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ADSRってなんぞや

まえがき

KORABO SHIBUYAスタッフでありながらシンセ初心者の吉川です。
日々、シンセとお友達になるため奮闘中です。

シンセプレイヤーの方にとっては、常識中の常識で、息をするように扱えるものかもしれませんが、初心者の方は誰しも最初にぶつかる壁。

「ADSRってなんぞや」

ADSR パネル

高校1年生の物理で限界を迎えた私には、
「音の仕組みなんてなんのこっちゃ!」という感じでした。
でも!これを理解すると「音ってなんか面白いかも」って思うようになるのです。
その第一歩のために、まずはADSRの理論を見ていきましょう!


ADSR~理論編~

ADSRのAは、「Attack」すなわち「音が立ち上がる時間」のこと。
「音が立ち上がる」ってどういうことだと思われた方は、鍵盤ハーモニカを弾くときのことを思い出してみてください。
息を一気に吹き込んだ時の音と、息を徐々に「ふぅー」っと吹き込んだ時の音では、音の鳴り方が違います。
音が出始めてから、一番大きい音量になるまでの時間、これが「Attackタイム」です。

Attack図①


ADSRのDは、「Decay」すなわち「音の最大音量からの減衰時間」のこと。
鍵盤ハーモニカでも、「ふっ」と息を最初に入れた時より、そのあと息を「ふーー」と入れ続けたときのほうが微妙に音量がが減衰しています。
音量が最大に達してから、減衰し始めるまでの時間、これが「Decayタイム」です。

Decay図①

ADSRのSは、「Sustain」すなわち「音が減衰してから維持する音量」のこと。ここでのポイントは、
「Sustain」だけ”音量”を表し、ほかのA・D・Rは”時間”を表している
ということ!鍵盤ハーモニカでは、鍵盤を押さえている時に、一定の音量で音が伸びている状態です。吹き込む息の量を減らせば、「Sustain」のレベルも下がります。

Sustain図①

ADSRのRは「Release」すなわち「鍵盤を離した後に音が消えるまでの時間」のこと。余韻と考えてもOKです。
鍵盤ハーモニカでは、鍵盤を離すと音が「ぶちっ」と消えますが、
ピアノの場合、鍵盤から指を離しても急に「ぶちっ」とは音が消えません。わずかに余韻が残っているからです。
この余韻の時間をコントロールするのが「Release」です。

Release図①

「なるほど!ADSRってそういう概念ね!」と理解したものの
・・・・「でもこれどうやって使うんじゃい」
というのが私の正直な感想でした(笑)

では、次にADSRの具体的な使い方を見ていきましょう!

ADSR~実践編~

ピアノ大好きな私は、まずシンセでピアノの音を作ってみようと思います。
ピアノの音をまず頭の中でイメージしてみると、

鍵盤を押したときに一番強い音量が出て、押さえている間はゆっくりゆっくり減衰して最終的に音が消える。

これをADSRの理論に当てはめて考え直すと、

音の出始めが最大音量だから、「Attackタイム」はゼロ。
鍵盤を押している間は、一定の音量を維持することなく、ゆーっくり減衰していくから、「Decayタイム」は長めで、「Sustainレベル」はゼロ。
鍵盤を離しても、ブチっと切れずにわずかに余韻が残るから、「Releaseタイム」は短め。

piano ADSR図

こんな感じで設定してみると、、、、

のーっぺりした音がピアノっぽい音に!

次は、バイオリンの音を作ってみます。
バイオリンの音を思い浮かべると、

音の出始めは小さく、そこから音が大きくなっていくので、「Attack」タイムはちょっと長め。わずか~に減衰するが、ボーイング(弓が弦に当たった状態で上げ下げしている状態)されている限り、音は一定の音量を維持するから、「Decayタイム」は短めで「Sustainレベル」は大きめ。
弓を弦から離すと余韻がふわ~んと残るから、「Releaseタイム」は若干長め。

violin ADSR図

こんな感じで設定してみると、、、、

「ぺー」っという面白みのない音が、深みのあるバイオリンの音に!

ADSRで音の出し方を変えるだけで、こんなに音って変わるんです。
今や様々な場面で大活躍しているシンセですが、もとはといえば、他の楽器を模倣するために使われた楽器なので、こういう使い方はシンセの原点という感じがします。

こんな風に、ADSRをいじるだけで音色ってガラッと変化します。

おわりに

今回は、「音量」をADSRでコントロールする方法をご紹介しました。
その面白さに気づき、舞い上がっていた吉川ですが、ADSRの使い方はこれだけではありませんでした…。他にも、使い方がまだまだあったのです。
奥深きADSR!

詳しくはまた次回、お届けします!
読んでいただき、ありがとうございました。


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