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厳密に言うな

いまえださんの企画の関係で以前に書いた創作を読み返したんですが、本当に良い話で過去の自分を褒めたくなりました。

こんにちは、自分に甘い男コッシーです。


さて、うちの施設ではありがたいことに入居者のご家族からお花をもらうことがよくあります。
先日もある入居者の娘さんがとても綺麗な鉢に飾られたお花を持ってきてくれました。


赤く綺麗なお花が見事に咲き乱れていた

屋外で育てるタイプのお花とのことで玄関先に置いてもらいました。
入居者や娘さんとお花を眺めていると、数人の入居者たちもスタッフと一緒にお花を見に来られお花の鑑賞会が始まりました。

「何て名前の花ですか?」

僕がそう娘さんに尋ねると「サフィニアって言うんですよ」と教えてくださいました。
お花に疎い僕は当然その名前を知りませんでしたが、入居者の中でもご存じない方が多かったです。


入居者の娘さんが帰られた後も、「サフィニア、綺麗だよねぇ」としばらくみんなでお花を眺めていました。
入居者さんは娘さんが持ってきてくれたお花を褒められてとても嬉しそうにされていました。

すると一緒に花を見ていたスタッフがおもむろに口を開きました。

「実はこのお花…厳密に言うとサフィニアではないんですよ」

お花を持って来られた張本人である娘さんが「サフィニア」だと言ってるのにそれが違うだなんてことがあるのかなと思いましたが、スタッフは得意気に言いました。

「厳密に言うとサフィニアは企業が決めた商品名なんです。サフィニアでも間違いではありませんが、厳密に言うとペチュニアが正解ですね!きっと娘さんはそのことを知らなかったんですね」

どうやら「サフィニア」というのは商品名であり、お花の種類の名前は厳密に言うと「ペチュニア」が正しいようでした。


いや厳密に言う必要ある?



確かにスタッフの話を聞いて感心された入居者もいましたが、娘さんにお花を持ってきてもらった入居者は心なしかバツが悪そうに見えました。
正直入居者にとっては「サフィニア」でも「ペチュニア」でもどっちでも良いと思いますし、お花を持ってきてくださった方が「サフィニア」と言ってるんだからもう厳密に言う必要はないと思います。

せっかく娘さんがお花を持ってきてくれて嬉しい気持ちになっていた入居者も娘さんを否定されているようで良い気持ちではなかったと思います。

スタッフは決して悪気はなかったと思いますが、やんわりと注意をしました。

「さっきのお花の名前だけど、あなたの言う事が正しいと思う。でもあの場では娘さんがペチュニアと言っているんだから、そこはもうペチュニアでいいんじゃないかな。サフィニアだと厳密に言っちゃうと何となく娘さんを否定したみたいな形になっちゃうからさ。そこは厳密に言わなくても良いと思うな」

スタッフは少し何か言いたげでしたが、特に何も言うわけではなく僕の言う事を理解してくれたようでした。

たまには良い事言うなぁ僕も自画自賛していると、やり取りを聞いていた別のスタッフが「どっちでもいいと言えば良いんですけど…」と言って話に入ってきました。

「コッシーさんお花の名前逆に言ってますよ。娘さんが言われていたのがサフィニアで、厳密に言って正しいのがペチュニアです。どちらでも良いですけど厳密に言うとそういう事です」

そこにはサフィニア(ペチュニア)のお花のように真っ赤な顔をしたコシニアがいたそうです。


厳密に言わなくても良い事もあると思いますが、言い間違いには気を付けた方が良さそうですよ(真っ赤な顔をしながら)。


それではまた。

コッシー

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