【補綴】インプラント治療の要点!アバットメントレベル印象のメリットとは?
116B-82 インプラント治療の要点!アバットメントレベル印象のメリットとは?
インプラント上部構造の比較:どちらが有利?
みなさん、インプラント治療の上部構造にはさまざまな方法がありますが、その中でもインプラントレベル印象とアバットメントレベル印象で製作された上部構造の違いをご存じでしょうか?
今回は、その二つの方法で作られた上部構造を比較し、特にアバットメントレベル印象の利点について詳しく見ていきたいと思います。
まず問題を見てみましょう。
上顎左側と下顎右側にそれぞれインプラントを埋入し、上部構造を製作しました。その際の模型と上部構造の写真があります。
写真A インプラントレベルの作業用模型
写真B アバットメントレベルの作業用模型
さて、ここで問題です。
写真A(インプラントレベル)と比較して、写真B(アバットメントレベル)の構造が有利な点はどれでしょうか?
審美性
被圧変位性
咬合接触状態
着脱時の粘膜刺激
インプラント体の保護
一緒に考えてみましょう。
まず、写真Aはインプラントレベル印象で作製された上部構造です。
一方、写真Bはアバットメントレベル印象で作製された上部構造です。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 審美性
写真Aのようにインプラントレベル印象で印象採得を行った場合、上部構造の製作にあたり補綴方法の選択自由度が高いです。
例えば
・カスタムアバットメントを製作すればセメント固定式の上部構造
・ダイレクト構造で製作すればスクリュー固定式の上部構造
をそれぞれ装着することが可能です。
写真Aでは、適切なカントゥア(歯冠の形態)やエマージェンスプロファイル(歯肉から歯冠部への移行形態)が付与されており、歯肉形態に一致した上部構造となっています。そのため、審美性に優れると言えます。
一方、写真Bのアバットメントレベル印象では、既製のアバットメントを使用することが多く、設計の自由度が制限されるため、審美性の面で劣る場合があります。
したがって、審美性に関しては写真Aの方が有利です。
2. 被圧変位性
被圧変位性とは、義歯が粘膜に与える圧力によって起こる変位のことです。インプラントは骨に固定されており、粘膜上に乗るわけではないため、被圧変位性は問題になりません。
3. 咬合接触状態
咬合接触状態、つまり噛み合わせに関しても、最終的な調整で適切な咬合を得ることができます。したがって、この点でも大きな差はありません。
では、残った選択肢を考えてみましょう。
4. 着脱時の粘膜刺激
アバットメントレベル印象で作製された上部構造は、着脱時に粘膜への刺激が少ないという利点があります。これは、アバットメントがインプラント体に固定されているため、上部構造の着脱がスムーズに行えるからです。
5. インプラント体の保護
また、アバットメントレベル印象では、インプラント体とアバットメントが一体化しています。そのため、上部構造の着脱時にインプラント体に直接触れることがなく、インプラント体を保護できます。
結論
以上のことから、写真B(アバットメントレベル印象)の構造が有利な点は、
4. 着脱時の粘膜刺激
5. インプラント体の保護
の二つになります。
補足説明:インプラントレベル印象とアバットメントレベル印象の違い
インプラントレベル印象
メリット:上部構造の設計自由度が高く、カスタムアバットメントを使用することで、より個々の患者さんに適した形態を作製できます。
デメリット:上部構造の着脱時にインプラント体に直接触れるため、インプラント体への負担や感染リスクが増加する可能性があります。
アバットメントレベル印象
メリット:アバットメントがインプラント体に固定されているため、上部構造の着脱が容易で、粘膜への刺激が少ないです。また、インプラント体を保護できます。
デメリット:既製のアバットメントを使用する場合、設計の自由度がやや制限されることがあります。
まとめ
インプラント治療において、上部構造の製作方法は患者さんの状況やニーズに合わせて選択することが重要です。アバットメントレベル印象は、着脱時の粘膜刺激が少なく、インプラント体を保護するという利点があります。一方で、インプラントレベル印象は上部構造の設計自由度が高いというメリットがあります。
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