浮世絵

歌撰恋之部 (その4)

 神田の新し橋を渡り、おとみは柳原を意味もなくうろついていた。土手に並ぶ古着屋の一軒に入り、買いもしない路考茶の着物を手に取るうちに、ため息が漏れた。

 一体、あたしは何をしてるんだろう。

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