TikTokは危険?現在の懸念について

TikTokの成長と今後

TikTokは、中国のByteDance社が開発した短い動画を音楽と共に加工して投稿するSNSです。
サービス開始当時、この分野では既にMusical.lyというサービスが普及しており、それと酷似したTikTokがヒットするとは思われていませんでした。
しかし、巧みなUI(ユーザーインターフェース)と音楽との組み合わせにより瞬く間に世界でヒットしました。

Tik Tokとは、Bytedanceが提供マートフォン向けの動画共有サービス、およびアプリの名称である。
TikTokは、短い動画を撮影、加工して共有できる、いわゆるリップシンクアプリの代表的サービスのひとつとして知られる。同ジャンルの代表的サービスのひとつである「Musical.ly」もBytedanceにより買収され、Tik Tokとの統合が進められている。
TikTokを運営するBytedanceはシンガポールに拠点を置く企業である。2017年半ばには日本にも本格的に進出しつつあり、YouTubeなどで動画広告が配信されている。
引用元:Tik Tokとは何? -Weblio辞書

TikTokの懸念とは?

TikTokの懸念は、主にプライバシーの面です。
ご存知の通り、TikTokは中国企業が開発しています。
これが主要な問題の原因です。

1.中国共産党に自分の個人情報が渡ってしまう?

全ての中国企業は中国共産党の指導下にあり、中国のサイバー関連法により、中国国内にサーバーを設置する企業は、政府とデータを共有することを義務とされてます。
これにより、TikTokに集まった個人情報は実質的に中国共産党のものになっているのではないかと言われています。

これに対しBytedance(TikTokの運営)は

米国人ユーザーのデータを保存するサーバーは中国ではなく米国とシンガポールに置かれている。
TikTokが米国の安全保障問題に-中国政府に個人情報渡るのか(bloomberg)

と説明しています。
中国国外のサーバーに保存しているので、政府とのデータ共有の義務はないという主張です。しかし第4項で触れますが、この主張には疑念があります。

2.不要なデータまで収集されてる?

  専門家によると、ティックトックはユーザーがアプリをダウンロードした瞬間にデータを収集し始める。ティックトックのプライバシーポリシーと利用規約によれば、同アプリは利用者がどんなウェブサイトを訪れるかや入力時のタイプの仕方やそのリズムまで把握する。
  またユーザーに対し、許可を取り消さない限り、写真や動画、端末のアドレス帳に登録された友人の連絡先に完全にアクセスするともティックトックは警告している。
  自宅のリビングルームで歌ったり踊ったりしていないときでも、ティックトックはIPアドレスや衛星利用測位システム(GPS)を使って、仕事や投票、抗議集会への参加、旅行、買い物といったあらゆる場面でユーザーがいる地点を正確に捉えている。
  サイバーセキュリティー企業ジンぺリウムのリポートによると、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」向けのティックトックがユーザーとその端末を認証するのに用いるツールは、悪質なサイバー攻撃に脆弱(ぜいじゃく)だと専門家から指摘された。ただジンぺリウムの姉妹企業ゼックオプスによれば、ティックトックがそうした攻撃を仕掛けるプラットフォームとして使われたことはない。
TikTokが米国の安全保障問題に-中国政府に個人情報渡るのか(bloomberg)

専門家と利用規約によると、なんと撮影してないときでも位置情報やアプリ外の使用情報を収集していると言うのです。

これは仮に中国政府に情報が渡っていないとしても、過度に広範囲のデータを収集しており、問題視されています。
直近にはクリップボードの内容をこまめに取得していることが判明しました。TikTokは機能を削除すると説明しましたが、それから削除されていません。
しかしこれに関しては、GoogleやMicrosoftのアプリも不用意に取得していたことが判明したため、TikTokのみの問題とは言えません。

3.中国政府に反対の姿勢を示すとペナルティを受ける?

以前、このような事件がありました。

アメリカに住む17歳の女性が、TikTokに「メイク方法のレクチャーに見せかけて中国政府によるウイグル人弾圧を批判するムービー」を投稿したところ、数日後にTikTokアカウントが停止されるという事態が発生。女性を含めた多くの人々は「TikTokによる不当なコンテンツ検閲が行われた」と見ていますが、TikTokは「話題となったムービーとは別のムービーが原因でアカウントを停止した」と主張し、政治的なコンテンツ検閲について否定しています。
GIGAZINE

この動画が削除されアカウントがBANされたことで、中国政府の圧力があるのではないかと言われています。
事実、偶然誤ってこの動画が削除されたとは考えにくく、疑惑は解決されていません。

4.法令違反となるプライバシー侵害をしている?

エーベル氏はこの解析結果から「TikTokに入力した検索ワードはFacebookに送信されています。これが『正当な利益や透明性』の範疇にあるとは到底いえません」と指摘。このように、ユーザーの許可なく情報を第三者に引き渡すのは、個人情報の持ち主に対する事業者の義務を規定した「(PDFファイル)一般データ保護規則(GDPR)第14条」に明確に違反しているとエーベル氏は述べています。
Facebookの他にも、データはモバイルアプリの広告効果測定プラットフォームであるAppsFlyerにも転送されていることも分かっています。エーベル氏によると、AppsFlyerは4500以上の提携先を保有しており、その中のどれにデータが転送されているか明示されていないため、GDPR第14条の義務を第三者と共有する場合を規定したGDPR第26条にも抵触している可能性が高いとのこと。エーベル氏はさらに、「最も重要なことですが、これらの個人を特定できる情報(PII)がヨーロッパ外にある北京のサーバーに持ち出されていることは、GDPRどころか基本的権利の侵害です」と述べて、TikTokの個人情報の取り扱いが、複数の条項に抵触しているとの見方を示しました。
GIGAZINE

今までの項でも触れましたが、TikTokは大量に本来必要ないデータを集めている疑惑が持たれています。これがFacebookやAppsFlyerに送られているというのです。
FacebookやAppsFlyerから先はどのようにデータが利用されるのか不明確な点が問題視されています。
また、データが北京のサーバーに送られている疑惑が持たれているため、第1項で述べたByteDance(TikTokの運営)の
「米国人ユーザーのデータを保存するサーバーは中国ではなく米国とシンガポールに置かれているから問題ない」
という主張が事実と異なる可能性があります。

アメリカ政府の規制

アメリカ政府はこのようなTikTokの問題に目をつけ、米国民のプライバシーを守るため中国製アプリに対して規制をかけようとしています。

トランプ政権は中国企業が提供する動画共有アプリ「TikTok」に関して、利用者の個人情報が中国政府に悪用されるおそれがあるとして、利用の禁止を含めて対応を検討しています。
NHK

他にも各国で懸念の声が上がっており、日本でも禁止の動きが出ています。
今後TikTokが透明性を確保できるかが課題となっています。
TikTokはイギリスに本社を移す計画もあり、中国政府と明確に関係性を切れれば信用が回復する可能性もあります。

TikTokは世界に10億人のユーザーを持つ人気アプリですが、「ユーザーのさまざまな情報を収集している」と指摘されており、インドで使用が禁止されたほか、香港から事業が撤退し、アメリカ議会でも「TikTokはプライバシー上の懸念があるため使用しないように」と警告されています。

このような懸念が広まるなか、TikTokが中国を拠点とする親会社・ByteDanceと距離を置くために、本社を中国・北京からイギリスに移す計画を立てていることが判明しました。
GIGAZINE

明るいニュースも?

様々な懸念が持たれているTikTokですが、現在Microsoftが買収に乗り出していると言われており、これが実現すればアメリカでの中国製アプリの禁止からは逃れられる可能性があります。
しかし買収するのは米事業のみと言われているため、日本で今後どうなるのかは不透明です。

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