見出し画像

テストには出せないわけあり自作問題の供養その②

【今回の問題を解く前に少し】
覚えているかどうかはおいといて,高校生だと,恒星の光る色が恒星の表面温度によって決まっているということを中学校の理科で学んだんじゃないでしょうか(画像は『冬の大三角 | 天体写真 | 高津科学 (takatsukagaku.com)』のページよりお借りました).
太陽がオレンジ色に輝く(溶鉱炉の鉄がオレンジ色に見えるのなんかも同じ現象です)のは,身の回りの物体が色づいてに見える現象(例えばみかんであれば白色光の成分のうちオレンジ色に対応した振動数成分の光を主に反射する)とは異なり,各温度に対応した振動数の光が放射するためです(これは量子力学の教科書の最初の方によく書かれている話なので,(大学で物理学を勉強してみようと思っている人は)その詳細は自分で学ぶときまで楽しみにしておけばいいと思います).
今回の問題は,その現象を扱う際に用いられるトイモデル「光子気体(photon gas)」を題材とした問題です.


【問題について少しだけ】
内容としては,分子運動論と熱力学の2分野(1.5分野くらいかも?)からなります.光子気体に関する分子運動論の問題は近年では標準レベルの大学でも出題されるようになりましたが,それでもこの問題はかなりユニークだと思います.
試験で使えない理由は,前回と同じように単に難しいからというのと,これで基礎的な学力を測れるとは思えない,問題数が多いといった理由からです(問題数については,ポアソンの公式の導出を削ったりすれば解決しそうだけど).僕の試験は難しく感じるかもしれませんが,一応,基礎学力(とは何かという話はちょくちょくしているのでここではしません)を測れるような問題設定にしているつもりですよ(きちんと問題を解法の各パーツに分解できれば簡単に解けるような問題に設定していて,そのパーツが見つけやすいようにさらっとした問題文にしているつもりです).こういう問題も面白いので本当は実力テストとかには使ってもいいのかもしれないけど,それでもみんなのやる気維持のためにあんまり難しくしすぎちゃうのもねぇって感じで.学習効果も高くはないしね(面白いと思って解く分には学習効果は高いと思いますよ(安直な考えだけど,なんだって楽しんでる人の方が強いから)).


【おまけの話】
理想気体以外の熱力学と言えば,個人的には京大(2007年,2022年)のゴムひも,早稲田理工(2011年)の石けん膜が浮かびます.難関大ばかりのイメージを持たれそうなので(と言いつつ実際そのイメージでいいんだけど)一応言っておくと去年の共テでも出ましたよ,追試の方だけど.ちょくちょく言ってるつもりだけど,共テですが,物理に関して言えば難関大の問題設定の焼き直しのものが多いので難関大受験生ほど有利な試験だと思います(見たことある設定に当たる可能性が高いので).共テ対策と言って簡単な問題ばかり解いている人ほど結果として遠回りなことをしているというの,皮肉が効いていていいですよね,僕はこういう皮肉とても好きです.「いやいや,共テ対策用の目新しい問題設定の問題もやってます!」とか思っちゃった人,何がとは言いませんが,そういう思考回路になってる時点で,ですよ.

光子気体の熱力学に関する問題はまだ見たことないし,先を越される前に本格的な光子気体の熱力学の問題を今年中には作っちゃおうかな〜,なんて,思ったり思わなかったり.来年度以降の実力テストのネタにしてもいいかも?(とか言いながら,上に書いたように幅広い層に学習効果の高い問題を入れたいから採用しないんだろうな)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?