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先輩からパワハラと言われた話
たまにお腹が「ブゥ」っとおならみたいに鳴る時があるんですが、「いや違うよ!おならじゃなくてお腹が鳴っただけだから!」と弁明すればするほどドツボにハマっていく気がします。#本当に違うんだ!
こんにちは、コッシーです。
さて、以前から僕の記事を読んでくださっている方はご存知かもしれませんが、うちのデイサービスの前管理者でYさん(50代男性)という職員がいます。
Yさんはうつ病と診断されてしばらく休職して自宅療養されていました。
休み始めは夜もなかなか眠れないみたいで心身共に疲れた様子でしたが、お薬なども服用して徐々に回復をしていき、心療内科の先生より就業復帰のOKをもらい職場復帰しました。
復帰前にYさんと話し合いどのようなカタチで復帰をしたいかなど、本人の希望を確認しました。本人としては責任のある立場での仕事は難しいとのことで、デイの管理者からは外して欲しいと言われました。
僕も同じように考えておりましたので、Yさんにはデイサービスの管理者を外れると共に別の事業所へ異動してもらうことにしました。
その際にYさんから給料は下げないで欲しいと懇願されました。責任者を外れる理由が病気によるところが大きいため、基本給に関しては下げることはしませんでしたが、役職手当についてはどうしても責任に伴い支給している部分があるため、デイの管理者を外れる時点で降格し下がることを本人に伝えました。Yさんは渋々ながら納得していました。納得していると思っていました。
うちの会社の昇格昇給時期は9月になります。そのため8月中に昇格する職員には通達をして辞令を交付します。基本的に降格人事も同じ段取りになります。
そのため先月僕からYさんに降格する旨を伝えました。
「復帰の際にお話した通り、9月より責任者の任を解きますので役職手当がこのように下がります。」
そう僕が説明すると、Yさんは急に大きな声を出しました。
「もう俺に辞めろってことだよね!!」
どういう解釈をしたらそうなるのか全然意味が分かりませんでしたし、そもそも降格の件は復帰前に説明しています。もしかして病気のせいで精神的に不安定になっているのかなと思いました。
「辞めろなんて一言も言ってないですよ。復帰する前にお話したじゃないですか。デイの責任者を退くからその分の手当を下げますよと。覚えてないですか?」
「給料は下げないで欲しいって頼んでも受け入れてくれなかったのはそっちだろ!本当は下げられたくないのに無理やり下げるのなんてそれはもうパワハラだろ!!辞めろってことだろ!!」
もう辞めていいですよ!と言ってしまいたいくらい腹が立ちました。
自分で言うのもアレですが、Yさんが突然休んだ穴を埋めるために僕はかなり奮闘しました。
慣れない運転手をしたり、利用者との契約に行ったりシフトを作成したり、そして出来るだけ給料が下がらないように社長と交渉もしました。
その僕が何でそんな事を言われないといけないのかとだんだんと怒りが込み上げてきました。
「デイの責任者を出来ないと言ったのはYさんですよね?役職手当というのは役割に応じて付与されるんです。責任者の役割を降りたYさんには申し訳ないですが手当は出せません。それが不服なら辞めていただいても構いません。」
結構厳しい口調でYさんに言いました。するとYさんはさっきまで鼻息荒く怒っていたのがウソのように静かになり、「そうか…」と一瞬悲しそうな表情になりました。そしてすぐにニコっと笑うと「コッシー君が言うならそれに従うよ」と言いました。
Yさんが急に刀を納めるので振り上げた拳の行きどころが無くなり、何となく釈然としないまま話し合いは終わりました。
その日はずっとYさんの事を考えていました。
「辞めろってことだろ!」「パワハラだろ!」と怒鳴られたことはめちゃくちゃムカつきますが、それでも最後の寂しそうな顔と笑った顔がチラついて頭から離れませんでした。
Yさんは僕よりも10年くらい先にこの会社に入った先輩でした。
僕が入社したばかりの頃、「社歴だけは古いからさ、会社のことで分からないことは何でも聞いてよ。ただし仕事のことは分からんから聞くなよ(笑)」とニコっと笑いながら声をかけてくれました。
お世辞にも仕事が出来る先輩ではありませんでしたが、とにかく明るく優しい先輩でした。いきつけの鉄板焼き屋さんに僕をよく連れってってくれて、「仕事は教えられないから、せめてご飯を奢らせてよ」といつも奢ってくれました。
僕が昇進しYさんの上司になったときでも、Yさんは笑って祝福してくれました。そしていつもの鉄板焼き屋へ一緒に行きやっぱり奢ってくれました。
そんなY先輩が僕は大好きでした。
仕事で悩んだ時や落ち込んだ時、気の利いたアドバイスは全然くれなかったけど、「コッシー君なら絶対大丈夫だよ!」と笑って励ましてくれるY先輩が本当に大好きでした。
でも自分が責任のある立場になり、Yさんのいい加減な仕事ぶりやいつもヘラヘラしているところがだんだんと目につくようになっていたのかもしれません。
「管理者なんだからもっとしっかりしてくださいよ!」
「管理者がスタッフを引っ張っていかないとダメなんですって!」
「分からないのなら分かるまで勉強してくださいよ!」
そんな風に知らず知らずのうちにプレッシャーを与えていたかもしれません。
Yさんを精神的に追い込んだのは僕だったのかもしれません。
Yさんから笑顔を奪ったのは僕だったのかもしれません。
きっと今YさんはYさんなりに必死で仕事を…いや生きているのだと思います。精神的にまだ不安定で正常な判断や考えをするのが難しくなっているのだと思います。僕に叫んだあの言葉はYさんなりのSOSなのかもしれません。
僕はそれを理解しようともせず、Yさんを身勝手だと決めつけて助けを求めるYさんを突き放してしまいました。
この会社に入って十数年。
Yさんの笑顔に救われたことは少なくありません。
きっと今度は僕が救う番だと思います。
今回の降格人事は会社としての決定事項でありそれを覆すことはできません。
でも降格したからと言ってYさんの全てが終わるわけではありません。むしろここからまた頑張れば良いんだと思います。
僕はそれを全力でサポートしていきたいと思っています。
とりあえず緊急事態宣言が明けたらあの鉄板屋に今度は僕が誘いたいと思います。そしてY先輩の笑顔を取り戻したいと思います。
現場からは以上です。それではまた。
コッシー
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