとき」に限り許容されています。
つまり、「教育上必要な配慮があり、教育上必要だから」という理由で、学校による懲戒として、生徒の所有権が侵害されています。
校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
引用元:学校教育法第11条
第二十六条 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
引用元:学校教育法施行規則第26条
引用
https://keiji-pro.com/magazine/77/
校則と法の関係
しかし、学校は内閣が運営している行政機関であり、法律に基づいていなければなりません。
学校が定める校則と法律の関係は「熊本丸刈り裁判」の判決からわかります。
教育は人格の完成を目指すためのものであるため、教育に関連しかつその内容が著しく不当なものでなければ生徒の服装等に関する校則を定めることは裁量権の逸脱とは言えない。
生徒の守るべき一般的な心得を示すにとどまり、それ以上に、個々の生徒に対する具体的な権利義務を形成するなどの法的効果を生ずるものではないとした原審の判断は、首肯するに足りる
簡単にいうと、ルールを作るのは問題ないが、それが実行力を持ったらダメですよということです。
丸刈りにしてきなさいと注意することは、問題ありません。
しかし、教師がバリカンをもってきて丸刈りにするのはいけないということになります。
没収の場合を考えると、「〇〇を渡しなさい」ということはできるが、それを強制することはできない、となります。
引用
https://note.com/banbirokon/n/n0f099b8a7bb6
先生と生徒の関係
熊本丸刈り裁判の判決から、校則に強制力はない、ということはわかりましたが、実際はどうでしょうか?
先生から「スマホを渡しなさい!」と言われたときに「断る!」と言い続けられる生徒はいるのでしょうか?
先生と生徒の間では、力関係があります。
先生には成績の決定権や進路の補助、教室内での発信力による同調圧力、いじめの助長などの強い力があります。
「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」
(引用元:いじめの定義の変遷|文部科学省)
ここからは私の意見ですが、
例えば「没収に応じなければ成績を下げるぞ」「受験や将来に響くぞ」と言われたり、それが頭をよぎったりすれば、ほとんど強制力があるに等しいと思います。
その場合は、刑法上の脅迫に当たる可能性があります。
刑法上の脅迫とは他人に恐怖心を与えることです。相手になんらかの危害を告知すると、刑法上の脅迫が成立します。
法律上では校則の強制は認められていませんから、強制されたとなればそれは教員の責任です。
暴行や脅迫によって所有権が侵害されれば、これは強盗や恐喝にも当てはまるかもしれません。
あくまで私の意見です。
引用
https://izumi-keiji.jp/column/zaisan/goutouzai-kaisetsu
防げない場合
今までの調査から防げない場合をまとめると、
・生徒が同意して物を渡した場合
・所有していること自体が違法なものの場合
だと考えられます。
防げる場合
逆に防げる場合は、
・教育上必要でない場合
・暴行や脅迫によって強制された場合
また、没収に応じなかったが故の成績の低下や進路補助の怠慢なども、不当なため防げると考えます。
防止策
これまでの調査から導き出される防止策としましては、
1没収に同意しない
2所有権の侵害を主張する
3校則には強制力がないことを説明する
4没収に応じないことによる成績の低下は不当であると主張する
この4つだと考えられます。
イメトレ
防止策の4つをいきなり全てやる必要はありません。上から1個づつでいいんです。
1個づつ、何をどうやって説明するか考えて、それを口に出して練習してみてください。
そしてもし本番が来たら、考えた言葉をそのままゆっくり落ち着いた声で喋ってみてください。
うまくいくかもしれませんし、うまくいかないかもしれません。
しかし、今まではただ受けるだけの理不尽に対して、何か対応が取れる。これだけで大きな一歩だと思います。
長くなりましたがまた次回、お会いしましょう。
※筆者は法律のプロではありません。内容は法律、弁護士の方のサイトを引用し書いていますが、事実を保証することはできません。引用部分は灰色背景にし、引用したサイトは各章の最後にリンクを貼ってあります。
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