雪姫の舞い

 外に出ると、雪が舞っていた。
 空は青空で、太陽の光が雪を光の粒のように輝かせていて、急がなくてはいけないのも忘れて、私はその光景を何度も瞬きをしながら、眺めていた。
 それこそ、写真を撮るように、シャッターを切るように、目に焼き付けたかったのだ。
 暫くして我に返った私は歩き出す。けして足跡を残さない雪と一緒に。

「そういえば……初雪をゲットできたら願い事が叶うと行ったのは誰なんだろう」

 ふと、そんなことを思った。
 どこかで見たおまじないの本か絵本に載っていたのか、誰かが教えてくれたのか、はたまたテレビのセリフだったのかも覚えていない。
 時を同じくして、胸元に雪が留まってふっと消えた。
 まるで、私のひとり言に答えるように。

「そうだなぁ……クリスマスイブの夜もこうやって舞ってくれるといいな」

 私の言葉に答えてくれた雪にそっとお願い事をしてみることにした。叶うかどうかはわからないし、叶わなくても私は困らないけれど、なんとなく綺麗な景色が見たくて。
 きっと、イブの夜に舞う雪はイルミネーションで瞬いて天使の羽のような、光のシャワーのような、そんな全ての人を祝福するように暖かく映るだろうから。

#Xmas2014  

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