『コンフィデンスマンJP』#8
「美のカリスマ」編、ありがとうございました。
りょうさんの美濃部ミカ、怖くて美しくてストイックでピュアで素晴らしかったですね。りょうさんの魅力に大いに助けられた回だと思います。
長澤さんの大沼秀子が心の内を吐露して号泣するシーンは、迫真の演技で思わずもらい泣きしそうになりましたが、言ってる内容は騙すためのアホ作り話なので一体どういう感情で見たらいいのかわからなくなりました。変なドラマ。長澤さんはすごいなあ。
この脚本を書いたのは実はかなり初期。今観ると我ながらまだ試行錯誤しているのがわかって懐かしい限り(もっとも最終回までずっと試行錯誤ではあったけど)。美人村伝説とかよくやったな…。
撮影をしたのも最初期で、おそらくこの話が一番最初に撮りあがっていたはずです。初めて撮影現場を見に行ったときに、東出さんが「明日、パク・ジロウなんですよ……」と顔に縦線3本入ってる感じでつぶやいていた記憶があります。イヤだったんか?「ヘアメイクさんがすごいの用意してて……」とか言ってたような。僕はかなり気に入ってますけどもパク・ジロウ。
しかしここまで時系列と関係なく作った連ドラも珍しいのではないでしょうか。たまにこのドラマの感想や批評で「回を追うごとに俳優たちがこなれてきて」とか「息が合ってきて」とか書かれているのを目にしますが、作った順番全然違うから、と言いたくなります。あなたが見慣れてきただけです、と。
小日向さんがよく「何かに扮して騙しているシーンは演じやすい。素の彼らのスイートルームのシーンがすごく難しい」とおっしゃっていました。
詐欺師ものを普通に考えれば、騙している場面が虚で、実生活が実なので、実生活の場面を地に足の着いた設定(庶民的な会社員とか、食堂の2階におばあちゃんと暮らしてる学生とかね)にすると思うし、そのほうが視聴者も入り込みやすいのでしょうが、僕はそれが嫌で、あえて逆にしました。つまり、彼らにとって騙してるときが実で、実生活が虚なのだと。だから、3人の素性をわからなくし、スイートルームのシーンは会話が普通にならないよう、わざと噛み合わなくしたり、ふわふわした、カオスな感じになるように頑張ったつもりなのです。だから演じる皆さんは難しかったろうと思うし、演出もそうでしょう。ナンカゴメンナサイという思いです。でもだんだんクセになりません?
すでにお気づきの方も多いと思いますが、美濃部ミカは1話で、弁天水もどこかでとっくに登場していたので見返していただくと面白いと思います。(ミカとダー子たちの対決のその後も想像できたりするかもしれません。)他にもあまり気づかれてないようなものもあります。必ずしも脚本ではなく、現場の遊び心のことが多いです。
さて次回は、もうラス前ですよ、淋しいなあ。「スポーツ編」。小池徹平さんがゲストです。平野美宇さんも出てくださったそうで。ありがたいです。これはコンフィデンスマンなのだろうか、という異色作です。ご期待ください。
では月曜9時に会いましょう。
ちなみに、福田ほのか役は、キャスティングに難航していたのですが、堀川杏美さんがやってくださることになり、ぴったりの人が見つかったと監督は喜んでいました。「すごくやる気のある子で、この役のためにだいぶ太ってくれたらしいんですよ」と。でもプロデューサーが最近会ったら全く同じ体形だったそうなので彼女こそコンフィデンスマンだったんじゃないかという疑惑が……いや、とっても魅力的でした。ありがとう堀川さん。
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