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素敵なご夫婦の話


今日はお休みでしたが、施設でトラブルがあり朝からバタバタだったので記事のクオリティが低くても仕方ないと思います。#デジャブ

こんにちは、コッシーです。


さて、介護のお仕事をしていると時折「死にたい」「早くあの世に逝きたい」という発言をされる利用者が見えます。

そんな時僕ら介護職は、「そんな事言わないで」とか「ご家族のために頑張りましょう」などと言ったような励ましの言葉をかけます。

その言葉に決して嘘はなく利用者が死んでも良いと思っている介護者は1人もいないと思います。

しかし、稀に本当に辛い境遇の利用者がおられます。例えばお子さんにも先立たれてしまいお身内が誰1人もおらず、生きているというよりも生かされているような状況の方がいます。そんな方が「死にたい」と言われた時、僕は心から励ましの言葉を掛けられないことがあります。

死んだ方が良いとは絶対に思いませんが、「死にたい」という言葉に対して何を言えばいいのか、どう応えればいいのかが分からない時があります。

僕は今までの人生で「死にたい」と思った事は1度もありません。しかし考えたくもないですが最愛の息子がもし命を失ったとしたら、僕は死にたくなると思います。

そんな時、「死んだらダメだ」「頑張って生きよう」と励まされたとしても、お前に何が分かると、僕の事は放っておいてくれと思うに違いありません。

入居者の中にはその思いに近い人たちもおり、そんな時にはありふれた励まししかできない自分の無力さを痛感して落ち込んだりしていました。


先日、うちの会社のケアマネからある利用者夫婦の話を聞きました。

利用者は60代の男性の方で介護保険の利用者としてはお若い方だと思います。奥さんは旦那さんよりも少し若く50代後半で明るく元気な方でした。

そのご夫婦はとても仲が良く出かける時などは必ず手を繋ぐほどでした。

お子さん、お孫さんもそんなご夫婦が大好きで、仲睦まじいとっても素敵なご家族です。

数か月前に旦那さんが末期ガンと診断されました。

ご自宅で療養していましたが日に日に状態が悪化し介護負担が大きくなってきたため、うちのケアマネはホスピスへの入院を何度も進めたそうですが、ご夫婦は頑として首を縦に振らなかったそうです。

奥さんは大好きな旦那さんのお世話をするためご自宅に拘るのは分かりますが、旦那さんはそんな奥さんに負担をかけていることを分かっていますが、それでもホスピスへの入院を承諾しません。不思議に思ったケアマネは奥さんがいない二人きりの時に聞いたそうです。すると旦那さんはこう答えたそうです。

「あいつに負担をかけているのは分かっています。俺が入院すればあいつの負担を減らせるのも重々承知です。でもそれをすると俺が死ぬときあいつは後悔すると思うんだよ。後悔だけはさせたくないんだよ」

それを聞いたケアマネはホスピスを進めるのを止めて、在宅で看取りが出来るようにいろいろと手配をしたそうです。


それから数日後、旦那さんは最期の時を迎えます。

旦那さんは奥さんの腕に抱かれて息を引き取ったそうです。

「愛してる。幸せだったわ」「僕もだ」

そう言い合った二人は最後のキスをしたそうです。

お通夜に参加したケアマネが「まるでドラマみたいでしょ!」と奥さんから笑顔で語られたとのことでした。

ケアマネは「まるでドラマみたいでしょ!素敵~!」と僕に笑顔で語りました。

死んで幸せなんてことはないと思いますが、そのご夫婦は間違いなく幸せだったと思います。


「死にたい」と言われる方に僕は何と言えばいいのか、どう応えれば良いのかの答えは未だ分かりませんが、ただ一つ確かな事は、「死にたい」と思う境遇のまま死んで欲しくないと思います。

このご夫婦のようにとても幸せな最期を迎えられることは稀かもしれません。それでも僕は誰しもがその資格を持っていると思います。

僕は無力で何もしてあげられないですし、詭弁かもしれませんが、誰もが幸せな最期を迎えられるそんな優しい世界になって欲しいと心から願っています。


それではまた。

コッシー

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