言葉は消えても文字は残る
昔むかーしに読んだ、長野まゆみさんの「テレヴィジョン・シティ」にあった言葉。
「言葉は消えても文字は残る」
この言葉に衝撃を受けて、私は「小説を書こう」と思ったんだった。
いいかえれば、「言葉」はすなわち「意味」、「文字」は「物」。
私は自分の生きた証を「物」として残したかったのだ。
本も書類も電子化、ネットを主戦場として活躍する人も多い現代。
もちろん、本や書類がすべて電子化して、紙の本が一切なくなってしまうことはこれから先もないだろう。
でも「もし紙媒体がいっさいなくなり、すべてが電子化してしまったら」と想像すると、なんだか面白くてたまらない。
すべてが電子化した後、この世界が滅びてしまったら……。
そして、何万年後、何十万年後に地球に新文明が興ったり、他の星から宇宙人がやってきたとしたら。
そしてそして、滅びた文明(私たちのこの文明ね)の遺跡を発掘したとしたら。
石碑なんかはでてくるだろう、たぶん。奇跡的に紙の本も残っているかもしれない。建築物やパソコン、スマホ、サーバーなども出てくる可能性がある。
でも、ネット上を飛び交っていた言葉はあとかたもなく消え失せてしまう。
後の文明が、私たちと同じように「電気」をつかうとは限らないもんね。電気がなければパソコンもスマホも動かない。ただの箱。
ということは。
デジタルの「言葉」は、「物」としても「意味」としても、滅亡後の地球には残らないのだ。
紙や石なら「文字は消えても言葉は残る」けれど、電子上の言葉は「文字も消えるし言葉も消える」。
ネット上にもパソコンやスマホの中にも、こんなに言葉があふれているのにね。
今はデジタルの世界で活躍する人がもてはやされるけれど。
長い長い、本当に長い目で見れば、残るのはアナログとしての「物」だけなんだ。
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