【ゲーム感想】お前はシャドウタワーで真の暗黒を知れ
俺だ、コセン・ニンジャだ。
フロムの新作が出ない。
なんかエルデンリングとかいうオープンワールドのダークソウルみたいなのを開発していると聞いたきり、続報がまったく来ない。
真の闘争がしたい。鋼と鋼がぶつかる音、無情な一撃でたやすく失われる命、救いようのない世界、死ぬことすら許されぬ不死人の物語や、闘争に支配された修羅の物語。
思い出されるのは、ゲーム画面の前で歯を食いしばり、勇気をふり絞ってイルシールの地下牢を攻略していたあの頃の記憶。
俺は飢えていた。フロムゲーに飢えていた。
そんな時に思いついたのだ。未来になければ過去を探せばよいと。
そういうわけで、俺はシャドウタワーを手に入れ、苦難苦闘の果てにクリアした。
今日はシャドウタワーの話をしよう。
シャドウタワーとは
まず言っておくが、スティーヴン・キングの集大成的な小説である『ダーク・タワー』とはまったく関係ない。
シャドウタワーとは、既に滅びた古代王国の眠る、魑魅魍魎がはびこる巨大な塔であり、キングスフィールドみたいな主観画面RPGだ。
あらすじはこうだ。
大陸イクリプス。ここにはゼプターと呼ばれる聖地がある。
その地には封印の塔があり、周辺諸国の王達は旧くからの言い伝えを守り、その塔を護衛していた。あの災いが再び起こらぬようにという祈りを込めて。
かつて豊かな国であったといわれるイクリプスは、一夜にしてその姿を消した。
あとには低い唸り声のようなものが響く巨大な穴だけが残っていたという。
ルード一世を覇者とならしめ、同時に破滅へ導いたとされる”単眼の王冠”は、王直属の7騎士の手によって取り戻され、穴の上に築かれた塔に固く封印された。
常に怪しい光を放っていた王冠はその単眼を閉じ、まるで暫しの眠りに就いたかのようであった・・・。
それから永い時が過ぎ、闇は再びすべてを飲み込んだ。
平和な町、ゼプターのすべてを・・・。
(公式HPより引用)
主人公はゼプターに訪れた旅人で、主人公に優しくしてくれた宿屋の女将の魂が闇に奪われたため、救い出すためにシャドウタワーに乗り込む。
というあらすじだが、正直ストーリーなんてあってないようなものだし、特に気にしなくていい。
ただ、フロムの世界では冒険したくないと思い知らされるだけだ。
シャドウタワーにおけるストーリーは、ドーナツの粉砂糖みたいなものだ。
このゲームの本質はもっと違うところにある。
恐るべきシャドウタワーの脅威
ドラクエでの最弱の敵はスライム。
それは常識であり、業界内の不文律と化している。
だが、シャドウタワーでは違う。
シャドウタワーのスライムは数多の冒険者を呑みこみ、再起不能に陥れてきた歴戦の猛者だ。
まず姿形からしてガチだ。
ドラクエのスライムはデフォルメされたかわいい姿だが、シャドウタワーのスライムは床に緑色のシチューをぶちまけたような『液体』だ。
だから剣が通らない、ということはないが、普通に剣を振っても当たらない。
それならば、と剣を当てるために普通に近づいても、剣は当たらない。
ならばもっと近くに、と間合いを詰めるうちにいつの間にか足はスライムの体液に触れてしまう。
そして、強酸のダメージと同時に食らう猛毒で死ぬ。
待っているのは、物質界に骨すら残らず、シャドウタワーに囚われた魂の一つとなり永久に苦悶しつづける運命だ。
攻略法はもちろんある。
それは、『限界まで下を向いて、ぎりぎりまで近づく』ことだ。
これでようやくスライムに剣が当たり、ダメージを与えられる。
最序盤の敵ですら、こういった工夫をしないと倒せないあたりにこの頃のフロムの尖りっぷりを体感できるだろう。
他にも、壁の向こうから継続ダメージを与えてくる棺や、遠距離ビームで一方的に攻撃してくる草、ベイブレードみたいに回転する敵もいたと思う
とにかくどのモンスターも強敵だ。油断してると、あっという間に死ぬ。
シャドウタワーは普通のRPGでは考えられない、尋常ならざる魔物の巣窟なのだ。
↑シャドウタワーにおける『マシ』な部類のモンスター
NPC
基本的に人間じゃないし、人間でも人間性がない。
こちらを手助けするそぶりを見せながら、こちらをだまそうとしてくるでぶのドワーフ。
なんか封印されていた女戦士。
異次元で商売やってる商人。
なぜか牢屋に入れられてる鍛冶屋。
まともに話せるのはこのくらいだったはずだ。あとは大体死ぬか、異形化して襲い掛かってくるものばかりだ。
BGM
無い。
魔物の足音と、得体の知れぬ動物の鳴き声、体液が吐き出されるような音が暗い空間に響いている。
アイテム
まず、基本的にアイテムもお金も敵を倒すことでしか得られない。
次に、敵は倒したら基本的に復活しない。
そして、体力を回復できる泉みたいなものはなく、体力を回復するには薬を飲むか回復魔法を使うしかない。もちろんMPの回復薬も有限だ
だから、アイテムもお金も回復薬も有限な状態でラスボスまで行かねばならない。
場合によっては中盤あたりで回復薬もが尽きてボスも倒せずに詰む。ということもありえるわけだ。
かなりしんどかった。次やるときは大体のMAPが分かっているからマシだが、本当に初見な人は、相当に苦労するだろう。
雰囲気
主人公は基本的に一人だし、主観画面だし、常に薄暗いし、仲間はいないし、武器は終盤まで心もとない。
とにかく心細さを感じる設計になっており、それは終盤までずっと同じだ。
剣と魔法が使えるのは嬉しいが、それは暗闇の中で必死になって灯した松明であり、頼れる仲間たちとともに強敵に立ち向かうための類のものではないのだ。
塔の中で生き延びるために、暗闇の中でアイテムやお金を必死にかき集め、使い慣れぬ武器を構えてなんとか前に進んでいく。
闇のなかで無力な人間があがくゲーム。それがシャドウタワーだ。
総評
面白かった。
他のゲームでは味わえない歯ごたえと、分かりやすい難易度の高さ。
フロムのゲームはよく難易度の高さを言及されることが多いが、難易度の高さが分かりやすい分、それをいかに乗り越えるかという点で頭を使えて楽しいのだ。
回復薬を温存するためにあえて魔法攻撃を使ったり、近づきたくない敵と遭遇した時に弓の射程に感謝したり、敵の行動パターンを読み切ってうまく剣で敵を倒せたときは何とも言えない快感に満たされる。
一人きりだからこそ、誰にも頼れない孤独な戦いの中で、己の可能性を見出すことができる。
そこに、己との真の戦いがあり、成長があるのだと感じた。
結局のところ、絶望の闇を切り裂くのは己の可能性なのだと気づかせてくれるゲームだった。
シャドウタワー。マイナーなゲームで知名度も低いが、かなりやりごたえのあるゲームだ。
最下層にたどり着き、シャドウタワーの真実を知った主人公がどんな結末を迎えるのか。
ぜひ、その目で確かめてほしい。
きっと、内なる闘争心は満たされることだろう。
そして、フロムはエルデンリングの続報を早く発表してほしい。
↑続編のシャドウタワーアビスより。こっちは拳銃やライフルも使えるぞ。
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