一つのことをするのは、愚かなこと?

コクヨ野外学習センターのPodcastによって放送されているPodcastのうち、
最初に衝撃を受けた会が、丸山淳子先生がゲストとなった会である。

ここでは、放送をサマリするとともに、Podcastの内容をサマリすることにチャレンジすることをしてみたい。

では、早速本題にいってみよう。

前提

丸山先生の研究対象は、アフリカ・カラハリ砂漠に住んでいる狩猟採集民族である「ブッシュマン」。
狩猟採集民族とは言えども、狩猟採集のみで暮らしているのではなく、生活の一部を狩猟採集で賄っているという言い方が正しい。

ブッシュマンとは

そもそも、狩猟採集民族はどこの社会でもマイノリティであり、もっと強い民族から差別的に見下されており、差別的な呼び方が存在する。
ブッシュマンもその一つであり、藪の中の人、未開の地の人のような意味がある。
それ以外にも「サン」といった貧しい、物を持たないという意味がある。

一方、ブッシュマンとくくれる人の中には、非常に多くの言語グループが存在しており、
丸山先生は「ズイ」と「タナ」というグループを研究対象としている。
彼らがそれぞれ自分たちを示す言葉を持っている。それが統一できない。

そのため、外から「ブッシュマン」とか「サン」という名前を、差別的な意味ではなく、ポジティブな意味を込めて使っている。これは現地の人との会話を得た上で使っている。

生活環境であるカラハリ砂漠とは

かつて、狩猟採集民族はその都度家を壊し、作り、移動しながら生活をしていが、
狩猟採集民族はどんどん生活が変わってきている。

その一つとして政府による開発プロジェクトの一貫として、
いわゆる近代化(学校や定住など)されたサイトが存在する。
※一番最初に始まったプロジェクトは1970年代

丸山先生は、ここに先住民族が住むと何が変わって何が変わらないのかを研究している。
ブッシュマンは約10万人いるが、ほぼ全員が当該開発プロジェクトのサイトや
都市部などに生活拠点の一つを持って生活している。
(先生はここにホームステイして暮らしたりしている)

開発サイトとそこでの生活とは

開発サイトの開発計画の考えは、
「狩猟採集は遅れており、安定せず、可愛そうだから、
それをやめて、先進国的な暮らし方が進んでいるから、その先進国的な暮らし方にさせてあげよう。
そのために、狩猟採集はなるべくさせないで、定住させて、学校にいかせて、病院にも行けるようにして、お金を稼ぐ経験をさせるようにして、そのお金で食べ物を買うような生活にさせよう。」
ということが、開発計画の基本的な概念になっている。

一方、ブッシュマンは賃金労働をあっさり受け入れている。
学校にも行き、定住もしている。
しかし、同時に、狩猟採集も継続している。

家畜もらえるなら、もらうし、畑があるなら、畑も運営するけど、
狩猟採集も続ける、ということになっている。

Q.なぜ狩猟採集をやめないのか?

逆に、「新しいものが入ったら、古いものをやめるだろう」と思い込んでいたことがわかった。
賃金労働も狩猟採集も共存しているのが現実(ちなみに、中にはヨーロッパなどに留学していた人もいるが、その人もその共存した生活をしている)。
昨日スーツを着ていた人が、今日は森の中で狩りをしている、といったことが日常茶飯事。

よって、「新しいことはよいこと」であり、「新しいものを使ったら、遅れているものは実施しない」と思い込んでいたが、それは変化の仕方の一つでしかないことがわかった。
この考え方の前提には、
「こっちのほうが絶対にいい」という考えと、
「選ばなければいけない」という考えが存在している。

例えば、家畜かったら、野生動物は狩らなくなる、という発想をしがち。
本当は私達も2つがよいのだが、片方だけをとってしまっている。

Q. ブッシュマンの労働時間は?

人によるが、朝から晩まで、という人はめったにいない。大体、4〜5時間が平均。
仕事は、工事現場(公共事業)で働くことが多い。
その仕事でも、午前中だけとかである。
さらに、1ヶ月単位で雇用するが、
「1ヶ月はたらいたから、1ヶ月休もう」
「ちょっと働きすぎたから、そろそろやめる」といった人が出てくる。
あんまりどんどん働くぞ!という人は一般的ではない。

Q. 賃金労働に対して、ブッシュマンはどう考えているのか?

生活の糧を得るという意味では、狩猟採集と同じ。
ただ、性質は異なる。狩猟採集は行きたいときに行けばいいが、賃金労働は決められた時間に行かないといけないという理解はしている。

一方、仕事を嫌なこととは思っていない。
好きではない人は狩猟採集をやらないし、賃金労働も、嫌な人はやらない。
好きだから、賃金労働をしているが、ずっっと賃金労働をしようとは思っていない。

「今月は、賃金労働をやろう」
「今月は、お店をやろう」
「今月は、狩猟採集をやろう」

というのを、自由に選択している。

つまり、日本のように「〇〇会社の〇〇さん」という肩書は存在しない。
みんないろんなことをしている。


Q. 一つの仕事に特化しないということが特徴なのか

ブッシュマンは開発プロジェクトを進めている人たちを、
陰口で「一つのことをする人」と呼んでいる。
「1つのことだけをする」と言われることに対しては、抵抗がある。
あることだけをやる、ということは変だよね、という感覚がある。
だから、同じ仕事をずっとしている人がいることは、
彼らにとっての謎の一つ。「え、まだ同じ仕事しているの?」といった感じ。

これは、日本の小学校で「あれもやりたいしこれもやりたい」となったら、
一つにしなさい、とか言われることと真逆。
一つのことに専念しないと実現しないと思っているが、
ブッシュマンは、牛を育てるのも上手くなれるし、狩りも上手くなれると思っている。

もちろん、あの人は狩りが得意とか、牛の面倒が得意、とかはあるが、
それをずっとしていようとは全く思っていない。

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以上です。

いやぁ、面白い。めっちゃ面白かった。
これ書くときは、もう3回目なので、新鮮味は減っているのですが、
多くの日本人が「正しい」と思っていることが、
世界では、「正しい」とは限らない、という事実が存在することが面白い。

Podcastが好きで、よく聞いているので、
面白い、これは勉強になった!というものは、また継続してサマリや文字起こしをしていこうと思います。

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