夜ランニングの恐怖

 最近、少しだけランニングの練習をするようになった。3月の終わりと4月の半ばに挑戦するマラソン大会に向けてのものだ。ランニングコースは割とお決まりのコースで、周回するコースが多い。もし、齧歯目の動物に生まれ変わったら、回し車をしょっちゅうカタカタ鳴らしているかもしれない。

 あるお決まりコースの最終コーナー付近に駐車場があるのだが、そこに車がやってきた。その後、私は40分ほどグルグルと周回しているのだが、ずっと車は停止している。暗い道のため、運転席からスマホの光がもれている。

 走りながら、色々と考える。家で奥さんと喧嘩して、行く場所もなく、そこでスマホをいじってほとぼりが冷めるのを待っているのだろうか。「ねえ、そのオナラ、本当にやめてくれない、臭いんだけど」『どうしようもないだろう、生理現象なんだから』「うるさい、出ていけ」おならで出て行かされるなんて可哀想すぎる。

 私がグルグルノロノロと走っているので、警察に「丸メガネの前髪ぱっつん野郎が徘徊していて怖いんですが…」と通報が入り、警察官が巡回に来たのだろうか。「あー、本当に丸メガネに前髪ぱっつんですね。ちょっと怪しい雰囲気なので、ご近所さんから苦情が入りまして、パトロールに来たんです」言い方がもっとあるだろ。

 実は犯罪者で、潜伏しようとしたところ、私のように何回も現れる奴がいるので、どんどんイライラしてきて、終いには襲いかかってくるのではないだろうか。

 ドン・キホーテのように勝手に恐怖の敵を作り上げ、ランニングしながらビクビクしてしまった。心拍数が上がり、よいトレーニングになった。