若人へ

家の冷蔵庫が突然壊れて冷蔵も冷凍も完全にダメになってしまったので知り合いの電気屋さんに「お勧めの冷蔵庫って何?」って聞いたら「壊れたのなら在庫があるヤツ一択」という明朗快活な答えをいただきました。#そりゃそうだ

こんにちは、コッシーです。


さて、うちの会社は新卒採用をあまり積極的にしておらず、採用のほとんどが中途になります。

介護事業の採用の多くは【欠員募集】が多い為必然的に中途で経験者の募集になります。うちの会社も例外ではありません。

しかし、稀に将来性を重視して若手を募集することがあり、それこそ新卒に近いくらいの若者を採用することがあります。

今年の8月に福祉用具の営業として採用としたN君もそういう枠組みで入社してきました。


N君はどちらかと言うと寡黙で積極性には若干欠けるタイプでした。面接でも他の応募者よりも自己アピールが弱い印象を抱きました。

しかし福祉用具の営業と言うのは物をガンガン売っていくよりかは、利用者に寄り添い利用者を助けるために本当に必要な用具を提案できる方が結果多くの受注を得ることになると思っています。

そのため採用の基準としては営業トークが上手いとか自己アピールが強いとかではなく、【誠実さ】を重視していました。

N君は前職ではドラッグストアの副店長をしており、コロナ禍における異常なマスクとアルコールなどの需要の中、店長とスタッフとお客さんの間に立たされ非常に苦しい思いし、ついには心が折れてしまい転職を決意したそうです。

僕がN君に好感を持ったのはここからで、ただ無責任に辞めてはそれこそスタッフさんや店長そしてお客さんに迷惑がかかってしまうとのことで、騒動が落ち着くまでは勤務をしたと言っていました。

まぁ面接の席ですから多少盛ってる部分はあるかもしれませんが、N君の様子からはそれは感じられなかったため、【誠実さ】があると判断し採用にいたりました。

N君も販売員から営業という新たなチャレンジに希望と意欲を胸に入社してきました。


しかし現実は甘くはありませんでした。


福祉用具の営業というのはその実なかなか大変な仕事であり、介護保険の知識はもちろんのこと商品や住宅改修の知識、そして折衝先もケアマネ、本人、ご家族。用具業者、市や県の担当者などなど業務が非常に多岐に渡ります。

N君にとってこの仕事が想像を遥かに超えるほど大変だったみたいで、やる気を見せていたのは最初のひと月だけで、それからは急激にモチベーションを下げていきました。

先輩が運転している横の助手席で居眠りをしたり、お願いしていた書類作成を忘れたり、出勤時間ギリギリに来るようになったり、退社時間ちょうどで帰宅したりと目に見えてやる気はありませんでした。

先輩たちの叱咤激励に対しても「はい、すみません」と一応は返事をするものの、結局やる気を見せることなく試用期間の3か月が終えようとしていました。


皆さんご承知の通り会社は学校ではありません。お給料と言う賃金が発生しています。新人ですからミスをするのは全然構いませんが、スキルもないのに仕事に対してやる気や情熱がない社員を雇い続けるほど会社は甘くありません。

僕の尊敬する人が【仕事とはやるか辞めるか】と言っていました。全くその通りであり、やれないのであれば辞めるしかないのです。

もう1度言いますがミスは全然構いません。やる気さえあればいくらでも挽回できます。しかしやる気がないのはもう教育も指導もする意味がないのです。


他の職員からは、「もうN君は無理だと思います」「N君が続けると他の職員にも悪い影響があります」と言ったような意見をもらいました。

試用期間が終わる際にはいつも僕が面談をしていました。今回のN君も例外ではありません。社長には事前に辞めるかもしれないと相談はしていました。

昨日N君と面談をしました。まずN君に3か月振り返ってどうだったかを確認しました。

「ちょっと僕には難しいかもしれません」

そうN君は言いました。どこが難しいと思うかを聞きました。

「自分はコミュニケーション能力が低く、お客様との折衝も上手くできません。また社内でも先輩方とどのように接したら良いか分かりません。おそらく自分には福祉用具の営業の仕事が合っていないのだと思います」

では、N君に合う仕事ってどんな仕事だと思う?そう聞きました。

「自分は黙々と1人で作業するような仕事が合うと思います」

その答えを聞いた時に、N君の今後がめちゃくちゃ不安になりました。うちの仕事を続けるも辞めるもN君の自由ですが、今のままの気持ちで辞めてしまうと今後も仕事に対してやる気が持てず同じことを繰り返すように感じました。

最初は辞めたいと言われたら全く止めるつもりはありませんでしたが、ここで考えが変わりました。

「会社としてはもしN君がこの仕事を辞めたいのなら引き留める事はしないと思う。だから今から話すことはあくまで僕の個人的な意見で、年長者からの戯言だと思って聞いて欲しい。」

そう前置きした上でN君に僕の気持ちを話しました。

「N君がさっき言った【黙々と1人でやる仕事】が本当にN君がやりたい仕事なら何も言わないけど、多分違うよね。今の仕事がN君にとって難しく思い通りにならないから、真逆の仕事を引き合いに出しただけじゃないかな。だから今辞めてしまうとしたらそれはこの仕事から逃げることだと思う。

1度逃げてしまうと多分この先も辛い仕事があると逃げてしまう可能性が高いと思う。そんな人生って楽しいのかな。心から笑えるのかな。

N君が本当にやりたい仕事をみつけてその上で退職を選ぶのなら僕は何も言わないけど、今のまま辞めたらシャワーを浴びてる時に逃げた事を思い出しては『ああ~』って声を出すことになるよ(笑)。

もうちょっとだけ本気で仕事と向き合ってみてはどうかな。ミスしても大丈夫。仕事をなかなか覚えなくても大丈夫。やる気さえあればあとは先輩たちがなんとかしてくれるから。

それでもこの仕事が出来ないって言うのなら止めないけどどうする?」

N君は僕の話をじっと聞いて、「少し考えても良いでしょうか」と言いました。

結局、週明けの月曜日に返事をもらうことになりました。


ここだけの話、「やります!頑張ります!」って言うと思っていました(笑)「考えさせてください」と言われた時はちょっと驚きましたが、今こうやって記事を書いて冷静に考えてみたときに、誰しもが仕事に対して情熱を持っているわけではないなと思いました。

例えば趣味が1番で仕事は二の次の人もいると思いますし、仕事はあくまで生活をするためでそれ以上でもそれ以下でもないと思ってる人もいるでしょう。

そういう考えを否定するつもりは全くありませんが、これから働き始める若者や働きだしたばかりの若者には【仕事を楽しむ】ということを知って欲しいと思っています。

そのためには本気で仕事と向き合う事が大切だと思います。本気で取り組んだ仕事が成功した時の喜びというのはきっと何ものにも代え難いと思います。

騙されたと思って1度だけでも本気を出して努力してみてください。きっとめちゃくちゃ気持ちの良い瞬間を迎える事が出来ると思います。

頑張ってください。心から応援しています。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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