不動産賃貸業 

不動産賃貸業 買い付けリフォーム編

利回り=家賃収入÷物件価格

 物件を買うときの価格は利回りを逆算して決める。
 何も理解せずに一戸目を買えたのは、夫がすでに賃貸業をしていて教えてもらう事ができたからだ。
 誰もが難航する師匠を探す工程を踏まずに済んだのは本当に運が良かった。

「物件探しといて。」
「またそんな無茶振り。どうやって選んだらいいと?」
「本にも物件は100軒見ろと書いてあったやろ。とりあえず300万以下の戸建て全部見に行こうや」

 ネットで中古戸建てを検索する。300万以下の物件は少なく、とりあえずは10戸程ピックアップして見に行くことになった。

 初めての内見は家から近い物件を見に行った。

「うーん、微妙。」
「なにが?」
「今はあんたに説明しても分からんだろうから取り敢えず物件見てたらいいよ。」
「ふーん。。」

 納得はできないが、説明されても分からないなら仕方ないのかも知れないと文句は飲み込んだ。
 とにかく現場を見ておく事が大事だと言われたが何を見たら良いのか分からずに1日が終わる。

「買わないの?」
「うん。こんなん買ってもどうしようもない。」
「へぇ。」

 3箇所物件を回ったが不動産屋さんはみんなスーツでニコニコしてる人ばかりだった。

 別日に車を1時間半走らせて物件価格の安いエリアに向かう。

「ここいいね。250万円で平成築。綺麗じゃん!」
「うーん、物件はいいけど立地が微妙。」
「立地?スーパーとかも近いやん。」

 Googleナビでスーパーを調べ、車で3分の画面を見せる。

「そうじゃなくて、駐車場無いし何より階段が多い。」
「階段?お客さんが嫌がるってこと?」

 なにを言ってるのだろう。住んでしまえば階段は諦めがつくし、駐車場は下にある月極を借りればいいと思う。
 団地とかだと3階や4階でもエレベーターが無く階段だし何とかなるんじゃないか。
 現にもうすぐ一歳になる赤子を抱っこしても登れるくらいだ。

 私は続ける。

「水回りは凄く綺麗だよ。風呂も今時のやつだし。」
「ユニットバスね。キッチンも広いんやけど、ここは無い。」

 意味がわからなかった。物件が綺麗ならお客さんは住んでくれるんじゃ無いのか。平成築で250万円なんて物件はネット上には他に無かった。お買い得だと思うんだけど。

「次行こう」

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