浮世絵

歌撰恋之部 (その7)

 夜が明けようとしているのだろう。窓の障子が薄青く染まっている。部屋は池に張り出すように造られていて、床下からも窓の外からも、水の音が忍び込んできた。

 ふと、舟に揺られているような気がした。

 おとみの体には、まだ弥一に抱かれた余韻が残っていて、溶けたような頭のせいで、舟に横たわっている気分になったのだろう。

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