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【1番人気の取捨で競馬に勝つ!!】 ~危険な1番人気のトリセツ~(中編)

 こんばんは、こうせいです。

 当記事は、【1番人気の取捨で競馬に勝つ!!】~危険な1番人気のトリセツ~の中編になります。前編をまだ見ておられない方は、以下にリンクを添付しておきますので、そちらの方を先にご覧ください。


 まず、当記事を読むにあたっての注意喚起を行います。以下の注意喚起の後に本記事へと移ります。

 当記事は、総文字数22,000を超える大型コラム記事の中編になります。(中編の後、後編へと続き、以下に公開予定日時を示します。)
 前編:4/14(水)夜(公開済)
 中編:4/19(月)夜
 後編:4/26(月)夜

 また当記事では、『この馬を狙え』等の推奨ではなく、『この馬には注意すべき』という様な表現を多く含んでいます。これに伴い、ある特定の馬や人を応援されている方に対して、お気分を害してしまう可能性も否めません。先に話しておきますが、私個人としては、侮辱の意味合いで執筆はしておりませんし、文章には細心の注意を払って表現したつもりではあります。しかし、不快に感じてしまった場合は、直ちに当記事の閲覧を止めることをオススメします。その際、『ここの箇所のこの表現が悪かった』等の意見をいただけると、私自身、次回以降の改善に努めていきたいと思いますので、Twitter(@Kosei_Batai)のDMへ送信してくださると嬉しい限りであります。

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3. 【危険な1番人気のトリセツ】

 本章では、データ整理を通して感じた『危険な1番人気』のパターンを『トリセツ』としてまとめていきたいと思います。全部が全部ではないですが、1章で添付したオリジナル1番人気成績一覧で、黄色塗りした部分の備考として追記しているものもあります。是非、そちらの方とも照らし合わせながらご覧ください。

3-1. 外国人騎手過剰人気には気を付けろ

発生頻度:多
レース条件:全て

 2015年からJRA免許を取得したルメールJ、M. デムーロJを筆頭に、最近ではマーフィーJやレーンJ等の日本でもお馴染みとなった騎手が短期免許を交付して日本競馬で活躍を収めるようになりました。

 当然、世界のトップレベルのジョッキー達ですから上手いです。レースを見ていても、『ルメールだったから勝てたんだな。』と思わせるレースも多々あります。しかし、そんな世界のトップジョッキ―達が乗っても、全部のレースを勝つことはできません。ちなみに、昨年のルメールJの勝率は0.261でした。

 実際にExcelデータ(以下に添付)で
『騎乗騎手 → 外国人騎手(カタカナ表記)→着順1』
で抽出し、1番人気の勝率および単勝回収率を計算したところ、該当レース全592レース中、勝利数198で勝率0.334、単勝回収率74.1%でした。

 勝率こそ優秀ですが、単勝回収率は先程の『1番人気を全部買う』と比較して6.4ポイント減となってしまいます。このように、当たる頻度は高いけど回収率は下がっていく一方=見かけ上当たっているように見えて負けている。これが競馬においては一番危険です。

 では、もっと深く踏み込んでみましょう。ここでは、皆さんの予想を悩ませる存在でもあるルメールJに焦点を当てていきます。

 ルメールJのトリセツ
『ルメールの騎乗技術の高さが優位に立たない馬場では軽視』

 このトリセツを見ただけでは、抽象的でイマイチピンとくる方は多くないでしょう。と言うのも、Excelを使ってあらゆる面からデータを抽出してみましたが、これと言って著しく悪いというピンポイントな条件が見つからなかったので、このような表現を取らせてもらっています。

 強いて紹介するとすれば、馬場状態別成績です。表1に、1番人気騎乗時のルメールJの馬場別成績を示します。

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 表1で注目してほしいことは、単勝回収率が馬場状態が悪くなるにつれて下がっていることです。レース数の母数が良馬場の方が多いので、良馬場時の成績の良さを評価して馬場が悪い時でも同じように評価される方もいますが、そう上手くはいかないということを物語っています。

 しかし、馬が道悪で力を発揮できないパターン以外にも、馬場が良くないとルメールJの持ち味が活かせないケースが多いということも原因として働いているのではないかと私は思います。以下に、私が考えるルメールJの特徴を示します。

・道中ポジションを取り、折り合いを付けて直線でスピードを全開させる。

 これは、阪神競馬場外回りや東京競馬場のような、広いコースでの直線追い比べに強い騎手を思い浮かべてもらうと分かりやすいと思います(いわゆる王道条件の1600 mや2000 m)。しかし、芝コースが道悪になると道中での消耗度が高くなりやすいことに加えて、直線でも馬がバテている中どれだけ踏ん張れるかという能力が求められやすいので、ルメールJの良さが半減されてしまう条件と言えるでしょう。


3-2. 血統の先入観に囚われるな

発生頻度:多
レース条件:全て

 競馬はブラッドスポーツであると言われているほど、競馬における血統の重要性は高い位置にあります。しかし、

・ディープインパクト産駒は瞬発力があるから、道悪は走らないだろう。
・お母さんや兄姉がGⅠ馬だから、この馬の能力も高いだろう。

といった、先入観による推論を働かせてしまうのは大変危険です。

 今も昔も、良血馬は馬の能力に関わらずブランド人気する傾向が強いです。人々の期待や夢が大きいからでしょう。ですが、人間に例えてみると分かりやすいです。

父親がノーベル賞を受賞したら、子供も受賞するのですか?

 周りは子供も立派な研究者になってくれることを期待するかもしれませんが、子供は子供です。期待に応えられない場合もあります。

 流石に人間の例えは壮大過ぎましたが、血統の先入観による誤った推論自体も、ニュアンスとしては近いと考えています。この誤りがオッズに反映されて、人気に応えられないケースも少ない話ではありません。

 細かい成績データが手元にないので説得力には欠けますが、以下に世間が抱く血統と実際の傾向のギャップの一例を記載します。

 血統のトリセツ

ディープインパクト産駒は、道悪だと瞬発力が活かせないので走らないと言われているが、勝率自体は良馬場時と大して変わらない
 むしろ、昔より瞬発力を活かしにくくなった超高速馬場によって、良馬場で人気を裏切るケースも増えている

◎ディープインパクト後継種牡馬のキズナは、ダートを走る産駒も多く出す

エピファネイアは、道悪の菊花賞、タフな馬場のジャパンカップを圧勝したが、産駒(特に牝馬)は道悪やタフ馬場は良くない

ロードカナロアは短距離王だが、産駒は距離をこなして活躍する馬も多い。意外にも、1200 mへの距離短縮ローテは期待値が低い

 このように、血統を少しかじる程度に意識されている方は、種牡馬の影響を強く考えすぎている傾向があります。まさにディープインパクトやロードカナロア産駒のギャップに関しては、これが大きく起因していると言えるでしょう。

 ディープインパクトやロードカナロアに共通する最大の特徴としては、
『自身はスピードや能力の高さを継承し、適性を左右させる要素は母馬にある。母馬の特徴を上手く引き出す。』
ということです。これに従って、ディープインパクト産駒とロードカナロア産駒のトリセツをまとめておきます。

 ディープインパクト&ロードカナロア産駒のトリセツ
『ディープインパクトとロードカナロアは、母系と母父を強く意識せよ』


3-3. 永遠の2,3着には気を付けろ

発生頻度:中
レース条件:未勝利(下級条件)

 3月になると新馬戦もなくなり、3歳未勝利のレースも午前中に多く組まれます。そこで出馬表を見て、馬柱に2や3が沢山並んでいるような馬よく目にしませんか?

 実際に成績(馬柱)がキレイな馬は1番人気になりやすいですし、
ここまで安定して良い着順で走れているなら1番強いから勝つでしょ!!』

と思われる方も多いでしょう。しかし、私はこの考えは危険だと判断しています。

 確かに、ここまで高いレベルで安定して走れているという点では評価できます。軸としては安心して買えるタイプの馬でしょう。しかし、1番人気の宿命的ポジションと言える『勝ち切る』という点においては、期待値としては低いです。そこで今回、このタイプに当たる馬を『永遠の2,3着』と表現します。

 表2は、集計期間における3歳未勝利戦の1番人気の勝率と単勝回収率を表しています。

画像2

 2,3月の優秀さには個人的に驚きました。ファンの方がお上手ですね。
 しかし、月日が経つにれて成績も下降気味。7月が高い理由は分かりませんが、4月に近い勝率で単勝回収率にこれ程大きな差が出ているのは、オッズが割れてレースの難化が顕著に表れていると読み取れます。これについても、競馬ファンの馬券の上手さを物語っています。)6月や8,9月の勝率3割切りは、1番人気の勝率とは言い難い数値の低さです。

 勿論、表2で示した全ての1番人気が『永遠の2,3着』タイプに該当する訳ではありません。しかし、年月が進むに伴ってレベルもどんどん低くなっていく未勝利戦。それでも2,3着を繰り返してしまうということは、もう勝ち上がる才能がないのでは?と見切りを付けるのが賢明だと個人的には考えています。たとえ勝たれてしまったとしても配当は高々知れているので、より勝ち切る可能性のある馬の1着固定馬券にプッシュした方が良いと考えています。

 未勝利戦の永遠の2,3着に関連して、下級条件(主に1勝クラス)にも、
『善戦を繰り返すけど勝ち上がれない』というタイプが存在します。最後のもう一押しが足りず、決め手に欠ける馬がこのタイプに該当しやすいですね。特にこれは、ダート戦でよく見られる現象になります。


3-4. 初ダートの過剰人気には気を付けろ

発生頻度:中
レース条件:ダート戦(特に未勝利・1勝Cで多い)

 これは、ある程度競馬を知ってきた中級者あたりの方が陥りやすいのではないでしょうか。私自身も、この罠にハマってしまうことは何度もあります。つい先日も、初ダート馬の取捨で一喜一憂したばかりです。

 以下の画像は、ダートレースにおける『初ダート』で臨戦した1番人気の成績を示しています。

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 1番人気のみに限っているので、該当数37と少ないデータになりますが、正直物足りない印象です。特に、複勝率の値から2回に1回は馬券外に沈んでいるので、中々酷いです。

 先述したトリセツ『未勝利戦での永遠の2,3着には気を付けろ』を応用させて、『初ダート』という条件替わりに期待する。発想としては同意できます。事実、今回初ダートだった馬が勝ち上がったり、穴を開けたりする例も多く、インパクトが大きいです。しかし、そのインパクトが大きさ故に期待を膨らませ過ぎてしまい、気付けば人気馬になります。

 本来、初ダート馬はダートの経験がないので、あくまでもレース前におけるその条件での地位は低く、言わば穴馬的ポジションになります。そのことを忘れないようにしましょう。

 補足として、芝血統の馬の初ダートは、最近危険視が強くされつつあるので今更強調しませんが、いかにもダートを走りそうな血統で芝で善戦を繰り返すもワンパンチ足りずダートに臨戦してきたようなパターンは、盲点になりやすいので注意しましょう。楽に先行できそうな場合の好走確率は高いですが、揉まれる(特に内枠に入る)ほど砂を被って走る気持ちを失い、そのままレースが終わってしまう危険性が高まります。


3-5. 新馬戦に向かない厩舎・血統の馬には気を付けろ

発生頻度:中
レース条件:新馬

 6月から始まる新馬戦。新馬戦では来年のクラシックを占う大事な一戦になるため、注目度も込みで有名厩舎の馬や良血馬を人気になりやすいです。

 しかし、これも全部の良血馬や王道厩舎の馬が新馬戦から一発回答で勝ち上がる訳ではありません。中には、
『新馬戦はあくまでもレースというものを経験させる場である。』
という考えを持って、新馬戦ではあまり仕上げずにレースに出走させる厩舎もあります。このような場合、たとえ能力のある馬でも、取りこぼしてしまうことは多いです。

 同時に、新馬戦から力を発揮できない血統もあります。『叩き良化型』という言葉があるように、レースを使ってカラダが締まっていくような馬や、新馬戦特有のSペースより、ペースが上がりやすい未勝利戦を好む馬もいます。

 ここでは、新馬戦では注意したい厩舎・血統の馬を少し紹介します。

 国枝厩舎

 18年産の新馬戦における国枝厩舎の成績は、4-3-3-17単勝回収率は27.8%と中々酷い数字です。1番人気に限った場合を表3に示しますが、実に3番人気以上の人気に支持された馬は17頭。やはり有名厩舎ということもあって人気になりやすい傾向があってこの成績ですので、注意が必要です。

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 国枝厩舎育成馬が新馬戦に出走する時、パドックに注目してみてください。見るからに『緩いな、太いな』と感じることが多いと思います。これは、国枝調教師が『馬は使いつつ良化していく』という考えのもとで調教を行っていることも影響しているのではないでしょうか。

 事実、表3で黄色塗りした3頭は、2021年4月11日地点で未勝利勝ちを収めた馬を表しており、新馬1番人気支持馬以外も含めて全7頭が未勝利戦を突破しています。加えて、ディープインパクト×アパパネの3冠馬配合アカイトリノムスメは、新馬戦敗れたもののその後クイーンC含めて3連勝。桜花賞でも4着に健闘しました。

 今思い返すと、あのアーモンドアイも新馬戦は2着に敗れています。アパパネダノンプラチナといった、後に2歳GⅠを勝つ馬も新馬戦は負けています。新馬戦で敗れても王道路線を歩んでいく訳ですから、新馬戦だけが全てではないという考え方にも十分納得できるのではないでしょうか。

 ハーツクライ産駒

 ハーツクライ産駒=完成が遅いから、2,3歳戦は向かないのでは?と思う方は多いと思います。この感覚は大方正しいです。

 表4に期間内の新馬戦で、1番人気に支持されたハーツクライ産駒の成績を示します。

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 勝ち上がったのは5頭で、単勝回収率は70.6%。良い成績とは言えないです。この低迷のバックグラウンドとしては、

 ハーツクライ自身が4歳秋以降に覚醒した
 産駒全体を通して完成度が低い (若駒時は腰や背中が弱い)

の2点が起因しているのではないかと考えています。新馬戦(2,3歳戦)においては完成度の高さ、早熟性は圧倒的なアドヴァンテージになるので、意識されてみてはいかがでしょうか。

 ちなみに表4では、勝ち上がれず黄色塗りにしたハーツクライ産駒と、勝ち上がった馬のうち、”ある条件” を満たすハーツクライ産駒で色分けをしています。これに関して答えを知りたい方は、添付したExcelファイルを見れば分かりますので、そちらの方から推測してみてください。また、以前公開した【大阪杯有力馬短評】のサリオスの分析の部分でも関連している内容になりますので、参考になるかと思います。是非そちらの方とも照らし合わせてみてください。


 今回は国枝厩舎、ハーツクライ産駒という有名なデータについて紹介しましたが、他にも多くのデータが隠れています。私自身も模索中でありますので、皆さんも『新馬戦攻略の格言』を見つけてみてはいかがでしょうか。

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 今回はここまでになります。後編は『危険な1番人気のトリセツ6』からスタートして完結となりますので、最後までお見逃しなく!!

 参考になった、続きが気になる!!と思われた方は、是非noteとTwitter(@Kosei_Batai) のフォローをよろしくお願いします。





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