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【経済考】「エンゲル係数」が42年ぶりの高水準だよ.

.「今日の記事のポイント」

☆「家計支出の28%が食費だってと、エンゲル係数は42年前に戻ったよ」

☆「エンゲル係数は貧しい家庭で高くなるよと、日本はアメリカを追い越した格差大国だよ」

☆「コロちゃんとエンゲル係数と、エンゲル係数悪化は災害じゃないよ」

1.「家計支出の28%が食費だって」

コロちゃんが、朝いつものようにコーヒーを飲みながら、新聞をバサバサ読んでいると「家計支出、28%が食費」との見出しが目に入りました。

この記事は「エンゲル係数」の話題ですよね。「エンゲル係数」とは、「家庭の消費支出の内で食費の占める割合の数値」です。

この記事では「2024年1~8月のエンゲル係数が28%と、年平均のと比較すると1982年以来の高い水準」になったと報じていましたよ。

記事の内容では「年収別のエンゲル係数」も報じています。下記ですね。


◎「年収別エンゲル係数」(小数点以下切り捨て)

➀「年収1000~1250万円:25%」
②「年収200万未満    :33%」

上記のように「エンゲル係数」は、所得が低いほど高くなります。「年収200万円未満」は「月収は16万円未満」となります。
(1000円以下切り捨て)

「月16万円未満」の「エンゲル係数33%」となると、「月の食費が5万円未満」となりますね。

どうでしょうか、仮に「年収200万円未満」の上限いっぱいの場合での「月給16万円で食費5万円の生活」は、相当苦しいと思えませんか。

この「エンゲル係数」は、「貧困の指数」として知られています。次に過去の「日本のエンゲル係数」の推移を見てみましょう。

2.「エンゲル係数は42年前に戻ったよ」

次に「エンゲル係数の長期推移」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「総務省統計研修所 近年のエンゲル係数の推移(1980年~2017年)(二人以上の世帯)」より

https://www.stat.go.jp/training/2kenkyu/pdf/rn/2-rn-005.pdf
出典:総務省統計研修所 統計リサーチノートNo.5 明治から続く統計資料:エンゲル係数より(10月20日利用)

上記のグラフは、「総務省統計研修所」が発表している1980~2017年の「エンゲル係数」の推移です。

「エンゲル係数」のラインは、左側の1980年から大きく下がって谷をつくり、その後は右側の2017年に向けて急上昇しています。

この「エンゲル係数」の過去の推移を調べてみると、以下のようになっていました。

◎「エンゲル係数の長期推移」(小数点以下切り捨て)

➀「明治~大正期:65%」
②「大正~昭和戦前期:50%程度」
③「1946年:66%」

④「1950年:57%」
⑤「1970年:34%」
⑥「2000年:23%」
⑦「2005年:22%」(ボトム)

⑧「2020年:27%」
⑨「2021年:27%」
⑩「2022年:26%」
⑪「2023年:27%」

https://www.stat.go.jp/training/2kenkyu/pdf/rn/2-rn-005.pdf
(2020年以降:出典:総務省統計研修所」統計リサーチノートNo.5 明治から続く統計資料:エンゲル係数より:10月20日利用)

上記の「エンゲル係数の推移」は、コロちゃんがネットで集めてきたものです。ただし、2020年以降は毎年の「総務省統計局:家計調査報告」から調べました。

上記の「③1946年:66%」は、終戦が1945年でしたからまだ生活苦の時代ですね。「所得の7割近くが食費」でした。

その後の「経済の高度成長」が始まると、「⑤1970年:34%」⇒「⑥2000年:23%」と年々低下していきます。

更にその25年後の「⑦2005年:22%」が「日本のエンゲル係数」のボトムでした。

この2005年にあった出来事と言うと、「小泉元総理の郵政民営化」や「ライブドア事件」などがありましたよ。

そして、「⑦2005年:22%(ボトム)」以降からは、日本では「生活」が苦しい方が増えてきています。

「⑦2005年:22%(ボトム)」⇒
「⑧2020年:27%」⇒
「〇2024年1月~8月:28%」(現在)

ざっと、上記のような流れで「エンゲル係数」は、過去の1982年の水準に戻ったとなりましたね。ですから今から42年前の水準にまで戻り、その分貧しくなったと言えますね。

この1982年には「日航機羽田沖墜落事故」があった年ですね。「統合失調症」の機長の行為が事故原因となりました。当時は「機長、やめてください」との言葉が世の中で流行しましたよ。

現在の「エンゲル係数:28%(2024年1~8月)」は、過去の「エンゲル係数:28%(1982年)」とほぼ同じレベルの時代まで「バック・トゥ・ザ・フューチャー」してしまったのです。

(バック・トゥ・ザ・フューチャー:1985年アメリカSF映画:主演:マイケル・J・フォックス)

この「エンゲル係数」は今後再び過去を遡るのでしょうか。コロちゃんは、トレンドから言ってもまだまだ「エンゲル係数」が上昇するように思えますよ。

3.「エンゲル係数は貧しい家庭で高くなるよ」

「格差」の指標として「エンゲル係数」が取り上げられる理由は、「貧しい家庭」ほど「エンゲル係数が高くなる」ために、「貧困のみえる化」が出来るからです。

上記で、「エンゲル係数の長期推移」を見ましたが、「2005年(22%)ボトム」以降、現在の「2024年1~8月(28%)」まで「日本社会の貧困化」が進んだと言うことになります。

次に「所得5分位別」の「エンゲル係数」を見てみましょう。

コロちゃんは、あちこち探しましたが、ちょっと古い2016年のデータしか見つけられませんでしたが、だいたいの傾向は分かると思います。下記をご覧ください。

◎「年間収入五分位階級別エンゲル係数の推移(二人以上の世帯のうち勤労者世帯):2016年」(小数点以下切り捨て)

➀「第Ⅰ階級:27%」(貧乏)
②「第Ⅱ階級:25%」
③「第Ⅲ階級:25%」
④「第Ⅳ階級:23%」
⑤「第Ⅴ階級:21%」(お金持ち)

⑥「全体平均:24%」

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gk02.pdf
(出典:総務省統計局:世帯属性別の家計収支:二人以上の世帯より)

(貧乏))と(お金持ち)は、コロちゃんが勝手に付けたものです。

上記のデータでは、「➀第Ⅰ階級:27%」が貧乏世帯ですね。そして「⑤第Ⅴ階級:21%」がお金持ち世帯で、「エンゲル係数」には6㌽の差がでています。

このように「貧乏世帯」であるほど、「家計収入」に対する「食費の割合」が高くなりますので、「エンゲル係数」が上がるのですよ。

冒頭でご紹介した新聞報道では、下記のようになっていました。

◎「年収別エンゲル係数」(小数点以下切り捨て)

➀「年収1000~1250万円:25%」
②「年収200万未満     :33%」

こちらの分類では、「お金持ち世帯」と「貧乏世帯」との差が8㌽も開いていますから、上記の2016年よりも、格差は広がっていますね。

このデータでも、「日本社会の格差の拡大」が確認できるのですよ。

4.「日本はアメリカを追い越した格差大国だよ」

ここまで書いて来て、コロちゃんは昨年の「OECD」の発表を思い出しました。

一般に「格差」を語る時には、「格差が大きいアメリカ」と「格差の小さい欧州」があり、その間に「日本」があるとイメージされています。

しかし、それは古いイメージなんですよね。皆さんも、まだご存じなかったら是非「知識のアップデート」をしてくださいね。

➀「少し前まではアメリカの次が日本だったよ」

最初に「格差の指標」の「相対的貧困率」について書きますね。

この「相対的貧困率」とは、「貧困線」を下回る「等価可処分所得(手取り収入)」しか得ていない方の割合になります。

「貧困線」は全体の手取り収入を世帯人数で調整した所得の中央値の半分となります。

ホントややこしいですよね。簡単に言うと「みんなの所得の半分以下だったら貧困だよ」ってことですね。

この「相対的貧困率」は、世界での「貧困の基準」となっているのですよ。

それでは、最初にちょっと前までの「先進国の格差の状況」を見てみましょう。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「内閣府 相対的貧困率の国際比較」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/09f32140.html
出典:内閣府 平成21年度 年次経済財政白書より(10月20日より)

上記のグラフは、「内閣府」が発表している1970年代半ばから2000年代半ばの「相対的貧困率の国際比較」です。ただし2009年の発表です。

グラフの一番上を「赤紫色のアメリカ」のラインが見えます。「紺色の日本」はその下にあります。

しかし、これは2009年のグラフなんです。昨年2023年には「日本がアメリカを追い越して「相対的貧困率G7諸国トップ」に躍り出ているのです。

②「昨年に日本はアメリカを追い越したよ」

昨年2023年に「OECD」は、世界の主要国の「相対的貧困率」の発表をしています。以下ですね。

◎「OECD:相対的貧困率:国際比較:2021年度版」(小数点以下切り捨て)

➀「日本   :15.4%」
②「アメリカ :15.2%」
③「韓国    :14%」
④「スペイン  :14%」
⑤「イタリア  :12%」
⑥「イギリス  :11%」
⑦「カナダ   :10%」
⑧「オランダ : 10%」

https://www.oecd.org/en/data/indicators/poverty-rate.html?oecdcontrol-8027380c62-var3=2021
(出典:OECD:貧困率より)

上記は、OECDが発表している「貧困率」のデータです。

コロちゃんは、見やすいように「小数点以下切り捨て」としていますが、上記の「➀日本:15.4%」と「②アメリカ :15.2%」は、コンマ以下の差なので、あえて表示しました。

だけど、酷いでしょ。いつの間にか、あの「格差大国」である「アメリカ」よりも「日本」の方が貧しい方の割合が多くなっていたのですよ。

コロちゃんは、それまでは「ヨーロッパ」は税金も高いけど「格差は小さく」て、「アメリカ」は税金は安いけど「格差が大きい」と思っていたのですが、今ではもう違っています。

世界の先進国で「一番格差が大きい国」が「日本」なのです。

なお、上記の「➀日本:15.4%」を、総人口1億2500万人にあてはめて計算すると、「貧困者の数」は1925万人となり、ほとんど「2000万人が貧困層」と言えますよ。

この「2000万人が貧困層」と聞いて、「そんなに多いかな?」と思う方も多いかと思いますが、コロちゃんはうなずいたことがあります。

それは「生活保護世帯の人数と捕捉率」を見るとわかるのですよ。

「生活保護の捕捉率」とは、「本来生活保護を受給できる方のうち実際に受給している方の割合」を言います。

この「捕捉率」は、厚生労働省の推計でも研究者の推計でも、所得だけで判定すると1~2割にとどまるとされています。(資産を加味すると2~3割になるとされています)
(フランスの捕捉率は9割です)

そうなると残りの8~9割は「貧しいけれど生活保護は受けたくない」と我慢しているのです。

現在「生活保護受給者数は201万人」※です。

(※厚生労働省:生活保護の被保護者調査:令和6年7月分概数の結果より)

この「生活保護受給者」数が201万人ならば、捕捉率が1割だとすると、本来ならば「生活保護を受給できる貧困層」の数は2000万人、捕捉率が2割だとすると1000万人になります。

正に「格差大国日本」の足下の「貧困事情」ですね。そして、この数は今後も増え続けそうですよ。

5.「コロちゃんとエンゲル係数」

さて、ここまで「エンゲル係数」が、現在1982年以来という42年ぶりの高水準に上がったことを見てきました。

そこで興味があるのは「コロちゃんちのエンゲル係数」です。それでコロちゃんは、自分ちの「家計簿」を開きまして、ポチポチと調べてみましたよ。

コロちゃんは、アイパッドに「家計簿ソフト」を入れて、お買い物の都度にポチポチと入力しているのです。

そこで、コロちゃんは「家計簿」から、今年の1~9月の「消費支出と食費の割合」をポチポチと計算してみますね。

えーと、えーと、「エンゲル係数の計算方式」は、確か「消費支出に占める食費の割合」だから、「エンゲル係数 = 食費 ÷ 消費支出 × 100」だよね。
c(゜.゜*)エートエート?

・・・ポチポチ・・・ポチポチ。エエ―っ!
(;゚Д゚)ェェー

なんと、なんとコロちゃんちの、今年2024年1~9月の「エンゲル係数は40%」でしたよ。

この数字は、上記で見てきた2016年の「年間収入五分位階級別エンゲル係数」の貧乏世帯の「➀第Ⅰ階級:27%(貧乏)」を、大きく上回る「貧乏生活」ですね。

いやいや、さすが「清貧ライフ」の名に負けない生活ぶりですよね。

「日本」の過去を遡ると、高度経済成長以前の「1961年のエンゲル係数40%」の時代の生活ですよ。一つ前の「東京オリンピック」が1964年開催ですから、それ以前の生活ぶりとなりますよ。

ああ、そういえば「東京タワー」が完成したのも1964年でしたね。そうそう「三丁目の夕日※」の年ですよ。

(※三丁目の夕日:1974年:作:西岸良平:ビッグコミックオリジナル:ALWAYS 三丁目の夕日:2005年:原作:西岸良平:主演:吉岡秀隆:配給:東宝)

だけどコロちゃんは「1961年のエンゲル係数40%」と同じだったなんて、喜んでよいのか悲しむべきなのか・・・はて?どっちかな?
(*´・д・)はて?

6.「エンゲル係数悪化は災害じゃないよ」

今日は「エンゲル係数が28%」と、1982年以来の数値を記録したことについて考察してきました。

そして、「エンゲル係数」の過去の推移や、国際社会での比較などを考察してきましたが、コロちゃんの考えは、「これは天災ではない」と言うことです。

「エンゲル係数」は、経済学での「格差の指標」であり「自然災害」ではありません。人間の「経済運営」いかんで変化する数値なのです。

「自然災害(地震・火山噴火)」なら誰のせいにも出来ません。

しかし、この「エンゲル係数」の悪化の責任は、時の「政府・政治家」が負うべき事項でしょう。

今日の記事では、過去の「エンゲル係数の推移」も見てきましたが、「ボトムは⑦2005年:22%(ボトム)」でした。

それを考えると、2000年代以降の「政治指導者」全員の罪は深いとコロちゃんは考えましたよ。下記に書いてみますね。

◎「2000年代以降の総理大臣」

➀「森喜朗  (2000年)」
②「小泉純一郎(2003年)」
③「安倍晋三 (2006年)」
④「福田康夫 (2007年)」
⑤「麻生太郎 (2008年)」
⑥「鳩山由紀夫(2009年)」
⑦「菅直人  (2020年)」
⑧「野田佳彦 (2011年)」
⑨「安倍晋三 (2012年)」
⑩「菅義偉  (2020年)」
⑪「岸田文雄 (2021年)」
⑫「石破茂  (2024年)」

ふー疲れた。やっと書き終わったよ。こんなにいたのか?
ε- ( ̄、 ̄A) フゥー

そういえば「総理1年で使い捨て」なんか言われた時代がありましたよね。

コロちゃんはもうすっかり忘れてたけど、それじゃあ「総理経験者」の数が増えるのも当たり前ですよね。

こんなにいっぱいいると、誰に「エンゲル係数悪化の責任」を追及したらよいのか分からなくなりますよ。

しかし、政治家が第1に目指すべきは「国民の豊かな生活」です。それが「エンゲル係数」を下げるどころか、毎年上がり続けてきたのが2005年以降の日本です。

「日本」がかつての「一億総中流の時代」から「世界の先進国で一番の格差大国」にしたのは、上記の「政治家たち」なのですよ。

コロちゃんは、責任をしっかりとってもらわないと、今後もいつまでも「エンゲル係数の悪化」は進むと思いますよ。

少なくとも、今朝の新聞記事の「家計支出、28%が食費」との見出しを読んで、「政治指導者と官僚」の皆さんたちには「自責の念」を持ってもらいたいとコロちゃんは考えていますよ。

そして、今後は何としても「エンゲル係数が低下するような道」を模索していただきたいと思っていますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Erik KaritsによるPixabayからの画像


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