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【無料コラム】~シニミニとタルマエ~

 当コラムを執筆しようと思ったきっかけとしては、ここ2週にわたって行われてきた9月開催の阪神ダートを見ていた中で、シニスターミニスター産駒とホッコータルマエ産駒の特徴を説明する上で、非常に分かりやすいサンプルだと感じたからである。「馬のキャラを判断するにはどうすればよいですか?」という声もいただくので、今一度復習という面も含めて、文字起こしをしていきたい。

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1.シニスターミニスター産駒

【代表産駒】
✔ テーオーケインズ(チャンピオンズC他重賞5勝)
✔ ミックファイア(ジャパンダートダービー含む南関三冠)
✔ インカンテーション(レパードS他重賞6勝)
✔ ヤマニンアンプリメ(JBCレディスクラシック他重賞3勝)

 シニスターミニスター産駒の特徴を端的に表すと以下の通り。

✔ 機動力>>持続力
✔ 距離延長ローテを苦にしない
✔ 砂被りキツい(≒外枠○)
✔ 追走性能を問われる展開を好む

 シニスターミニスター産駒は、立ち回りと追走性能を問われるレース条件で滅法強い。一般的なパワー質のダート馬がスピードに乗せにくい条件において、自身は楽にスピードを出すことが可能で、レースの流れに乗りやすい点が強み。そのため、自身の追走性能の高さを活かしやすいという意味合いで、距離延長ローテで自然とポジションを取れるシチュエーションでの激走が目立つ種牡馬である。一方、消耗質の条件や末脚の持続力性能が問われるような条件では、パフォーマンスを上げにくい傾向が強い。

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2.ホッコータルマエ産駒

【代表産駒】
✔ メイショウフンジン(OP2勝)
✔ レディバグ(スパーキングLC勝ち)
✔ ブリッツファング(兵庫ChS勝ち)
✔ ブライアンセンス(ユニコーンS3着)

 ホッコータルマエ産駒の特徴を端的に表すと以下の通り。

✔ 機動力<<持続力
✔ 距離延長ローテを苦にしない
✔ 砂被りキツい(≒外枠○)
✔ ズブくて、消耗質の展開を好む

 ホッコータルマエ産駒は、とにかくズブい馬が多く、スピードに乗せることに苦労する種牡馬である。一方で、代表産駒のメイショウフンジンのレースぶりを見てもらうと分かりやすいが、騎手の手応えが悪そうに見えてもなかなか脚が上がらないといった点がポイントで、高い持続力性能を備えているタイプと言えるだろう。一気にギアを上げることができないので、いかにスピードの減速処理を行わずに立ち回れるのかがカギとなる。

 ここで、2頭に共通して距離延長ローテを苦にしないという要素を挙げたが、苦にしない理由が異なる点には注意したいところだ。

 シニスターミニスター産駒は、1章でも触れた通り、自身の追走性能の高さを活かしたいキャラ故に、距離延長ローテによって追走負荷が軽くなり、ポジションを確保して主導権を握る立ち回りとなった方がよい。距離延長ローテにより、他馬比較で自身の基礎スピード以上にスピードの優位性を取れる状況となるので、他馬の脚を削るような押し切りが見込める。

 一方、ホッコータルマエ産駒は、ズブい故に追走力不足となること、加えて長距離で消耗質の展開を好むタイプであるので、距離延長ローテでの追走力不足解消を図り、スタミナが問われるレースに振れる方が良さを活かせるという解釈になる。

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3.各産駒の特徴を示すサンプルレース

 先述した産駒の特徴が色濃く表れているサンプルを示していきたいと思う。

✔ サンプルⅠ.9/10(日)阪神7R(ダート1800 m)

ディープリボーン(5人気2着)(ホッコータルマエ産駒)
ブライトホルン(4人気3着)(シニスターミニスター産駒)

 無料予想でも推奨して、◎→○のワンツー決着を決めてくれたレースを僭越ながらピックする。

【2023/9/10(日)中央競馬予想】より

 この日の阪神ダートは、含水率1 %台の超タフ馬場。前半無理に突っ込めだ先行馬は止まり、阪神ダートの定石通り、勝負所から外スムーズでポジションを押し上げて持続的な差し脚を伸ばせる馬が好走するコンディションだった。

 各々でレース映像を確認して欲しいが、注目は3角からの動き。ホッコータルマエ産駒のディープリボーンは、好位追走ながらも追っ付け気味の挙動。対して、シニスターミニスター産駒のブライトホルンは、前をまとめて吸収するかの勢いの如く、手応え良くポジションを押し上げている。

 4角では同じ位置からの追い比べとなり、誰が見てもブライトホルンが突き抜けるような態勢に見えるものの、ブライトホルンは坂で止まって3着止まり。対するディープリボーンは、しぶとく粘り切って2着となった。

 このレースから、コーナーで上手く加速する機動力の高さを見せながらも、最後はタフ馬場で持続力負けしてしまったのがシニスターミニスター産駒。勝負所で手応えが悪くなりながらも、タフ馬場を味方に付けて、持続力性能の高さを見せる立ち回りを見せたのがホッコータルマエ産駒という、各々の特徴が色濃く出ている構図として対比することが可能だと言える。

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✔ サンプルⅡ.9/16(土)阪神10R 鳥取特別(ダート1800 m)

スマートサニー(1人気1着)(シニスターミニスター産駒)
ソッコータルマカ(3人気16着)(ホッコータルマエ産駒)

 対照的に、こちらは本命ソッコータルマカ★★★★推奨で撃沈したレースをサンプルとしてピックする。

【2023/9/16(土)中央競馬予想】より

 先週と一転して、この日(主に土日)の阪神ダートは、4角先頭馬がオール掲示板(逃げ不利になりやすい阪神ダート2000 mですら逃げ馬4着)となるほど、前有利のコンディションになっていた。

 本来の阪神ダートならば、シニスターミニスター産駒のスマートサニーのようなスピード型の距離延長ローテ逃げ馬は、直線半ばで脚が上がって脱落していくシーンになりやすいものの、前走比でスンナリハナを叩き切って、息が入る逃げに持ち込んだことが功を奏したレース内容。まさに、距離延長ローテによって追走負荷が軽くなり、マイペースで運ぶことができたことが勝因だと言えるだろう。

 対照的に、ホッコータルマエ産駒のソッコータルマカは、前半から行きっぷりが悪く、シニスターミニスター産駒が刻んだ流れに対して追走負けする格好。道中で12.3→12.5→12.6→12.4を踏まれて直線を迎えられてしまっては、脚が残っていない状態になってもおかしくない結果だった。

 以上のサンプルを踏まえても、この2頭の産駒は相反する特徴を持っていると判断可能で、馬券的にも共存することがレアになると言えるだろう。

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4.おわりに

 当コラムでは、種牡馬の特徴から馬キャラを紐解いていく、というテーマに沿って説明してきた。勿論、全ての馬がこれに合致するわけではなく、例外ケースも含まれているとはいえ、大まかな特徴を知っておいて損はないだろう。自分自身も、普段意識していることを文字起こししたことで、出し入れの整理を行うことができたので、実際の馬券にも活かしていけるように励んでいきたい。


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