【麻酔】周術期口腔機能管理のシーネ

116A-81  シーネってなに?

動揺歯と気管挿管って、どんな関係があるんでしょうか?

歯がグラグラしてる人が手術を受けるとき、実は思わぬリスクがあるんです。今回は、その解説をしていきましょう。

まず、「周術期口腔機能管理」って聞いたことありますか?

これは、手術の前後に歯医者さんが行う口のケアのことです。なんで手術の前に歯医者さんが出てくるのかって?それは、口の中をきれいにしておくと、手術後の合併症を防げるからなんです。

でも、ここで注意してほしいのが「動揺歯」のある患者さんです。

動揺歯って、歯がグラグラしている状態のこと。歯周病とかで、歯を支える骨が弱くなっちゃった人によく見られます。この動揺歯がある人が全身麻酔で手術を受けるとき、リスクがあるんです。

どんなリスクかというと、気管挿管のときに歯が抜けちゃう可能性があるんです。

気管挿管って、喉に管を入れて呼吸を確保する処置のこと。全身麻酔では欠かせない大切な処置なんですが、この処置をするときに使う器具(喉頭鏡)が歯に当たって、グラグラしてる歯が抜けちゃうことがあるんです。

じゃあ、どうすればいいの?

そこで登場するのが、歯を固定する装置(シーネ)です。グラグラしてる歯をしっかり固定して、抜けないようにするんです。

こういった対策をするのも、実は「周術期口腔機能管理」の大切な役割なんです。口の中をきれいにするだけじゃなく、こういったリスク管理もするんですね。

では、この内容に関連する問題です。

116A-82 76歳の男性。周術期の口腔機能管理の依頼のため来院した。大動脈弁狭窄症の診断で4日後に全身麻酔下の大動脈弁置換術が予定されているという。上下顎残存歯の動揺を認めたが、顎関節症状は認めなかった。口腔内装置の写真を別に示す。
この装置の日的はどれか。1つ選べ。
a.咬合の改善
b.出血の予防
c.審美性の回復
d.感染性心内膜炎の予防
e.気管挿管時の有害事象の予防

出典:厚生労働省

写真を見るとなかなかの口腔内状況ですね、、

ちょっと見えずらいですけど、透明のシーネが上下顎に装着されています。

つまり、シーネを装着する目的は何か?という問題ですね。
だから正解はe.気管挿管時の有害事象の予防です。

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