月に行きたかった猫

プランニングにゃろ様から承った「月に行きたかった猫」というお題から書いております。

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 私は猫である。

 名前はまだない。……というと、偉大な猫に怒られそうなので、名前は……「タマ」にしよう。即興で考えたにしては分かりやすい名だ、うん。

 ところで、「月」というものを知っているだろうか?
 夜の空にぷかりと浮いている黄色いあれだ。

 なぜ人があれを「月」と呼んでいることを知っているかって?では逆に聞こう。猫が人の言葉を理解できないと誰が決めたんだ?

 うん、つまりそういうことだ、何事も先入観はいけない。良い勉強になったな。

 でだ、あのぷかりと浮いている「月」にタマは行きたい。宇宙に行った犬だの、星空を渡る列車だのいる様だが、タマは「月」に行きたいのだ。

 なに、人だって月に行けるのだから猫が行けない訳がない。

「月」にはあの子がいるのだ。あの子は言った。

『いつか一緒にあのお月様で遊ぼうね』

 月光浴をしているタマに、いつも動く椅子に乗ってやってくるあの子は笑って言っていた。

 そして先に「月」に行ってしまった。タマはこの目で見た。あの子が光に包まれるのも、煙になって空への階段を上っていったのも。

 だからタマは「月」に行かないといけない。一刻も早く「月」に行って、あの子と遊ぶのだから。


― キキー!! ―


 かん高い音と共にまぶしい光が、世界を包んだ。

 目を瞑ったタマが目をあけると、そこには黄色い大地と……


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お題小説第1弾「月に行きたかった猫」です。

最初に思い浮かんだのが「100万回生きた猫」でした。なので、最後少ししんみりする、しかしハッピーエンドになるような雰囲気にしたつもりです。なっていたら幸いです。


実験的にではありますが、まだまだ、お題募集しております。

単語・短文・絵・写真・音楽・動画等々お題はなんでも結構です。

単語や短文はそのままコメントに書いて頂き、その他はURLを貼っていただけば見に行きますので、もし、良かったらよろしくお願いします。


最後になりましたが、プランニングにゃろ様お題提供ありがとうございました。

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