【補綴】クロスマウントテクニックの手順とその実践ポイント
116B-63 クロスマウントテクニックの手順とその実践ポイント
クロスマウントテクニックって何?
今回はクロスマウントテクニックの目的や手順をわかりやすく説明しますね。
まずは患者さんの情報から。
46歳の女性が来院しました。主訴は「ブリッジが脱離して物がうまく噛めない」というもの。今回はその部分に新しく固定性ブリッジを作ることになりました。
ここでクロスマウントテクニックが登場します。
この技術は、仮のブリッジ(プロビジョナルブリッジ)の咬合関係をそのまま最終的なブリッジに反映させるための方法です。写真を見てみると、矢印で示された部分、つまりインサイザルテーブルの調整が完了しています。
インサイザルテーブルは、咬合器の一部で、特に前歯の補綴物を作成する際に重要な役割を果たします。このテーブルは、顎の動きを正確に再現するために使用され、前歯の運動路を記録します。これのおかげで、患者さんの顎の動きに基づいて、適切な形状と噛み合わせを持つ補綴物を設計できると考えられています。
インサイザルテーブルの調整手順
仮ブリッジの装着: 最初に仮ブリッジを患者に装着し、その咬合関係を観察します。
インサイザルテーブルの評価: 咬合面の形状や傾斜が適切かどうかを評価し、必要に応じて調整します。
最終ブリッジへの反映: 調整が完了したインサイザルテーブルのデータをもとに、最終的なブリッジを製作します。
で、問題文に戻るんですが、インサイザルテーブルを調整したら次に何をするべきでしょうか?
選択肢を見てみましょう。
a. 上顎模型の交換
b. 下顎模型の交換
c. 側方顆路角の調節
d. 矢状顆路傾斜角の調節
e. インサイザルピンの調節
正解は「a. 上顎模型の交換」です。
なぜでしょうか?
インサイザルテーブルの調整が終わったら、次に行うのは上顎模型の交換です。具体的には、プロビジョナルレストレーションが装着された状態の模型から、支台歯形成が行われた作業用模型に交換します。これにより、仮のブリッジで得られた咬合関係を新しい模型に正確に移すことができます。
他の選択肢はどうでしょうか?
b. 下顎模型の交換:下顎模型はそのままで大丈夫です。交換の必要はありません。
c. 側方顆路角の調節:これは咬合器を設定する初期段階で行う操作で、今行うべきではありません。
d. 矢状顆路傾斜角の調節:これも同様に初期設定の段階で行います。
e. インサイザルピンの調節:これは咬合高径の調整に使いますが、既に調整済みなので必要ありません。
クロスマウントテクニックの手順をまとめてみましょう。
プロビジョナルレストレーションの装着:仮のブリッジを患者さんに装着します。
咬合器への装着:フェイスボウを使って上顎模型を咬合器に取り付け、下顎模型も合わせます。
インサイザルテーブルの調整:仮のブリッジで得られた咬合関係をもとに、インサイザルテーブルを作製します。まさに今回の問題の写真ですね。
上顎模型の交換:ここで、プロビジョナルレストレーションが装着された模型を、支台歯形成が行われた作業用模型に交換します。交換する前の上顎模型は、プロビジョナルレストレーションが装着された状態を印象し模型製作したものですからね。
最終的なブリッジの製作(ワックスアップ):新しい模型を使って、最終的なブリッジの形をワックスで作っていきます。
重要なポイントは、インサイザルテーブルの調整後に上顎模型を交換することです。
これにより、仮のブリッジで確認した咬合関係を正確に最終的なブリッジに反映させることができます。
まとめ
クロスマウントテクニックは、仮のブリッジの情報を活かして、精度の高い最終的なブリッジを作るための手法です。
インサイザルテーブルの調整後に、上顎模型の交換を行うことが次の重要なステップです。
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