見出し画像

【コぐるみ創作バトル!】デートの日はいつも雨降り~前編~

コぐるみ創作バトル!第二弾です!

今回のお題は歩行者bさんからいただいた『デートの日はいつも雨降り』です。
まずはコッシーのターンです。前編をどうぞ。

☔️☔️☔️☔️☔️☔️☔️

「うそだろ、また雨かよ?」

ポツポツと降り出した雨に気づいて僕は空を睨んだ。彼女とは今日で5回目のデートだった。過去4回はいつも雨降り。今日こそはと思ってわざわざ天気予報で降水確率0パーセント、ピーカンの日を選んだはずだった。待ち合わせ場所で彼女を待っていたさっきまではあんなに晴れていた空が、約束の時間が近づくと徐々にどんより曇り始めて5分切ったところで雨が降り出したのだった。

思えば、彼女との出会いも雨が降っていた。その日も天気予報は晴れだった。傘を持たずに駅に向かった僕だったがその途中で突然の大雨に見舞われた。まさにゲリラ豪雨といった具合で一瞬で着ていた服も履いていた靴もびしょ濡れになった。

小走りで急ぐ僕の視界に一人の女性が目に入った。急な豪雨に慌てふためく周囲とは違って一人だけその場に立ち尽くしていた。女性は泣いているようにみえた。もしかするとそれは涙じゃなくて雨だったのかもしれない。でも僕はその女性の美しさに思わず目を奪われた。気がつくと声をかけていた。

「あの、大丈夫ですか?」

女性は少し驚いた表情で僕を見つめた。びしょ濡れの僕をゆっくりと一瞥すると「あなたの方が大丈夫そうじゃないけど」と目尻を下げて笑った。


それが彼女との出会いだった。


「いつも早いね」

いつの間にか傘を挿した彼女が目の前に立っていた。僕の方に傘を向けると「今日も降っちゃったね」と目尻を下げて笑った。僕は彼女の手から傘を受け取って少し彼女の方に傾けて並んだ二人の間に傘を挿した。

「なんで傘持ってるのさ。今日は雨降る予報じゃなかったでしょ」

拗ねた子供のように口を尖らせる僕。子供をあやすように微笑んで彼女は言う。

「なんとなく降りそうな気がして。勘が冴えちゃったかな」
「ちぇっ、そんな勘当たらないで欲しかったなぁ。今日は遊園地に行こうと思ってたのにさ」

そう言ってますます不貞腐れる僕に彼女は少し困った表情で黙って俯く。しまった、言い過ぎたと慌てて彼女に弁明を試みた。「大丈夫」と言う彼女だったけど、その顔はどこか浮かないままだ。なんとなく気まずい空気が流れて二人とも黙った。

「あの、さ。実はね」

沈黙を破ったのは彼女だった。意を決したのか、これまで見たことがない真剣な表情で僕を見つめて言った。


「実は私ね……雨女あめおんななの」


雨女?彼女の言葉を繰り返す僕にコクリと彼女は頷いた。

「え?雨女ってその人がいるとよく雨が降るっていうアレのこと?いやでもそれなら僕が雨男かもしれないよ」

今度は首を横に振って彼女は答えた。

「あのね、そういう迷信めいたことじゃなくてね。信じられないと思うけど、私ね人間じゃなくて”雨女”なの」

彼女はそう言って目尻を下げて笑った。


後編へ続く


☔️☔️☔️☔️☔️☔️☔️

さて、着ぐるみがどんなイラストを描くか楽しみです。今回もぶっ壊してくるのか!?

#コぐるみ創作バトル
#歩行者bさん
#デートの日はいつも雨降り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?