「無理をしないでね」って言いたい、推しでない貴方にも
な〜んか、ちょっと切なくなっちゃったことがあるんですけどね。
ある、私は全然ファンじゃないアーティストのライブを配信でちょこっと見たんですけど、それ見て「あ、無理してるんじゃないかな。大丈夫かな」と思ったのでその話です。
あまりにもマイナーな話なので友達にはできない。
そもそもはそのアーティストが
「大きな赤字を作ったけどどうしてもこのライブを見せたかった」
的なことを言っていて、それを受けてそのファンの人がそのライブについて
「あんなセット作ったのに一回きりで解体したらそれは赤字になるよ」
って言ってたからなんですよ。それで全然趣味じゃないけど見たんです。どんなセットかな?と思ったんで。
で、見て見たんです。正直曲があまり好みじゃなかったので全部見るだけの気持ちになれなくて、飛ばし飛ばし見ました。ごめんね、気合い入ったライブなのに通りすがりの人間ちゃんと見なくって。でも最初の1曲は一応、サビまでは見たよ。
そのとばしとばしの感想としてはにセットはお金かかってた!バンドとダンサーもつけてた!
でも不安になりました。
これ、大丈夫かな?って。
何が不安かというとですね、
「赤字だけどいいものを作りたいからやる!」
っていうの、一見格好良く見えるじゃないですか。
「俺は金なんて下等なものには拘らないぜ!例え持ち出しでも、自分が損をしてでも最高なものをお届けするぜ!」
でもこれ、結構危ない発想です。スタッフサイドにそのへんが得意な人、あまりいないのかな?
その人が所属している世界がお金と無縁の世界だったらいいと思うんです。赤字覚悟でいろんなことやっても。でも実際にはこの世の大概のことにはお金がかかるでしょ?
ライブやるってなったら会場使用料がかかるし、宣伝費もかかるし、バンドメンバーにもダンサーにもPAスタッフにも照明さんにも特殊効果スタッフにも演出や監督の人にもお金を払わないといけないし、警備の人にも入場時にQRコードチェックする人にも物販スタッフにもお金を払わないといけない。会場物販やるとなるとグッズの搬入代もかかりますし、グッズ作るとなると制作コストもかかる。配信するとかDVD作るとかだとカメラも入るし編集も入るし、それらのコストがかかります。
だからチケット売上、グッズ売上、配信チケットの売上、DVD売上等でそれを超えないと赤字になっちゃうんですよね。
それらの売上で賄えないとなったらどうなるか。
当然プロに仕事をしてもらってお金を払わなかったら普通に犯罪です。だから他のところで儲けたお金を使うことになる。じゃあどこからお金を稼いでくるんだっていう話は後にするとして。
赤字って、お仕事したことのない学生さんだとあんまりピンとこないかもしれないけれど結構重い事実です。
大きい会社だと1部門が赤字出しても儲かってる他の部門の収益とか入れて会社全体で見るとセーフ!ってこともありますけど、あまりいろんな事業をしていない会社だと普通に全体でも赤字になります。あんまり続くとその赤字部門売っちゃう、畳んじゃうっていうのもあります。いろんな事業をしていても他の部門も特殊要因で利益少なくなっちゃったら赤字をカバーできなくなりますし。本人も赤垂れ流してると社内での立場も悪くなります。
今回の彼の赤字、おそらく原因は以下ですよね。
豪華なセット
生バンドとバックダンサー
無料の配信ライブ
1公演のみ
会場の小ささ(スタンディングなら3000ですが着席だったので1500人)
これ、無料配信したのは、有料だったら見ないけど無料だったら見てくれるといいう人を新規ファンとして獲得するためだと思うんですよね。だから未来への投資という意味で無料配信は絶対やりたい、視覚的に豪華にしたいからセットも作りたい、っていう。確かに赤字は出るけど将来的にファンを増やしてこのアーティストも黒字にしよう、そのために今は他のアーティストが出した黒字でこのアーティストが出した赤字を穴埋めしようっていう作戦。
まぁ売り出し中のうちはね、それやりますよね。先輩アーティストが稼いでくれたお金で会社全体を黒に保ちつつ、新人は単体では赤字になるけど派手に見えるようにお金使うっていうのはある。
でももうちょっと工夫できなかったのかな?他のところ工夫すれば多少は良かったのではと思うんですよね。ダンサーつけるなら生バンドは入れない、とかその逆、とか。あるいは6公演やるとかね。1公演だけだと975万円しかチケット売上ないけど3daysで昼夜公演すれば5,850万円の売り上げになる。もちろん3日やるとなると会場もそれだけ借りないといけないし、スタッフさんに対しての支払いも嵩みますけど、セットはそのままにしておけばいいし、1公演あたりのコストは減ります。3日借りれないなら1日にしても2公演やればいい。体力が心配というなら朝10時公演と18時開演公演と二つやるとかやり方あったのでは?そしたら間にかなり休める。
でもそれをやらないっていうのはどういうことかっていうと、多分埋まらないんだと思うんですよね。1公演だったら埋まる。でも複数公演だと埋まらない、チケットがフルで売れないんじゃないかな。
忙しくて一日2公演できないはないと思う。彼がそんなに忙しいアーティストであるようには私には見えないんです。
音楽活動のみしている人だし、音楽活動にしてもそんなに引っ張りだこでもない。それに自分のライブなんだから他に予定があってもそっち優先するでしょうし。
ってことは、やっぱり埋まらないから複数公演できないんだと思うんですよ。
彼、その配信やる前にツアーをやっているんですが、それはキャパが配信やった会場の半分くらいのところなんですね。で、全国5ヵ所5公演。ということは、大体彼の集客力っていうのは東京・千葉・神奈川・埼玉あたりの人が集まって1500、その他の地域だと500〜750くらいなんじゃないかと思うんです。750×5+1500かな。都内はチケット売った後にスタンディングに変えようか、その方がたくさんお客入れられるし、と考えていたようなので3000と見るとライブにくるようなファンは6,750人ですかね。全国で。各地域一日で1公演しかやらない、ということは二日やると割に合わないということなのでまぁそう見ておきましょう。7000人、かな。全ての会場行くよっていうような熱狂的なファンもいるでしょうけれどとりあえず1人1公演と見てそういう感じ。
この推定はおそらくそんなにズレていない、というのは、彼18日にミニアルバム出したんですけどその週間の結果が今日出まして、CD売上枚数が4,085枚、デジタルのダウンロード数が517DLでした。ストリーミングは圏外です。51以下。ということはお金を出して彼の楽曲を買う人は4,602人ということになります。ファン7,000人は多く見積りすぎたかもしれない。
その彼が来年1月に武道館でライブするっていうんです。今年じゃない。一年後の話です。長年の夢だったらしいので本当におめでたいことなんですけど。
う〜ん。
でもちょっと手放しにおめでとうと言えない部分があります。
というのはね、武道館のキャパって14,471人なんです。彼の現在の総ファン数を考えると倍以上にファンを増やさないといけない。だって地元に来てくれたらライブ行けるけど遠征はできないよっていう彼の地方のファンもいるはずですし、ライブが水曜日なので仕事休めないよって人もいるはずなので。
まぁそれだからこの夏とかこの秋とかにしないで余裕を持たせて来年の1月なんでしょう。この1年でファンを倍以上にするぞ!えいえいおー!という作戦。言い方変えれば、この春や夏では埋まらないのがわかってるから来年にする。今はまだ埋められない。その時までにそれだけのファンが増えるように頑張りましょうという背水の陣作戦。
なんていうか、また赤字覚悟なのか、見切り発車なのか。「武道館でワンマンやった」という事実が欲しいだけな感じしますよね。だって現在の実力見る限り、全然武道館でできる人じゃないんだもん。無理して背伸びしている。
1年後について今から予想しておきますね。あそこの社長ね、もしそのソロアーティストが1人で武道館1公演分のお客集められなさそうだったら、ボーイズグループBとかボーイズグループMをゲストで出すか、あるいは自分が出ますよ。それでBやMや自分のファンにもチケット買わせて「14,471人集めたぜ!意味のあることだ!夢は叶う!」とかいうから。
なんかさぁ、本当にその実力がついたわけじゃないのにその会場でやって「夢が叶った」って言えるんですかね?だって赤字出したらグループBの黒字で埋めてもらって、夢のライブは席埋まらなかったら他のアーティストのファンで埋めるつもり(ゲスの勘ぐりですけど)なんでしょ?
それって夢が叶ったって言えるのかな?本当に?実際にはグループBに立たせてもらってるんじゃないの?
売り出すために最初は赤でも他の黒字のアーティストに助けてもらうっていうのはわかるんですよ。そういうのあるよね。わかる。でも続くと黒字のアーティストのファンに嫌われますよ。だって、赤字のソロアーティストを助けるためのお金、誰から回収してるかってグループBのファンから回収してるんだもん。
中身の入ってないシャンプーボトル(プラスチック製の空のボトル)1個4,200円とか50gのボディクリーム3,800円とか。ボディクリームで50gはやばい。秒でなくなりますよ。
事務所としては12,000円の真鍮のネックレスも出しました。真鍮で石なしで12,000円。(ちなみに私の界隈でも真鍮のネックレスがグッズで出ておりまして、石なしのは1,200円です。10分の1。スワロフスキー9粒使ってる奴は8,000円でしたが。)
高い、もうちょっとなんとかなりませんか、とファンの人はいうところしか今は至っていないけれど、ソロアーティストの赤字を埋めるために今後も人数の多いBのファンから回収することが続くと段々嫌われるようになりますよ。「数字見るに絶対あいつ儲かってないのにあんな金のかかったツアーやってMV撮って、あいつとあいつのファンを楽しませるために何で私たちがバカ高い値段設定でグッズ買わされてんの?推しを人質にされてる!」と言われかねない。
なんか、彼無理してる気がするんですよね。
本当はまだそんなんじゃないのに、一応形だけ取り繕うために無理させられているというか。自分でもまだ本当の意味では夢は叶ってない、その段階にいないってわかってるんじゃないかな。ファンに向かって、取材に来るメディア記者に向かってなら嘘をつくことができるけど、自分で自分を騙すことはできないでしょ。仕事だから、カメラがまわっていてマイクがオンになっているところでは、今までの努力、社長の導き、みんなのサポートでここまで来ることができました、偉大な達成です!とかいうことはできるけど、ひとりきりになった時も心の底からそう思えるかな。
1年でファン倍になるといいね。