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冬から春へ

2月の終わりから紅梅が、福寿草が、クロッカスが、徐々に春の訪れを告げ始め、その度に雨や雪が降った。

「寒の戻りだ」と皆は困っていたようだったけれど、私にはご褒美の様に感じられた。
雪も雨もどこか優しくて、そして少しだけ温かかったから。

梅の散る先を眺めると桜が少し咲いていた。
暖かくなったなと思っていたらまた雨が降った。
「桜が満開じゃなくてよかった」
と誰かが言ったけれど、私は桜が満開になる頃の事を思い、そしてそれは的中した。

桜は色を落とし、葉桜になっていく中、ふと目を落とすと、オオイヌノフグリが咲いていた。
桜の落ちた色はここに春を告げたんだなと、何か腑に落ちたような気がして私は微笑んだ。

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